性格極悪少女と禁断の秘密
綺羅は聡に
「誰だ?彼女は執行猶予で済んだただの事務員のようだが」
と聞いた。
それに聡は
「…父の母親だ」
風呂場で急死してもういないが
と告げた。
一緒に留められていたのは『まゆずみ群司』の調書である。
綺羅はそれを見ると
「それはお前の父親の父親か」
その人物も『JDW』の事務方で入って間もないから執行猶予みたいだな
と告げた。
聡は頷いた。
正義は二人を見ると近寄り
「もしかして、そのまゆずみ群司と言う人は…まゆずみグループの総裁だった人では」
と呟いた。
「政財界に人脈を持っていて会社を急拡大した」
でも数年後に奥さんを亡くして少しして事故死したとか
日向がその二枚と共に付けられていた資料を手に
「これですね」
と差し出した。
それはまゆずみグループの総裁夫人の変死の記事と総裁自身の事故死の記事であった。
その他にも多くの記事が一緒に留められていた。
正義はそれらを見て
「もしかして」
と呟いた。
綺羅は一枚を手にすると目を細め
「これらの記事の事件を調べろということだ」
と告げた。
功一と悠も近寄り、功一は
「それはどういう意味だ、綺羅?」
と聞いた。
その記事を悠に渡した。
「これは神楽和則だけのものではなく…叔父の集めたものも含まれている」
悠はそれを手にして
「…これは」
と呟いた。
母親である黒崎悠里の殺人事件の記事であった。
犯人は捕まっていない。
そして、この事件は神楽和則の死後に起きているのだ。
聡もまた一枚の記事を手に
「…この火事も…原因不明…だったな」
だが
「この火事の中から俺は今の父であるまゆずみ勲に助けられた」
と呟いた。
岩手の雫石の火事の記事だ。
綺羅はそれに
「母と叔父も助けられたようだが」
助けた人間が違うということだな
と呟いた。
聡は頷いた。
「今の父は俺だけしか連れていなかった」
理由は分からない
「何故、俺だけを助けたのか」
功一は「取り敢えず立花さんが目についたからとか?」と聞いた。
綺羅は雫石町でもらった写真を思い出しながら
「いや、違うだろ」
と言い
「…そう言えば、立花聡一…お前の本当の父親の義理の兄は母親の元から帰ってきたと聞いたが」
その母親の名前は?
と聞いた。
聡は首を振った。
「聞いていないが」
綺羅は腕を組み
「そうか」
俺はもしかしたら立花聡一の母親は上条節子でまゆずみ勲とは異母兄弟だったのではないかと想像している
「そうでなければまゆずみ勲とお前達立花家や黒崎家との関係が全く見えない」
JDWの関係だとしてもその時にはもう黒崎零里も死んでいて完全に離脱していたはずだからな
と告げた。
それに全員が目を見開いた。
綺羅はその上で聡を見て
「お前は母や叔父と似ていない」
いや勿論、聡一とも似ていない
「ただ苗字は立花だ」
黒崎の血に似た人物がいなかったとして
「お前の置かれた立場を考えるとまゆずみ勲は異母兄弟の聡一の息子だと思ったのかもしれない」
だから助けた
と告げた。
聡は驚いて
「まさか」
と呟いた。
正義は彼らを見ると
「その火事も迷宮入りしているんですよね」
と言い
「もしかしてこれらの記事の事件や事故は…全て迷宮入りしているってことじゃないのかな」
と呟いた。
真理は何枚かを見て
「かなりの数だけど」
調べないとだな
「力になるぜ」
これはもしかしたら俺も無関係って訳じゃないかもしれないからな
と呟いた。
綺羅は腕を組んで考えると聡と日向と静音を見て
「お前たちはこれらの事故と事件の調書を用意してくれ」
極秘にな
「そうでないとお前たちの命が危ない」
と告げた。
そして正義と真理を見ると
「二人はまゆずみグループを調べてくれ」
当時の政財界で関わった人間とか
「出来ればその後も」
と告げた。
真理はそれに
「なるほど、餅は餅屋か」
まあ、政財界にまゆずみグループは実家の得意分野だ
「正義と一緒に集められる」
と頷いた。
正義は笑顔で
「ありがとう、真理」
と頷いた。
綺羅は悠と功一を見ると
「俺達はまゆずみ勲について調べる」
と告げた。
それに悠は
「え?」
と声を零した。
綺羅は彼らを見て
「これは全くの勘だが」
叔父がこれらの資料を一束にしたのだとしたら
「まゆずみ家が全て関連するということだ」
と告げた。
「だが、まゆずみ総裁と総裁夫人の事件からこれら一連の事件が始まっている」
その発端の総裁と総裁夫人の事件と雫石町での火事でも関係しているのは
「まゆずみ勲…つまり立花聡の父親だけだ」
調べて損はない
聡は冷静に
「いや、正にその通りだ」
と言い
「但し、まゆずみ勲については俺が調べる」
と告げた。
綺羅は聡を見て
「いいのか?」
と聞いた。
己の父親を疑えと言っているのだ。
そして調べろと。
聡は笑みを浮かべると
「俺は今の父に疑念を持っていた」
だから父の動向を探りながら
「厚村と共に力になってくれるブレインを探していた」
今回のように玲の残した暗号や謎を解明してくれる知識と智慧を持った人物
「そうしないと答えに辿り着かないと思っていたからだ」
それだけの覚悟はもうとうについている
と告げた。
綺羅は頷くと
「わかった」
頼む
と告げた。
聡は笑み浮かべると日向と静音に
「事件の資料を集める方は二人で至急やってくれ」
と告げた。
正義は真理を見て
「頑張ろう」
と告げた。
綺羅は彼らを見ると
「情報を集めて新館別棟の神楽和則の部屋で落ち合おう」
日時は一週間後
「11月18日の土曜日に」
と告げた。
それに全員が頷いた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。