86/148
極悪少女とビスクドール ~一回きりだぞ約束は!~
同じ時、東京の一角にある巨大なビルの屋上にある別名『天空の花園』と付けられた花壇に綺羅と悠は訪れていた。
綺羅はヒマワリを一本置くと
「俺はどういう関係だったかは知らないが」
彼女はこうして欲しかったと思う
と告げた。
「花園に花を置いても誰も気にはしないだろう」
悠もそれを見つめ
「…そうだな」
と答えた。
「叔父さんはここに?」
綺羅はそれに小さく頷くことで応えた。
悠は空を見上げ
「前にだけど15、6年前の身元不明の死体が見つかったってニュースで流れていたことあったけど…」
そう言うのあるんだな
と呟いた。
何時か。
このビルが建て直しされる時に発見されるのかもしれない。
綺羅は小さく
「だが俺は忘れない」
と呟いた。
ただ一度の出会いも。
ここが巨大な墓標であることも。
そして…叔父を思う女性がいたことも。
真昼の陽光は降り注ぎ周囲でそれぞれの時間を過ごす人々の明るい声が2人を優しく包み込んでいた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




