極悪美少女探偵登場…本人はやる気なし…
依頼は東都電鉄の四辻橋からJRと交差する鶯谷駅を越えて多摩川の方へと向かう途中にある成城学園前駅の近くに住む女性からのモノであった。
成城学園前駅の周辺には大きな家が立ち並び資産家も多く、その一角に依頼主の洋館があった。
屋敷を取り巻く壁は煉瓦造りで庭には百日紅や四季の木々と花々が植えられていた。
洋館自体は白亜の愛らしい作りで、緻密な彫が施されている扉の向こうには吹き抜けの広いホールが来る人を出迎えていた。
綺羅と兄の悠と飯島功一、そして、二人のクラスメイトで探偵サークルの天宮櫻子、連城春、湊斎の6人を出迎えたのはその広々としたホールで待っていた洋館の主・寒山達雄の妻・寒山美津子であった。
彼女は高校生探偵5人とオマケの小学生の可愛らしい少女1人を出迎え
「あらあら、可愛いお嬢さんも一緒なのね」
と言い
「高校生で探偵をされているなんてすごいわね」
と微笑ましく見つめ
「どうぞこちらへ」
と左側の廊下にある二つの部屋の内の奥にある応接室へと案内した。
代表者である功一はキリッとすると
「はい!」
と答え、足を踏み入れた。
悠は手を握る綺羅を見ると
「綺羅は俺が守る。安心して良いからな」
とにっこり笑った。
功一はハァと息を吐き出すと
「相変わらずブラコン丸出しだな」
とぼやき、天宮櫻子に
「あら、家で一人だと可哀想じゃない」
と注意を受けた。
港斎も「そうそう、飯島君は酷いわ」と相槌を打ち、連城春は
「まあ、お母さんを早くに亡くして父親の皐月勇仁は有名な俳優だから」
悠がいなかったら一人になるからな
と頷いた。
綺羅はウルウルと瞳を潤ませ
「お姉さんやお兄さんたちが優しくて良かった」
と淡く笑みを浮かべた。
功一はハッと笑い
「芝居うちやがって…こいつがそんな玉か」
と小さくボソッと呟いた。
綺羅はふーんと業と功一のアキレスを蹴り
「あ、飯島お兄ちゃん…ごめん足当たっちゃった」
とギュッと悠の手を握って
「痛かったかも」
とクスンと顔を見つめた。
このガキ!と睨みかけた功一を後目に悠はにっこり笑うと
「大丈夫、功一は乱暴者だけど女の子には手は上げないから」
それにあれで本当は優しいからな
と告げた。
寒山美津子が応接室の扉を開けると功一を筆頭に全員が一礼をして中へと入った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。