本当に婚約破棄しても良いんですね
王太子のジャックは5歳の時に婚約した婚約者のエミリーを嫌っていた。
エミリーは聖女と呼ばれる伯爵令嬢だ。
何時も病弱で顔色も悪く艶の無い金髪が嫌いだった。
私の婚約者は誰でも認める程美しくなければならない。
だから父である国王に婚約者の変更を望んでもお前は婚約者のエミリーに途轍もない程世話になっているのだから駄目だと話を打ち切られる。
仕方なく母である王妃も父と同じく話を聞いてくれない。
理由を聞くと幼い頃の病弱であった私を助けてくれたのはエミリーなんだと言い返される。
今の私は健康なのだからもう関係無いだろうに許してくれない。
そして時が過ぎ15歳になり学園に通う様になりそこで私は運命の人に出会う。
バローズ侯爵家の令嬢アナスタシアだ。
密かに交流を重ね、私はアナスタシア令嬢と交際を始めた。
アナスタシア令嬢は美しく髪も艶の有る金髪だ。
そして婚約者をエミリー令嬢からアナスタシア令嬢に婚約者を替えて下さいと言っても父や母、そして弟や妹も返し様の無いほど世話になっているのに何を言っているのだと全員怒りだす。
私は止める側近を無視してアナスタシア令嬢との交際を深める。
そして卒業を向かえ卒業パーティーでエミリーに婚約者破棄を告げる。
「私は聖女と言いながら誰も癒さない偽聖女のエミリーとの婚約を破棄し運命の相手であるアナスタシア嬢と婚約する」
するとエミリーが返事をする。
「本当に良いんですね、それなら婚約破棄を受け入れます」
すると卒業パーティーを見に来ていた父がエミリーに声を掛ける。
「エミリー伯爵令嬢、今まで苦労を掛けて済まない、このあとお礼は幾らでも払おう」
そして婚約をアナスタシア令嬢に替え翌日を迎える。
すると翌日から体がだるくて起き上がれない。
これではまるで5歳の頃の様だ。
いくら薬を処方して貰っても起き上がれない。
半年が過ぎても起き上がれないと弟が部屋を訪ねて来た。
「兄に替わって僕が王太子になったので安心してベッドで寝ていて下さい」
「何を言っている、私はもうすぐ治るのに何を言っている」
「兄上こそ聖女エミリー様のおかげで健康になれたのに、何を言っているのですか」
「何故エミリーのおかげなのだ」
「エミリー様が自分の為の力まで聖女の力を全て兄上に使って居たからこそ兄上は健康になったのですよ。それを反対する僕達を無視した兄上が悪いのですから」
「どういう事だ」
「聖女エミリー様は今頃神殿で数多くの人を治していますがその力を全て兄上に使っていたからこそ兄上が健康だったのにそれを捨てた兄上に未来がないから僕が王太子になったのです」
そう言って僕は兄上の部屋を出ていった。
後半年以内に兄上の葬儀が行われるだろう。