極悪美少女の夏休み ~一宿一飯の恩義だ手伝ってやる~
7月の海の日が過ぎ去れば直ぐに夏休みがやってくる。
皐月家に田舎はなく父である勇仁は生まれも育ちも東京であった。
しかも、勇仁の両親は兄の悠が4歳の時に祖父が先にその後に祖母が続けて亡くなったので綺羅はあったことが無い。
俳優業の勇仁もまた撮影などで旅行へ二人を連れて行くことができず毎年夏休みは二人とも家で過ごしていた。
が、しかし。
今年は事情が些か違っていたのである。
悠は東宮女子学院付属小学校の門前で目を見開くと
「え?」
と声を零した。
何時ものように悠と共に綺羅の迎えに付き添っていた功一が
「そうそう、今年はさぁ親父もお袋も姉貴も田舎に帰らないって言うから」
一緒に行かないか?
「お前ら毎年家でゴロゴロじゃん?」
と告げた。
「まあ親父の実家って言っても長野の温泉旅館だから連泊旅行だと思えばいいしさ」
悠はう~んと考えながら
「でも、逆に悪いんじゃないかなぁ」
夏の旅館って稼ぎ時だろ?
と告げた。
功一は笑って
「あー、だから大丈夫」
俺ら行っても最初の日だけ挨拶して後は観光旅行だからさ
と告げた。
「綺羅も夏休みだし何処か行きたいって思ってると思うぜ」
小学生だからな
綺羅は横で聞きながら
「思ってないが…」
長野は悪くない
「功一がいなければな」
と心で突っ込んでいた。
悠は綺羅の顔を覗き込むと
「綺羅はどうだ?」
行きたいか?
と聞いた。
綺羅は悠の顔を見上げ
「悠は行きたいのか?」
と聞いた。
悠はにこりと笑うと
「俺は功一の実家に迷惑掛からないなら綺羅と一緒に行きたいと思う」
こう言うことって今までなかったし
「ごめんな、今まで気にかけてなくて」
と告げた。
綺羅は首を振ると
「そんなことないぞ」
と言い、功一を見ると
「悠と一緒に世話になってやる」
と告げた。
功一は目を細めると
「いや…本当に可愛げが無いな」
と呟いた。
「けど、俺もお前たちと一緒に行けるのが楽しみだから」
世話させてもらう
そう笑った。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




