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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第1章 まだ平穏

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同窓会の朝─出席番号1番「跡部凛」②

YOH同窓会TIPS

2025年8月にはYOHが主体となって開発したホログラム端末「ネクストフォン(ネクホ)」が販売。

旧式スマホ(キュースマ)がタッチパネル操作なのに対し、ネクホは音声、視線で操作できることが可能。

2035年1月15日 陽国 姫野県某所


跡部家


私、跡部凛はゆいとのDMを終えて今日の一連の流れを思い出す。


まずは、7時までにここから歩いて10分くらいにある、ゆいが勤めている美容室に行く。


今の時刻をキュースマで確認する。6:13と画面には表示されている。まだ時間には余裕がある。


朝ごはんを食べてしまおう。

そう思い立ち、2Fにある自室を出て音を極力立てないように

─家族がまだ寝ているからだが─1Fへとたどり着く。


キッチンについてふと悩む。

音を立てずに朝ごはんを作り食べるにはどうしたらよいだろうか。

両親はいつも7時くらいに起きる遅起きさん

─だから私が朝弱者なのも遺伝なのかと思うが─なので今音を立てて起こしてしまうようであれば申し訳ない。


何か母が作り置きでもしているという奇跡を望みながら冷蔵庫を開けるものの、

冷蔵庫には豆乳や納豆、ヨーグルトという無難なものばかり。

野菜室も見てみたが、お隣さんが昨日差し入れでくれた夏みかんが多く入っていた。


冷凍庫まで見てお腹にたまりそうなものは、冷凍うどんだけだった。

レンジでチンしてしまうと親を起こす可能性がある。

潔くみかんを大量に食べておこう。

ありがとうお隣さん。


中玉のみかん、若干皮が向きにくかった、をなんとかお腹に入れて時計を見ると時はすでに6:32。しまった、メイクをする時間がない。


晴れの日に簡単なメイクで行くわけにはいかない。

しかも私はメイクがあまり得意ではない。

仕方がないので、なんでも器用なゆいに任そう。

だが、しかし待ち合わせ場所へ行く徒歩10分の間に世の中にスッピンをさらしていくというのも気が引ける。


今日、大事な日だし。


そこで、一つ普段なら絶対に思いつかないアイデアを思いつく。

YOHモバイルを使おう。


5年前に政府が実証実験を終え、正式にリリースした「YOHモバイル」

これは、国民一人一人にYOHの機能の一部を無条件で使えるようにするというものだ。

その分け与えられた機能の一つに「マイアバター」がある。


自分の理想な顔を周囲に見せることができる優れものだ。

周囲からは私のことをアバターで見せることができるうえ、内側からは通常の肉眼で見えるのと差異のない景色を見ることができる。


やや思想が昔チックな親の影響でYOHモバイルを使わなかった私。なんなら今でもキュースマを使い続けているのだが、ここは文明の利器に頼ろう。


キッチンから移動し、隣接するリビング。

そこの壁棚にある箱を取り出す。


YOHモバイルがリリースされたときに国民1世帯あたり1個配布された汎用型のネクストフォン(ネクホ)だ。腕に巻き付けると自動的に画面が立ち上がる。


家族の中から私のアカウントを選択する。

操作はいたってシンプル。YOHモバイルに向かって、私の名前を言うだけ。

認証は基本的に音声で2段階認証で身体の神経がうんたらかーたらとかあるがそこはよくわかってない。


これでもまだ若い私はネクホが支給されたときにちょっとだけだが触っていたのだ。親からは白い眼を向かれたが。

ただ、実際に使ったことはない。果たしてうまくいくのか。


「アバターモード起動」


そうコマンドをつぶやくと視界が若干ブレる。多分うまくいっているだろうと思いつつそのまま出かけることとする。


今日は20歳の集い。

新しい自分になるために一歩踏み出すのには最適な日。

たまにはこうやって新しいものにチャレンジしてみるのもいいだろう。


ホログラムの右上に表示された現在時刻は6:47。まだ間に合う。

あわてて、そこそこの着替えをして外に出る。

ダッシュすれば約束の時間を破ることはない。


初めてYOHにお世話になっている私を見て、ゆいはどんな顔をするのかな。


続く

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さんに応援されています。

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