極悪少女とビスクドール ~一回きりだぞ約束は!~
悠は頷くと
「ん、凄く頭の良い人だったな」
綺羅は会った事がなかったな
と告げた。
綺羅は戸惑いながら
「うん」
と頷いた。
恐らく、綺羅がその後に一度だけ会った事を悠は知らないのだ。
母が死んでから3年。
そう綺羅が三歳の時に熊のぬいぐるみをくれた写真の母に似た男性。
彼が叔父の玲に違いない。
つまり、あれは綺羅と叔父だけの秘密だったのだ。
あの時は森で出会った熊さん。
今度はお嬢さん。
だが『黒崎玲』ではない。
『黒崎ひかり』だ。
この黒崎ひかりが何者かは分からない。
ただ一つ言えることは叔父が偽名を使ったか、もしくは叔父の関係者か。
どちらにしても叔父に関連しているということだけは間違いない。
その翌朝。
一人の女性の変死ニュースが流れた。
被害者の女性の名前は『川瀬ひかり』。
年齢は34歳。
26歳まで警察庁で勤め、その後弁護士に転身したキャリアウーマンであった。
綺羅は流れていたテレビのニュースを見て大きく目を見開いた。
彼女の遺体が見つかった弁護士事務所の様子を映した映像の中にビスクドールが飾られていたのだ。
そのビスクドールの膝の上に置かれていた手作りの天秤とヒマワリ。
それは綺羅に送られてきたビスクドールと一緒に入っていた天秤と同じものであった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




