極悪少女とビスクドール ~一回きりだぞ約束は!~
悠は厚村と鮎原を一瞥し、綺羅に戻すと
「綺羅はどうして警察が犯人を割り出していると判ったんだ?」
と聞いた。
「ゴミ箱で想像ついたんだろ?」
綺羅は頷いて
「そうだ」
と答えた。
功一は心で
「悠には答えるんかい!」
と突っ込んだ。
綺羅はゴミ箱を指差すと
「普通手羽先を食べた後に拭くのは手だけでウェイトティッシュの枚数をこんなにも使わない」
と告げた。
「恐らく彼女は汚れた手で戸を開けてウェイトティッシュを台所に取りに行ったんだと思う」
この部屋にはウェイトティッシュが無いからな
「それで手を拭き、後汚れたドアノブなどを含めて綺麗に拭きとった」
功一は「なるほどそうだな」と答えた。
厚村と鮎原は黙ったまま綺羅を見ていた。
綺羅は彼らを見回し
「通常、事務所の人間の指紋というのは彼女の部屋に常に出入りしていたらついてて当り前だ」
だから犯人が注意を払うのは殴った凶器だけ
「そこさえ拭き取り自分が先に帰宅したと見せかけてアリバイさえ作れば問題はなかった」
だが
「彼女は殺される少し前に甘辛手羽先の為にドアノブの全ての指紋を拭きとっている」
それを犯人は知らない
「彼女の夕食前に帰宅するか彼女の夕食以降に訪れていないはずの人間の指紋がドアノブに残っていたら?」
と悠を見た。
「だから運が悪いと言ったんだ」
功一は驚きながら厚村を見た。
「そうなんですか?」
厚村は頷いた。
「ああ、川瀬ひかりは残業していてな」
犯人が先に帰宅した様子が事務所の入口の防犯カメラに映っていた
「知らぬふりをして彼女に確認したら先に帰宅をして家でテレビを見ていたと証言している」
なのに彼女と川瀬ひかりの指紋だけが部屋の内側と外側のノブから出てきた
「警察もバカじゃない」
犯人の目星は直ぐにつく
「落とすのも問題ない」
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




