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極悪美少女の真夏のバカンス ~興味は無いが手助けはしてやる~

梅雨の時期を越えると夏がやってくる。

7月に入った途端にプール開きに海開き。


皐月綺羅は四辻橋駅前にあるデパートに兄の悠と水着を買いに来ていた。

7月17日の海の日に津洗に海水浴へ行くことが決定していたからである。


一年に三度しかない家族旅行である。


津洗は東京近郊にある海と温泉の両方を兼ね備えた高級観光地として有名で豪華なリゾートホテルも建ち並んでいた。

特にルフランリゾート津洗は東都電鉄の起業家系が経営しているホテルで全ての部屋がオーシャンビューであった。


そのホテルへ7月15日から二泊三日で家族三人海水浴に遊びに行く予定なのだ。


綺羅は店に入ると笑顔で接客に勤しむ女性店員に案内されて子供用水着が飾られている一角に立ち尽くしていた。


「別に…どれでも良いんだが」

と彼女は思っていた。

が、女性店員は華やかな花柄のビキニを見せたり可愛らしいフリルの付いたストレートの水着を見せたり一歩間違うとファッションショーかよ!と突っ込みたくなるほどあれやこれやと綺羅に試着させた。


綺羅としては些かうんざり状態となっていたのである。


悠はそれを見ながら少し大きな花柄が入ったビキニを手にすると

「俺はこれが良いと思うけど」

綺羅は何が良いんだ?

と聞いた。


普段は余り口を挟まない悠もこのままだと全水着を試着させられるのではないかと危機感を覚えたからである。


綺羅はそれを見ると

「それで良い」

と答えた。


内心は「別に何でもいいが悠が勧めたものが一番良い」という状態であった。


悠はそれを店員に渡すと

「じゃあ、これと俺はこれで」

と極々平凡な海パンを一緒に渡した。


相変わらず周囲ではざわめきが広がり二人を見ながら立ち止まる人や振り向きながら行き交う人が絶え間なかった。


美丈夫な青年と美少女の兄妹である。

とにかく目を引くのだ。


綺羅は悠の手を掴み

「もう帰っていいか?」

と聞いた。


悠は時計を見ると

「11時半か」

というと

「昼ご飯はどうする?」

と聞いた。

「レストランで食べる?」

それとも

「何か買って帰る?」


綺羅は間髪入れずに

「弁当」

と答えた。

「家でゆっくり食べたい」


悠は苦笑を堪えつつ

「わかった、お弁当とチョコロビット買って帰ろうか」

と告げた。


綺羅は頷いて

「それで良い」

と答えた。


昨日の給食はプリンだったのだ。

今日がチョコロビットでも問題はない。


二人はデパートの一階にある『温か弁当屋ほっこり』で日替わり弁当を買って帰宅の途についた。


ほっこりは手作りの弁当を販売する近隣では人気の弁当屋で二人は良く利用していたのである。


家に帰り悠はインスタント味噌汁を入れて弁当と味噌汁とチョコロビットを綺羅の前に置いた。

「今日の日替わりは綺羅の好きなから揚げメインだな」

そう言って微笑んだ。


綺羅は頷くと

「から揚げ」

とにっこり笑った。


二人は両手を合わせて

「「いただきます」」

と言って箸を手にした。


その瞬間であった。

悠の携帯が流行りの歌『君に恋するバラード』を奏でた。


着信である。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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