極悪美少女の真夏のバカンス ~興味は無いが手助けはしてやる~
綺羅は通話画面から
「それで俺は事情聴取だけだからよくわからないので」
事件の詳細を教えてくれ
「あと、そのメモの名前…漢字あってるのか?」
と聞いた。
厚村はメモを見ると
「あ、ああ」
変わった文字を使っているが間違いはない
「一応、家族構成は調べておいたからな」
と告げた。
綺羅は目を細めると
「なるほどな」
と呟いた。
鮎原が「では俺から詳細を」というと、被害者の坂田正敏のことを説明した。
「死体は本人の部屋の中で窓に向いて後頭部を硬いもので殴打されて倒れている状態で今朝発見された」
凶器は不明
「死亡推定時刻は夕食後8時から10時となっているね」
綺羅は「ふむふむ」と言い
「長男の言葉を信じるとしたら9時から10時になるがな」
と告げた。
鮎原は不思議そうに
「信じるのかい?」
と聞いた。
綺羅は冷静に
「真実は分からないが…犯人なら態々内線という話をしないと思ってな」
通話履歴を見れば分かることだ
と告げた。
「調べていないのか?」
鮎原はにっこり笑うと
「通話履歴は確かに8時46分にあったね」
と告げた。
「じゃあ、長男は白か」
綺羅はふぅと息を吐き出すと
「それはまだ分からない」
先入観による決めつけが初動を狂わせる
と告げた。
「他の人間も聞くんだろ?」
さっさとしろ
ムッとした表情すら可愛いのだ。
鮎原は苦笑しつつ
「ギャップが凄すぎる」
と心で呟いた。
厚村は「よし」というと
「じゃあ、次は執事の香川だな」
と執事の香川文一・70歳を呼んだ。
彼は質問に
「ええ、私は夕食後いつものように正面の入口で見張りをしておりました」
確かに夕食後に次男の沙智雄様が出ていかれ10時ごろに戻ってこられました
と答えた。
「え?一人で入口に…ですか」
はいこちらには最低人数で来ていますから
「去年亡くなられた奥様はとても寛大な方でしたから家族仲は良好でしたよ」
遺産のことも兄弟間で揉めることが無い様にと
「長男の利治さまは片腕で会社経営を一緒にされておりましたから会社の全権を…その分他の資産はありませんがご納得されておりました会社は安定しておりますから」
長女の正子さまと次男の沙智雄さまはそれぞれの家屋と資産の3分の1ずつと決まっておりました
「遺産相続で揉めることはありません」
続いてメイドの一人瀬田和美55歳を呼んだ。
彼女は質問に
「私は賄いを8時から調理場で頂いて10時まで仕事をしてました」
食べ終わったのは8時半でそれから使われていない部屋と廊下の清掃をしました
「一人だったので忙しくて角や壁にモップをぶつけてしまいましたけど何も壊してはいないですよ」
と告げた。
「まあ、人数が少ないので全員それぞれの担当を一人でしておりますので…アリバイはないですが」
旦那様を手にかける理由もありません
そして、もう一人のメイド麻生敏子35歳を呼んだ。
彼女も厚村の質問に
「私も8時から30分程賄を調理場で頂いて10時まで仕事をしていました」
8時30分から調理場で今朝使う4人分の食器の準備をしておりました
「調理場では調理師の堀田さんや桐島さんや多田さんが居りましたので調べてください」
と告げた。
その後、調理長の堀田と調理師の桐島と多田の3人が順に呼ばれそれぞれが同じように質問に答えた。
彼らは麻生敏子が食器の準備をしている姿を10時ごろまで確認している。
堀田はそれに
「間違いありません」
確かにトイレに10分程離れていましたがその一回だけですね
「我々は調理場で今日の食事の用意をしてました」
と告げた。
全員の話を聞き終えて厚村と鮎原と功一と悠が顔を突き合わせた。
功一は腕を組むと
「これはもしかしたら全員犯人とか?」
と呟いた。
それに厚村が
「いや、理由がないだろ」
調理長と調理師に食器の準備をしていたメイドは除外だな
と呟いた。
鮎原は考えながら
「やはり遺産がらみですかねぇ」
兄妹3人が怪しいと
と呟いた。
悠は真面目に
「全員怪しいですね」
と告げた。
綺羅は目を細めて
「全員、迷っている迷探偵だな」
と心で呟いた。
「執事の香川を呼べ」
聞きたいことがある
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。