極悪美少女の真夏のバカンス ~興味は無いが手助けはしてやる~
厚村は整ったと判断すると最初に長男を呼んだ。
長男は坂田利治と言い42歳で父親正敏の片腕として働いている。
彼は厚村の前のソファに座り
「俺はやってない」
と言い
「大体、父を殺して俺が得することは何もない」
と告げた。
厚村は「なるほど」と答え
「それでここに来た時間とその後の行動を教えていただけますか?」
と告げた。
利治は腕を組むと
「来たのは妻の友梨佳と昨日の昼の2時頃だったか」
その後に妻と二人で前のプライベートビーチで海水浴をして夕飯前の5時に戻って父と正子と利雄の5人で食事をして一旦部屋に戻った
「それで内線で父から話があると9時ごろに呼び出されてこのリビングで待っていたが父は現れず部屋を訪ねても鍵が掛かっていたので10時ごろに戻って寝た」
と告げた。
厚村はメモを取りながら
「なるほど」
食後から9時までは部屋で奥さんの友梨佳さんと一緒と
「9時から10時までリビングで…誰かと一緒でしたか?」
と聞いた。
利治は首を振ると
「いや、一人だった」
と答えた。
厚村は利治に頭を下げて
「ありがとうございます」
と言い、立ち上がった彼に
「あ、すみません」
会社の経営とかでもめ事とかは?
と聞いた。
利治はふぅと息を吐き出し
「無いですよ」
と答えて立ち去った。
長女の正子は40歳の独身で会社の重役をしていた。
厚村の質問に彼女は
「私は列車で着いたのは4時頃だったかしら夕食前だったから部屋で一休みしてから夕食をみんなでとったわ」
その後は部屋に戻って本を読んでいたわ
「証明する人はいないわ、独り者だから」
ただ廊下を掃除していたメイドがガンガンと音を立ててモップを掛けていて煩かったわ
「ゆっくり本も読めなかったの」
と告げた。
「家族仲は良かったのよ」
父も母を大切にしていたし私たちのこともね
「遺産の相続も早くから兄夫婦には会社を私にはこの別荘と資産の三分の一で弟の沙智雄には家と資産の三分の一って決まっていたから揉めることもなかったし」
父を殺す理由がないの
厚村はメモを手に
「なるほど」
ただ
「夕食後のアリバイはないということですね」
と告げた。
正子は頷くと
「そうね」
と答えた。
最後の沙智雄は37歳でソファに座ると
「俺はやってないですよ」
親父をやる理由もないし
「遺産相続で揉めてもいないし」
と最初に告げた。
厚村は頷きながら
「それはご兄弟のお二人からも聞いています」
と返した。
「それで全員にお聞きしていますがここに着いてからの行動をお聞きしてもいいですか?」
沙智雄は息を吐き出し
「はい、車で着いたのは夕食前ギリギリで荷物を部屋に入れて直ぐに夕食をとりました」
と言い
「食事が終わった後は海辺を散歩しに行きました」
その時
「執事の香川に注意を受けてから外に出ました」
夜は街灯もないので気を付けるようにと
「それで10時くらいまでノンビリとショッピングエリアをうろついたり海岸沿いを散歩したりしてました」
と告げた。
厚村はそれに
「お一人で?」
と聞いた。
沙智雄は頷くと
「ええ、一人です」
でも外から家の中に入るには調理場の勝手か正面の入口しかないので
「戻った時間が10時くらいというのは家に入る時に挨拶を交わした香川さんが分かっていると思います」
と告げた。
厚村は頷き
「では確認をとります」
と告げた。
沙智雄は息を吐き出し立ち上がると
「家族仲は本当に良いんだ」
お母さんも優しかったし
「親父も色々あったけど反省してからはちゃんとしてくれていたし」
俺達が揉めないように相続のこともそれぞれにって
「だから俺達兄弟に親父をやる理由はないんだ」
と告げて立ち去った。
厚村は三人の話を聞き終えると
「それぞれアリバイが無いのはないに等しいな」
と呟いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




