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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第3章 配信開始

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配信開始~他者の配信②~

YOH同窓会TIPS

YOHは人間と同じ体験をできる最新型AIだ。

だが、内から出てくる感情をうまく表現しきれないという欠点がある。

2035年1月16日 監禁場所 13:16


ゆいの自室


□関 ゆい


『×茶兎さとくん。私は、こっちの凛はAIだと思う。』


ダメ元で茶兎さとくんの配信にコメントを送ってみる。

驚いたことに、他のコメントは任意のユーザー名なのにもかかわらず、

私の名前は本名で通じた。


それを見たのだろう。

茶兎さとくんがコメントをやや驚いた表情を見せる。

コメント欄も<ほかの配信者ライフセーバーの登場>に驚きを隠せないようだ。


「え?ほかの配信者ライフセーバー?」

「15番の子だ!」

「これは、一旦信ぴょう性あるか?」


このように一時的に「〇」「×」が付いたコメントがなくなる。


「ゆい。いたのか。なぜ、そう思ったんだい?」

りんはあんなに童顔じゃないし、背も小さくない。あの子は高校1年で身長7cm伸びてたし。』

当時、これで低身長脱出だよね!って若干はしゃいでいたりんを思い出しながらそう答える。

それまでりんは、出席番号順でも背の順でも1番前だったのがコンプレックスだったのだ。


「となると、正確に5年くらい前か?」

画面先の茶兎さとくんが悩む。


「ここで僕の仮説を言わせてください。」


ここでいったん間を挟む。

一瞬で茶兎さとくんの雰囲気が変わったことを肌で感じ取る。


配信者ライフセーバー跡部あとべりんはAIである。そう思いませんか?」


茶兎さとくんが流れを変えに来た。

私の発言を援護射撃だと思っていたのだろう。流石、茶兎さとくん。

クラスメイトの配信を周ったうえで、この仮説にたどり着いていた。

彼がどのような話の持って行き方をしていきたかったのは不透明だが、結果として私のコメントによって早く勝負に出て行けただろう。


コメント欄の様子はどうか。

「× 元クラスメイトが言うならそうじゃないか?」

「〇 人間の記憶には限度があると思います。気のせいかと。」

「× 実名で言っているのがどのコメントよりも信頼がおける」


彼の言い方としては、あくまで配信中は中立のスタンスを保っていたのだろう。

後ろのホワイトボードにはりんがAIであると思われる根拠、逆に人間だと思われる根拠が黒字で書かれている。


「〇 AI同士の自作自演では?」

「× 何が本当かわからない」

「× 信じたいけど、そもそも15番さんが、ひっかけまわしに来たAIなのでは?」


コメント欄では「私が実名でコメントしたこと──正確に言えば、そういう仕様だったわけだが──」と「他の配信者ライフセーバーが特定の他者に対して明確なAI判定をした」ことに対してのざわめきが止まらない。


つまり、ここで私が人間だということを証明する必要がある。

茶兎さと──少なくともAIがこんな企画をやる必要がない──と私が人間であることを証明するために。

戸惑っていて次の展開が読めない。

その間に苛立ってくるコメント欄。

そこで茶兎さとくんが鶴の一声を発した。


「みなさん、ここでゆいが<AI>なのだとしたら、何かしらのコメントを打つのではないのでしょうか?

みなさんご存じの通り、今回のAIは非常に完成度が高い──もはや人格を何かしらの手段でコピーできるレベルで。

それほどのAIなのであれば、ここで何か<それっぽいこと>を言うのではありませんか?」


一瞬、コメント欄を含んで時間が停止したようだった。

あまりにまとも過ぎる。

そのまともな意見を基に、陽国民が理解をしようと試みているような。


その隙の後、「×」で始まるコメントが連発し始めた。


<証明完了>

民意

配信者ライフセーバーとして

跡部あとべ りんは<AI>である。

関 ゆいは<人間>である※茶兎さとの擁護によるもの。

山口 茶兎さとは<人間>である可能性が高い。

そして、

村上 花菜はなも<人間>である可能性が高い。※茶兎さととペアのため。

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さん

ゆうマロっち さん

に応援されています。

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