海を越えて見つけたもの
YOH同窓会TIPS
落合 有栖は看護の経験はないが、知識だけある。
どうやら知識量だけならクラス1のエリートのようだ。
2035年1月17日 16:51
大証府
□越智 歩緒生
「ついにここまで来たかぁ~」
大証府の看板を見て一番最初に見つけたコンビニの前に路駐をする。
普段こんなことやったら、弟とかに怒られそうな気もする。だけどあいにく今日は私とるる以外誰もいない。
そして、そのるるは今助手席で爆睡中だ。
こっちは運転で大変だってのに。まあ、免許持っているの私だけだからね。
いくら誰もいない町にいるからって言っても無免許のやつの助手席で休める気もしない。
車から降りて、特段意味もなくコンビニの中に入ってみる。
ここだって姫野や宇田と同じ。何も陳列棚にはおかれていない。
まるで、開店直後のようなきれいさだ。
たばこのところにも何も置いてない。
やっぱり意味なしか~
そう思っていたら入り口に人影。
「るる、起きた?」
「どこ行ったかと思ったぜ。ここは?」
私の苦労も知らずにるるは後ろの髪を搔きながらあくびをしている。
「大証まで来た。とっくに海超えたよ。」
「そうか…」
「ところで、今日はどこまで行く?」
そうだ、私たち二人はただただ抜け出したい思いだけで梅山を脱出したのだが、正確な目的地なんて決めてなかった。
「どこって…決めてねぇよそんなの。」
「そうだよねぇ」
「なんだ、ヒヨってんのか?」
ん~ビビってないというとうそになる。
今、みんなは何をしてるんだろう。私たちのことを心配とかしてくれてんのかな。
そう考えるとちょっと寂しくなってくる。
2日目のゲームを放棄した私たちをみんなは迎えてくれるだろうか。
「ねえ。引き返さない?」
そこまで言うと、るるは頭を掻くのをやめた。
無音が空間を支配してすごく気まずい。
「このまま進み続けても、誰もいない街しか待ってない気がする。それだったら、居酒屋に戻ってみんなと過ごしたいよ。」
「何を言ってるんだよ。そもそもお前が抜け出しているところに俺が便乗したんだよ。」
「それはわかってる…!」
それはわかっているのだ。私のわがままだって。わかっているんだけど、それ以上の言葉が口から出なかった。
あの空間から出れば何かがわかるって思ってた。
あそこからさえ抜け出させれば日常生活に戻れる、そうやって思ってた。
だけど、待ってたのはただひたすらに人のいない不気味な街と孤独感。
1人じゃなかったからここまでこれたけど、私はもう限界だった。
「ねぇ…戻ろうよ…」
孤独感から私の声に涙が混じるようになる。
「ったくめんどくせえな…お前が行かないなら俺は一人でも行くぞ。車貸せ」
車の方向へ戻ろうとする、るる。車のエンジンはつけっぱなしだからそのまま行かれたらマズい。
「ちょっと!それがないと私は戻れない…!」
そう言って、るるにとびかかった私。だけど、体格差の関係で私の身体はすぐに吹き飛ばされてしまう。
壁に全身を打ち付けて、むせる。
何とか体制を元に戻したとき、私が目にとらえたのは私が運転していた車が走り去っていく様子だった。
◇
どれくらい時がたったんだろう。
私は蛍光灯の下に横たわっていた。
そうだった、私はるるに投げ飛ばされて、そのまま…気絶したんだ。
動かすとまだ痛む関節に鞭打って身体を持ち上げる。
どうせこのままここにいたって何も変わりやしない。
1人でも姫野まで歩いて帰ってやる。
そう思ってコンビニから出た時に私は気づいた。
さっきと景色が変わっている?
私は国道沿いのコンビニにいたはずだ、目の前にアーケードなんてなかったはず。
それに、このアーケード商店街。見たことがある。
私はアーケードをまっすぐに走り出した。
そして、端っこまでたどり着いて、息を整えながら前を見る。
そこに見えたのは梅山城だった。
「私…帰ってきたの?梅山に…?」




