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性格極悪少女と禁断の秘密

皐月綺羅は驚いて声を上げた。

「え?」

大きなぱっちりとした目を更に見開き目の前に立っていた兄の悠と父の勇仁を見た。


リビングでの話である。


父親の勇仁は息を吐きだすと悲し気に笑み

「もう、お前達には言っておく」

と告げた。


悠が母親である悠里の死後の遺品などのことを教えて欲しいと言ったからである。


勇仁は二人を前に

「実は悠里の遺品や遺骨については俺には分からないんだ」

と告げた。

「葬儀はプロダクションが主催でしたんだが…喪主は玲君で俺は出席を断られた」


それに悠は驚いて目を見開いた。


勇仁は息を吐き出し

「お前と綺羅に最後の面会を頼んだがそれも拒否されてな」

と言い

「彼はそれ以来家には訪れなくなった」

当然と言えば当然だ

「今考えると俺がしたことは彼女とお前達を愛したことだけで…結婚すらしていなかった」

何もしてやらなかったのと同じだ

「お前達には済まないことをしたと思っている」

と告げた。


綺羅は勇仁に

「父は叔父を恨んでいるか?」

父と母の関係を知りながら葬儀に出席すらさせなかった叔父を

と聞いた。


勇仁は首を振り

「まさか」

当然のことだと思っている

「ただお前たちに最後のお別れを言わせてやることができなかったのが心残りだ」

と答えた。


悠は視線を下げて

「…俺は…前ならショックを受けてたけど」

今はきっと叔父さんはお父さんや俺や綺羅を守りたかったんだと理解してる

と告げた。


綺羅は悠を見ると笑みを浮かべた。


母である悠里と叔父である玲の生い立ちを考えればそうなのだろうと分かる。

黒崎家のルーツを遡り多少なりとも母と叔父の過去を垣間見たからわかるのだ。


勇仁は二人を見て

「…そうか」

とだけ告げた。

「ただ、俺の願いはお前達には悠里のようなことになって欲しくはないと思っている」

お前達を突然失ったら

「俺はどう生きて行けばいいか分からない」

それだけお前たちを愛している


綺羅はそっと父親の手を握ると

「俺が3歳の時に叔父は一度だけ俺にあってくれた」

と告げた。


勇仁は驚いて綺羅を見た。


綺羅は大きな瞳で父親の勇仁を見つめ

「俺は叔父を知らなかった…誰だったのか分からなかった」

その直後に恐らく叔父は殺されたと思う

「母を殺した誰かに」

と告げた。

「母も叔父も命を狙われていた」

それは黒崎のルーツの中にあった

「恐らく間違いなく」

だけど母は覚えていなかったと思う

「だけど叔父は覚えていたんだと思う」

だから父と母が愛し合っていたとその人物が知れば父の命も危なかった

「そして母の血を受け継いだ悠も俺も殺されていたかもしれない」


…叔父は俺達をきっと愛してくれていたんだ…

「だから命がけで守ってくれたんだ」

悪者になっても


「だから俺は叔父が嫌いじゃない」

あったのは一度だけだが好きだ


悠も微笑み

「俺もだ」

辛い話をさせてごめん

「お父さん」

と告げた。


勇仁は頬に涙を伝わらせると

「俺は良い息子と娘を持った」

人の悲しみや痛み

「そして何が正しいかを見極められる良い子を持った」

と綺羅を抱き締め、悠の頬にそっと指先を滑らせた。

「俺はお前達を愛しているよ」

悠里も間違いなくお前たちを愛していた


綺羅は頷いて

「…ありがとう、父」

と抱きしめ返した。

「全てを話せる日が来たら絶対に父に言う」

それから

「俺も悠も絶対に死なない」


…だから信じてその日を待っていて欲しい…


パーフェクトクライムの資料集


問題は…その叔父である黒崎玲が隠したその人物を示す資料だ。

神楽和則が最初に気付き殺された。

その気付く切っ掛けとなった何か。


父親の勇仁は

「いいか、マイスイートエンジェルズ」

お前達を信じているが

「絶対に無茶はダメだからな」

と心配しながら御蔵宏司に引き摺られるように仕事へと向かった。


連日、テレビドラマの撮影があり忙しい身なのである。


綺羅は父親を見送り

「まあ、父が仕事に出てくれていると助かる部分もある」

と告げた。


悠はそれに

「綺羅、それをお父さんに言ったらだめだからな」

と注意した。


綺羅はさっぱり

「当然だ」

と答えた。

「そんなことを言ったら父が泣きながら仕事を辞めると言いかねないからな」


しかし

「叔父ももう少し分かりやすい謎かけにしてくれたら助かるんだが」


悠は苦笑し

「綺羅がそれほど難しいと思うなら本当に難しいんだな」

と告げた。


綺羅はバフっとソファに座り

「…リンゴと箱だけではな」

とぼやいた。

「あの部屋にそれに関連したものはなかった」

本の中の記述をチェックしていく必要はあるが…何か違う気がする


悠は隣に座り

「そうだな」

と呟いた。

「そう言えば、立花さんは神在月さんが母と叔父の遺品や遺骨を受け取っただろうって言ってたから今度聞いてお父さんとお母さんのお墓とあの天空の花園に花を手向けに行こう」


綺羅は頷いて

「ああ、葬儀に出れなかったし墓参りも父は出来なくて悲しい思いをしているだろうからな」

と呟いた。


悠は「そうだな」と言い

「でも叔父さんも一人で骨上げしたんなら寂しかっただろうし悲しかっただろうな」

と呟いた。


綺羅はそれに

「まあ、プロダクションの人もしたかもしれないが叔父は喪主だから最後は一人で…」

と言い

「骨上げ…喪主…」

と目を細めて

「まさか…そう言う意味だったのか?」

とソファから立ち上がった。


悠は驚いて綺羅を見て

「綺羅?」

と問いかけた。


綺羅は悠を見ると

「わかった」

叔父のあの言葉の示す意味が

「恐らくあそこにあるんだ」

と告げた。


悠は驚いて

「え!?」

と声を零した。


綺羅は悠を見ると

「功一に連絡をしてくれ」

と告げた。

「今すぐ厚村か立花と連絡を取らないと」


悠は頷いて携帯を取り出すと功一に連絡を入れた。

功一は綺羅が謎を解いたと聞くと

「わかった、直ぐに厚村さんの方に連絡する」

鍵を持ってそっち向かった方が良いか?

と聞いた。


綺羅はそれを聞くと

「取り敢えずは用意しておいてくれと言ってくれ」

と悠に言い

「そう言う意味か」

と舌打ちしたのである。


直ぐに功一が訪れ、30分程して厚村日向と鮎原静音と立花聡が車で迎えに来た。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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