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アイ ドント ラブ AI!!  作者: 花園三京-Chan-
第2章 混乱の始まり

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20歳の集い~記憶力は万全~

同窓会TIPS

この世界でのリモート参加は、モバイルYOHの標準機能

「立体ホログラム」機能を使って主に使われる。本人自体がやや青くなってしまうという技術的欠点はあるが、目の前に本人がいるという感覚は味わえる。

2035年1月15日 姫野県 同時刻


西ノ姫市役所前


五百旗頭いおきべ 悠斗ゆうと視点


「ありゃあ、凛と関か?」


遠目に見えるのは、車の前で蹲っている和装姿の黒髪と金髪をきれいに結んだこちらも和装姿の女子2人ペア。


「まあ、そうだろうね。凛は相変わらず寝坊助のようだ。」


左やや下から山口 茶兎さとが声をかける。

俺の身長は188㎝だが、さとの身長は168㎝頭一個分とはいかないが、かなりの身長差はある。


「うし!じゃあ、声をかけようぜ」


おーい!

と声を出しながら前に進もうとする俺の左手を掴んで茶兎さとが制止する。目を見ると「行くな」と言わんばかりの表情だ。


「忘れたのかい?凛は目立ちたがり屋じゃない。毎朝遅刻ギリギリで来る際にも、クラスの注目を浴びていて顔真っ赤にしてたじゃないか。」


そう言われればそうだな。

「ギリギリン」っていうあだ名はさっき漁港でちらっと見かけた幸四郎こーしろーがつけたあだ名だったか。

凛が持っていた赤いランドセルと同じくらい顔を真っ赤にしてたよな。

学校がある日は毎朝の恒例行事だった気がするな。


「それがどうかしたか?」


その言葉を聞くと茶兎さとはやれやれと言わんばかりに首を振る。


「目立つのが嫌いな凛が今少しふらついて周りに見られただけで蹲ってるんだ。

ここで君が話しかけたらあの子気絶するんじゃないか?

特に君最後に凛とあってから筋肉量32%は増えてるだろう?」


筋肉量についてはいささか自分でも自信がないが、最後に会ったのは中学の卒業式の時だったな。

そういえば、あの時凛のやつは俺に何か言いかけていた気がするが。。。


「ただでさえ、スーツが筋肉ではち切れそうな体格の男が話しかけてきたら、もっと注目される。それはあの子のためにならないだろう?」


そうやって茶兎にいわれて自分の胸元を見る。

32%増えたかどうかはわからないが、確かにマッチョちゃマッチョだ。

いつの間にこんなに筋肉ついたんだ、俺。


「それだったら、中に入るか。幸司郎こーしろーのリモートモバイルYOHリモバヨを所定の位置に置くか!」


「ああ、それだったら僕がやっておくよ。なんだって──」


おーい!ゆーと!こっち来いよー!と遠くから呼ぶ声が聞こえる。


「君は昔っから人気者だからね」


「わりぃな」


そう会釈しつつ俺は声の主がいる集団に向かっていく。



□山口 茶兎さと視点


今回の20歳の集いにはリモート参加が2種類認められている。


1つ目は、リモート参加組でまとまって立体ホログラムとして受けるスタイル。こちらは事前申請をするだけで受けることができる。

2つ目は、現地参加組に場所を用意してもらうスタンスだ。こちらは、中が良い友達がいるかどうかがキーとなる。こちらは事前申請ではなく、あらかじめ依頼した友達などに自分の場所を取っておいてもらう必要がある。


因みに、幸司郎こーしろーは事前申請を忘れていたタイプ。

それもあって、今朝仲が良い悠斗ゆーとに頼み込みに来ていたわけだ。


つまり、今僕が漁港で幸司郎こーしろーと出会わせたのは本当に偶然で、その延長線上で彼の席を用意しようとしている。


(本当に、僕はお人よしだよなぁ)


そんなことを思いながら、


「西ノ姫市20歳の集い」


と書かれた横断幕の下をくぐり市役所の大会議室へ向かう。


僕が用意すべきは少なくとも3つの席。

1つはもちろん自分の席。

2つ目は幸司郎こーしろーの席。

最後は悠斗ゆーとの席。

幸司郎こーしろーの席だが。


仲間が多い悠斗ゆーとを確実に幸司郎こーしろーに座らせるにはどうしたらよいだろうか。

そんなことを思うが、僕は一つ忘れていたことがある。


「僕って誰とも写真撮ろうって言われてないよね?」


続く

この小説は配信アプリREALITYにて

前髪ナル さん

ゆうマロっち さん

に応援されています。

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