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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第1章 まだ平穏

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同窓会の朝─出席番号15番「関ゆい」①

YOH同窓会Tips

陽国では。「モバイルYOHを使用した際のトラブルにおける責任は使用者にある」と定められている。

よって、陽国での教育の目的「人工知能を適切に使用できる人材を育む」とされている。

2035年1月15日 陽国 姫野県某所


美容室 SHINE YOUR HAIR


「高橋さん、起きてくださ~い!終わりましたよー」


そういいながら私、関ゆいは今日最初で最後のお客様である老人女性の肩を軽くたたく。


「あれ、もう終わったかえ?」


といいつつ今年82歳になる高橋さんは目を覚ます。

独り身なので寂しがり屋なのがキュートな常連さんだ。

年の割には頭もシャキ!としているような感じがする、知らんけど。


「はい!こちら、高橋さんが来た時にお話しした写真です~見比べてみてください!」


そういいつつ私はそばに置いていた紙製の写真を鏡に映るように高橋さんの顔の隣に持っていく。


画面には私が高橋さんの要望から聞いて、YOHに具現化させて作った完成モデルのイメージ画像が印刷されている。

我ながらうまく寄せられたと思う。


「大丈夫だよ、ありがとうねぇ」


じっとしばらく真剣なまなざで見比べていたあと、高橋さんはしわが多い顔をにっこりとさせる。


「今時の子は紙なんて使わないだろう?私のためにすまないねぇ」


「いえいえ!高橋さんが機械とか苦手なのはわかっていますから-」


そう、2025年にシンギュラリティが起きてから世の中は急に変わっていった。

当時小学生だった私でもキュースマが一気に廃れたり、テレビ画面という家電が急速に消えたりしたのを鮮明に覚えている。


その中で、老人だけが取り残されていった。

高橋さんもそのうちの一人だ。


なので、旧式タブレットを通り越して高橋さんにも伝わりやすい紙に印刷をしている。


「こんな見習いでよければいつでも頼ってくださいねー」


そう言いながら、小学校から起きたことを軽く振り返ってみる。

YOHが出てきて一番最初に心配されたのは人間の一斉リストラだった。

実際に大企業は早期退職を一斉募集、失業率は大幅に悪化した。

しかし、それは長くは続かなかった。


<YOHは人間のような立ち振る舞いをするが、人間ではない>


この概念が広く世間に浸透したのだ。

特に当時から人とのつながりを大事にしていた高齢者世代にとって、YOHは難しい故に人ではないという大前提が流布されていた。

そのうえ、人間のような会話は可能であるが、中身がよくわからない。

という理由で人間に頼る人が多かった。


結果として、かつては軽視されていた「人と人のコミュニケーションをとる仕事」が増えていった。

その中には私のような美容師なども含まれるが、タクシー運転手なども含まれる。

運転中に誰か生身の人間と話したい、という世間のニーズが消えなかったためだ。


──そして、その動きは私たち若者にも浸透しつつある。


確かに、2025年の時には私の歳の離れた姉は大規模言語モデル(LLM)に起因したAIに恋をしていて、毎日キュースマに話しかけていた。


だが、その流れもYOHが出てきて一気に廃れた。


<人間と繋がりたい>


その人間が人間であるゆえの欲望が一気に爆発した。


確かにYOHを搭載したヒューマノイドロボットはあるにはあるが、彼ら?は歳を取らない。

コチラも私の姉を含めて一時期大ブームを起こしたが、一気に冷めたイメージだ。

あらゆるものが代替される、恋愛も必要ない、そんな時代がくると小学校の時には言われていた。


しかし、結論から言うと「承認欲求は人間にしか満たせない」という結果なった。

というわけで、今うちの姉は結婚指輪を左手の薬指にはめる訳となったわけだ。


と、なんだか久しぶりに色々と考えていると


「ゆいちゃん、ゆいちゃん!」


高橋さんに呼ばれていた!


「は、はい!」


あわてて返事をすると、高橋さんは現金を差し出す。あ、忘れてた。お会計だ。


「今日はありがとうねぇ、20歳の集いなのに。これほんの気持ちだよ」


といいつつ高橋さんは懐から飴玉を取り出す


「え、いいんですかー?じゃあ頂戴しまーす!」


包装をはがしてなめているとそこに待ち合わせをしていた凛が現れた。


続く。

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さん

ゆうマロっち さん

に応援されています。

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