極悪美少女の真夏のバカンス ~興味は無いが手助けはしてやる~
悠も笑顔で応えながら
「じゃあ、今日は功一と遊ぶことにするか」
と携帯を手にした。
綺羅は目敏く
「功一は夜に謝ればいいと思う」
と告げた。
「きっとホテルに着いたばかりだから面倒くさいと思うに違いない」
悠はハッとすると
「あー、確かにそうか」
と呟いた。
向こうも家族旅行である。
自分たちのように何か予定が入るかもしれない。
悠は少し考えるとポケットに入れながら
「そうだな、今日の夜に連絡を入れることにするか」
と呟いた。
綺羅はにっこり笑うと
「ああ、それが良いと思うぞ」
と告げた。
この時、綺羅の背後には黒いしっぽが生えていたかもしれない。
ざまぁ、功一気分であった。
しかし、反対に悠の携帯が震えたのである。
悠は携帯をポケットから取り出すと
「功一からだ」
丁度良かった
と呟くと止めるために手を伸ばした綺羅に気付かず応答ボタンを押した。
ガッデム!である。
勇仁は綺羅を抱き締めながら
「…綺羅はお兄ちゃん子だな」
悠が友人と遊んでいる間はお父さんが遊んであげるぞ
とニコニコと告げた。
「海でゆっくり泳ごうか」
綺羅は「功一のくせに」と心で詰りながらも
「ああ、泳ぐ」
と父に応えた。
その横で悠は驚いた表情を浮かべると
「え!?事件??」
と声を零した。
功一はマリーナ津洗の4階の一室で携帯を手にベランダから外を見ながら
「そうなんだ、ホテルのフロントに厚村さんと鮎原さんがいて声を掛けたらあの富豪の別荘エリアの一軒で殺人事件があって関係者のアリバイ確認に来ていたらしい」
と告げた。
「お前と妹は東京か?って聞かれたから会う予定だって言ったら一緒に事件の捜査に協力してもらえないかって言われたんだけど」
俺、もしかして探偵として期待されてんのかな
「だとしたら嬉しい」
悠は「そうなんだ、けど俺と綺羅は」とチラリと綺羅を横目で見た。
瞬間に綺羅は両手を使って大きく×印を作った。
先程のセキュリティーゲートのことと言い、功一からの電話と言い、想定内のことであった。
『誰が行くか!』である。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




