性格極悪美少女探偵の苦悩
目を見開き皐月綺羅は頭を優しく撫でる手に視線を向けた。
真横に兄の皐月悠の顔がある。
安心しきってスヤスヤ眠っている。
6歳年上の兄だが高校2年生とは思えないあどけない寝顔である。
ただ、俳優で有名な皐月勇仁の息子だけあって見た目は凛としてかっこいい。
綺羅は母親に似て人形のように可愛いと言われているが…それは見目だけの話である。
彼女は兄の頭を優しく撫でて
「可愛いな」
とふっと笑った。
「いや、綺羅…お前も可愛い」
オーマイエンジェルズ
と、綺羅が声に正面を見ると父親の勇仁が両手を広げてガバァと二人を抱き締めた。
兄を兄バカだと思っているが父も親バカであった。
綺羅は抱きしめられて
「ハハッ」
と乾いた笑いを零した。
父親の皐月勇仁が撮影を終えて朝に帰ってきたようである。
そのまま綺羅のベッドの上でくーくーと寝始めた。
綺羅は兄と父に抱きしめられてふぅと溜息を零すと
「本当に…バカバカダブルだな」
と小さくぼやいた。
5月の終りに兄の親友の飯島功一が作る探偵サークルが本当の事件に遭遇して数日が過ぎ去り、雨の多い梅雨の季節へと突入していた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




