極悪美少女探偵登場…本人はやる気なし…
そこには
『寒山達雄12年前の恨みを忘れていない。俺は空を飛んで殺しに行く』
と新聞や雑誌の切り抜きで貼られていた。
「夫は馬鹿らしい気にするなと今日も部屋で籠っているんですけど」
功一は驚きながら
「凄い、テレビで見たような脅迫状だ」
と呟いた。
天宮櫻子もまた
「なんか、気持ち悪いわ」
と呟いた。
連城春も頷き
「本格的だ」
と身体を震わせ、港斎も「本当に飛んで来たらどうするかだよな」と呟いた。
悠はフムッと息をついて
「それで、これは何時届きました?」
と聞いた。
「それに12年前って何か思い当たることは?」
功一は
「おお、まるで探偵っぽい」
と悠を褒めた。
が、綺羅は心で
「いや、探偵としてきたんじゃないのか!?お前ら!」
とビシッと突っ込んだ。
美津子はそれに
「これが届いたのは一週間ほど前で…それで皆さんのサイトを見つけて依頼を」
と言い
「12年前で思い浮かぶのは大隅工場のお夫妻が自殺なさったことくらいしか」
と告げた。
全員が顔を見合わせた。
悠はそれに
「詳細をお願いします」
と問いかけた。
彼女は困ったように
「夫が土地を貸していたんですけど…立ち退きを」
そうなると工場を閉鎖しなければならなくて
「元々ギリギリでやっておられた工業でしたし…それで自殺を」
と言い
「大隅夫妻には息子さんがいて」
もしやとは思うのですけど
とふぅと息を吐き出した。
櫻子は「つまり、復讐ってことね」と呟いた。
功一も「多分そうだろうな」と告げた。
悠も考えながら
「12年前って書いてきてるしそうだな」
と呟いた。
綺羅は黙ったまま
「単純」
と心で突っ込んだ。
美津子はため息交じりに
「心配だわ」
と言い、立ち上がり掛けて響いた声に顔を上に向けた。
悠も綺羅も功一も全員が立ち上がった。
美津子は驚き震えながら
「夫の声だわ」
と告げた。
悠は「ご主人の部屋は」と聞いた。
美津子は慌てて
「階段を上がって左の通路の奥側ですわ」
と言い
「鍵が掛かっているので先に二階へいってちょうだい」
鍵を取ってまいりますわ
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。