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性格極悪少女と水先案内人

綺羅は4人を見回し

「普通、宝石強盗が押し入った店内がこんな綺麗なわけないだろ」

まして抵抗する店員が居たら押し合いなどガラスが割れ、物色の跡があって当たり前だ

と告げた。


それに日向がハッとすると

「確かに…宝石強盗に入られた場合は入口のガラスが割られていたり…店内がグチャグチャだな」

と告げた。


綺羅は頷いて

「そう考えると彼女は共犯で店内の防犯カメラの情報や強盗する人間を招き入れる役割をしていたと思う」

だが強盗した人物と彼女が仲間割れをしたか

「もしくは元々それだけの利用価値だったのか分からないが彼女を消そうと犯人は彼女を襲って逃げた」

と告げた。

「そう考えれば店内の異様なまでの綺麗さは説明が付く」

その上で彼女が刺された後にそれを握っていたとすれば

「恐らくはダイイングメッセージだろ」


静音は「なるほどー」と言い

「確かに防犯カメラには布が掛けられていて写っていなかったからその可能性は高いですねー」

と告げた。


功一は「おお」と声をあげて

「そうか、そう言うことも考えられるな」

と頷いた。


悠は笑顔で

「凄いな、綺羅」

良く気が付いたな

と褒めたのである。


綺羅はフッと淡い笑みを浮かべ

「…悠以外は…迷揃い組だな」

と心で呟いた。


そして

「それにそのネックレスのアマゾナイトはこう言っては何だが…高価な宝石ではない」

ダイヤモンドやサファイヤやエメラルドだったら守ろうと奪い合う可能性はあるが

「アマゾナイトは大粒でも一万そこそこだ」

守るなら盗まれただろうダイヤモンドや他の宝石を守るだろ

と付け加えた。


功一は腕を組むと

「じゃあ、アマゾナイトと言う宝石がダイイングメッセージだとすれば」

ナイトは男で名前がアマゾさんとかか?

と聞いた。


綺羅は冷静に

「まあ…方向性は悪くないが」

と返した。


悠はそれに

「え!?綺羅はもう分ってるのか?」

と聞いた。


それに日向も静音も綺羅を見た。

綺羅は腕を組み

「これは情報が足りないから確実性は少し落ちるが」

と言い

「アマゾナイトは和名が天河石という」

元々アマゾナイトという石自体を知っている人は少ないし

「その和名を知っている人も少ないだろう」

と告げた。

「犯人が宝石に詳しい鑑定士だったらすぐに手から放したかもしれないが」

横流しする程度の知識の人間なら

「見過ごす可能性はある」

彼女の周辺もしくは最近接触が増えた人物で『あまかわ』もしくは『てんかわ』などの付く人物か関連する出身や店の人間が居たら犯人の可能性は高い

「だから、彼女の周辺を調べろと言った」


それに日向と静音は慌てて携帯で彼女の周辺の聞き込みを指示したのである。


時刻も夕方の4時を過ぎ静音が三人を車で送り届けた。

日向は現場で指揮を執っているので礼を述べて送り出したのである。


綺羅は静音に

「まだ…謎は解けてない」

と言い車から降りた。


静音は笑むと

「進みだして何もかも急発進するわけじゃないからね」

時には違う回り道も必要かもね

「綺羅ちゃん」

と言い、立ち去った。


綺羅は悠を見ると

「あいつは大人だ」

胡散臭い野郎だと思っていたが…まあ

「調子の良い野郎であることには違いないが」

と手を握りしめた。


悠はその手を握り返すと

「そうなんだ」

と答え

「綺羅が決めた人なら俺も反対はしないよ」

と微笑んで告げた。


…。

…。


綺羅は大きく目を見開くと

「は?」

と驚いた。

「悠…何か勘違いをしているぞ」

俺はあの男にそう言う感情はない


悠はそれに

「え!?そうなのか?」

と驚いて返した。


綺羅は大きく頷くと

「当り前だ!」

と答え、マンションの中へと入って行ったのである。


車を運転していた静音は立て続けにくしゃみをすると

「…風邪?」

と呟き

「気温が下がってきたから気を付けないとだね」

とアクセルを踏んだ。


後日、阿倍萌子の恋人の天河拓海から事情聴取と家宅捜索をすると盗まれた宝石が見つかり事件は解決した。


萌子も意識が戻り全てを自供したのである。


だが、問題の玲の言葉の意味は見つからず10月から11月へと時間が流れて行ったのである。


綺羅は自室へ玲から渡された熊のぬいぐるみを見つめ

「…ったく、あんたの謎かけは壮大さと深さで三歳だった俺にどれだけ期待してたんだよって言いたくなる」

と呟いた。

「玲叔父さん」


その頃、悠は父親の勇仁に一つの質問をしていたのである。

それは母が死んだ後のことであった。


当時はまだ6歳で何もわかっていなかった。

母の墓のことも。

母の遺品のことも。


今回のことでもし遺品があるならそれを一つでも綺羅に渡したいと考えたのである。

自分にも父にも思い出がある。


だが…綺羅には思い出の欠片すらないのだと気付いたのである。


夏空は既に消え去り秋の澄んだ高い空が広がっていた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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