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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
終盤の心理戦

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人生初経験

YOH同窓会TIPS


幸司郎こうしろうは中学まで野球をやっていた!

2035年1月17日 8回の表 2-2 ノーアウト満塁


第三小学校 校庭


□伊藤 瑞樹みずき


ピッチャーをやってくれ。そういわれても野球初心者すぎてわからない。

そもそも終盤でピッチャー交代してど素人に任せるってわけにはいかないだろう。


内野のみんなに代わってくれ、といったがそもそも野球のピッチャーは最低でも1人抑えないと交代できないらしい。

ってなわけで頑張って抑えろ。という流れになった。


(ランナーがいなかったら申告敬遠でも何でもできたのに…)


えーっと野球のボールってどうやって握るんだ?なんか昔動画で見たな。

確か縫い目に対して4点引っ掛かるようにするとフォーシーム。2点で引っ掛かるようにするとツーシームってやつになるんだっけ。


いつか見たプロ野球選手のピッチャーの動画を見様見真似でやってみる。

ピッチャープレートの上に右足を置いて左足を前に。

グローブをなんとなく構えてから左足を上げてからオーバースローで投げてみる。


キャッチャーの幸司郎こうしろうがやや腰を浮かせて捕球した。


「初めての割には意外といけるじゃん!瑞樹みずき!あとは一回グローブを静止させてから投げてくれ!じゃないとボークを取られちまう!」


ボ、ボーク?ボールじゃなくて?

聞きなれないルールだが、ルール違反の一種か。

というか今のでピッチャーできるのか?



ピッチャー交代時の投球練習時間があっという間に過ぎてバッターを迎える。

幸か不幸かわからないがバッターは兵頭。

こっちも野球初心者のはずだからどっこいどっこいだろうか。今日はノーヒットで迎えている。


一球目。幸司郎こうしろうは真ん中に構えている。

振りかぶって投げたはずがホームベース前でワンバウンド。

練習の時には高めに浮いていたはずが、今度は低くなってしまった。


「大丈夫大丈夫!相手は兵頭だぞー」

「ツーアウトー!」

「できるできる!」


キャッチャーの幸司郎こうしろうはじめ内野陣から暖かな声援をもらう。

できる、って言われてもだな。


人生初めての大役で俺はプレッシャーで身震いする。

考えていたってしょうがない。


俺は2球目を投げると今度はストライクゾーンに。

その球を兵頭は打ち返し3塁線へゴロとなる。


しかし、やや浅く守っていた藤原の正面。

ちゃんとした足取りで捕球し、セカンド、ファーストと送球しトリプルプレー。


俺の初マウンドはなんとか一人の打者で終わることとなった。



「ナイスピッチ!」


ベンチに戻ると幸司郎こうしろうが笑顔で声をかけてくる。

そのまま俺の右隣に座った。


「プレッシャーで死ぬかと思ったよ。」


他にもチームメイトが次々と称賛の声を上げてくる。

ひとしきりの祝福を受けた後に、頭を上げてハンカチを広げて被る。


俺よ。よくやった。


「なあ、瑞樹みずき


俺がそうやって至福によって意識が遠のこうとしているときに幸司郎こうしろうが話しかけてきた。


「俺、よかったよ。お前がピッチャーああやってやってくれて。」


「…どういうことだ?」


「俺、誰がAIで誰が人間かって全然わかってなかったんだよ。でも、こうやって親しいやつが人間っぽいふるまいしてくれて本当に良かった。」


「ありがとう…ところで、あおいはどうなんだ?」


俺の前に力投していた女子の名前を挙げると幸司郎こうしろうは肩をすくめて笑った。


「あいつも人間だな。何かしらの執念ってのを感じた。」


話を聞くと野球のキャッチャーというのはピッチャーとの信頼関係で初めて勤まるポジション。

プロで同じピッチャーでもキャッチャーが違うだけで成績が変わるなんてこともあるらしい。


「だから、ピッチャーのことはよくわかるんだよ。お前が緊張してるのは俺の位置からでも痛いくらいに分かった。」


そうやってニカッと笑う幸司郎こうしろう

こんな形で自分のことを人間だと思ってくれる奴が一人でも増えてくれたのだったらよかった。

でも、次の回から誰か代わってくれないか?

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