極悪少女とビスクドール ~一回きりだぞ約束は!~
送り主の名前は『切草宏香』となっていた。
だが本名ではないだろう。
綺羅は少し見て
「黒崎ひかり、か」
と呟き
「母の家族については知らんが…父にそれとなく聞いてみるか」
と紙の天秤を机の上において、ビスクドールを手に部屋を出た。
リビングで本を読んでいた悠は部屋から出てきた綺羅を見ると
「問題はなかったのか?」
と聞いた。
綺羅はビスクドールを見せて
「綺麗な人形だった」
と告げた。
悠は身体を起こすと
「ビスクドールだ」
結構高いんだけど
「誰だったんだ?」
礼を言わないといけないだろ
と告げた。
綺羅は悩みつつ
「それが連絡先分からなくてな」
前に財布を落としたのを追いかけて渡したんだが
「礼を言いたいからと住所を聞かれて」
と告げた。
悠はジッと綺羅を見た。
綺羅はジッと悠を見返した。
悠は大きくため息をつくと
「わかった」
と答え、にっこり笑って
「綺羅が話そうと思った時でいいか」
と告げた。
兄には敵わないな…と、綺羅は小さく俯き
「母さんの家族のことを知っているか?」
と聞いた。
悠は目を見開くと
「お母さんの家族?」
と聞いた。
綺羅は首を振ると
「わからないが、恐らく『黒崎ひかり』と書きたかったんだと思う」
と告げた。
悠は顔を顰めつつ
「母さんの両親はもう亡くなってるし姉弟は弟の玲さんだけだった」
玲叔父さんは母さんの事件以降姿を見せてないから
「今どうしているか分からない」
と告げた。
綺羅は悠の顔を見て
「叔父さん?」
もしかして母さんに似てた?
と返した。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




