極悪美少女の真夏のバカンス ~興味は無いが手助けはしてやる~
津洗はショップが立ち並ぶショッピングエリアとホテルが並ぶホテルエリアともう一つ個人別荘などが集まる別荘エリアに分かれている。
特に個人別荘に家を持つ人間はかなりの資産家でそれこそ豪邸ばかりが立ち並んでいた。
綺羅と悠と父親の皐月勇仁はホテルエリアの中央でドーンと構えるルフランリゾート津洗のセキュリティーゲートを通ってホテルのロビーに入りベルマンに出迎えられた。
「ようこそお越しくださいました」
お手続きはこちらで
言われて、ロビーのテーブルに案内された。
綺羅は椅子に座りウェルカムドリンクにグレープジュースを頼みふっと視線の端に映った人物を意識的に消し去った。
「…何故、ここに」
そう思ったものの視線は明後日を見ていたのである。
知らぬがほっとけである。
ルフランリゾート津洗では客が望めば無料で案内や要望を聞くバトラーサービスがあるのだ。
だが、何度か宿泊して不要と告げると次回からは必要な場合のみ声をかけることになる。
勇仁は初めて泊まった時は頼んだのだが三回目からは不要としている。
3階のラグジュアリースイートのラグーンシーという部屋に入り綺羅はベランダへと足を向けた。
もちろん、オーシャンビューである。
素晴らしい眺めである。
が、しかし。
彼女が気にしていたのは別のことであった。
先程、ホテルのセキュリティーゲートに厚村と鮎原が姿を見せて話をしていたのだ。
綺羅は青く広がる海を見ながら
「悠と合わせないようにいしないとな」
と心で呟いていた。
悠は綺羅の横に立つと
「少しゆっくりしたら海で遊ぼうな」
と笑いかけた。
綺羅は笑顔でコクリと頷いた。
それに勇仁が
「そうだ、明日一日津洗古島の探検ツアーに予約を入れておいたから」
家族で冒険しよう!
「マイエンジェルズ!」
と二人を抱き締めた。
悠はハッとすると
「あー、実は」
と言いかけた。
功一と遊ぶという話があるのだ。
勿論、何時とは決めていないが今日と明日しかないとなると、確実に明日だけなのだ。
が、綺羅はさっと笑顔を浮かべると
「すっごく楽しみ」
悠と父と三人で冒険する
と悠の手を握って告げた。
悪いな、功一。
一人で楽しんでおけ。
そういうことである。
悠は綺羅と父親が喜ぶ姿に小さく息を吐き出すと
「そうだな、明日は冒険を楽しもうか」
と告げた。
勇仁は二人をギュウギュウ抱き締め
「本当に可愛いなぁ」
マイエンジェルズは
とキスの嵐を落とした。
綺羅はハハッと笑いながら
「冷徹な科学者役とは程遠い親バカバカだな」
と心で突っ込んだ。
だが、こういう父が好きであった。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




