性格極悪美少女探偵と狙撃事件
悠は頷いた。
綺羅は功一を見て
「こいつは違う」
と指をさした。
功一はハッ!とすると
「こら!綺羅」
と顔をしかめた。
悠は笑って
「功一も友達です」
と告げた。
宏司は笑って
「他にも来賓がいるから」
こっちに
と大回りをして裏手の方へと連れて行った。
来賓と言うのはスポンサーなどで椅子なども用意されている特別な人たちである。
撮影場所を円とすれば3分の2くらいが一般や偶々見つけた人の垣根で、残りの6分の1が監督や撮影スタッフが準備をしていく場所で、残りの6分の1が特別来賓席である。
宏司は綺羅たちに来賓席に座っている人々について話をした。
言わば、勇仁の後ろ盾である。
知っておいた方が良いと思ったのである。
大手薬品会社の取締役の富田修三。
大手不動産会社の社長の賀川辰雄。
他にも麻生松樹、原作者の神在月直など5名ほどである。
綺羅は宏司が席の後ろから指をさしながら名前を言うのを聞きながら僅かに目を開いた。
『賀川辰雄』
『神在月直』
この二人に関して名前に憶えがあった。
綺羅は口元に指先を当てると
「確か」
と呟き
「…おいおい、まさか」
川瀬ひかりが送ってきたリストに載っていた人物じゃないのか?
と心で告げた。
確かに賀川辰雄は不動産会社で神在月直は作家と書いていた。
あの一覧。
何一覧なのか分からなかった。
だが。と、彼らの後ろに並んで立ち父親の勇仁が綺羅たちに気付いて笑顔で手を振って撮影の立ち位置についた瞬間に綺羅はふと正面のビルの上の光に気が付いた。
一瞬の輝き。
綺羅はハッとすると
「父!!」
と強い口調で呼び
「狙撃だ!!」
と叫んだ。
瞬間に全員が驚いて腰を浮かして立ち上がった。
悠も驚いて
「綺羅!」
と言った時に神在月直が倒れた。
悲鳴が響き、綺羅は舌打ちすると神在月の前に立って両手を広げ、ビルを指差すと
「正面のビルの10階の窓だ!!」
救急車と警察!
と叫んだ。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




