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性格極悪少女と水先案内人

聡は綺羅を一瞥して直ぐに彼女に視線を戻して頷くと

「一途ちゃん、それを教えてもらえないだろうか?」

と告げた。


彼女は頷くと

「意味は全く分からないんですけど」

と言い

「女性たちが手にしたものに災いは眠る」

でした

と告げた。


彼女の隣に立っている青年は

「…女性たちか」

と呟いた。


それに功一は

「女性たちって誰だろ」

と呟いた。


綺羅はふと浮かんだ存在に

「イブ」

と答え、同時に青年が

「パンドラ」

と答えた。


聡は二人の言葉に

「なるほど、二人とも確かに災いを齎す禁断の箱と禁断の果実だったな」

と呟いた。


悠が腕を組み

「パンドラの箱はそのまま箱だけど」

禁断の果実って良くリンゴと言われるけどそれで良いのかな?

と呟いた。


青年はそれに

「良いと思うよ」

と答えた。

「真偽は分からないけど…Appleにはリンゴという意味以外の内容で禁断の果実になったという説話もあるからね」


綺羅は驚きを隠せなかった。

その意味を知っている人間はそれほど多くはない。


通常Appleはリンゴなのだ。


綺羅は青年を見つめ

「お前、詳しいな」

と告げた。


青年は驚いて苦く笑うと

「そういう君も分かったんだから小学生にしたら物知りだと思うよ」

と返した。


功一は二人に

「それで、綺羅。Appleの別の意味ってなんだ?」

と聞いた。


綺羅と青年は同時に

「「喉仏」」

と答えた。


それには全員が驚いた。


静音は綺羅を見て

「綺羅ちゃん、本当なのかな?」

と聞いた。


綺羅はそれに

「当然だ」

Adams Apple

「それでアダムの喉仏と訳すんだからな」

それでリンゴが禁断の果実と言われるという説もある

と答えたのである。


しかし、この事を青年は知っていたのだ。

誰なのか。

綺羅は青年を見つめた。


聡も青年の博学に感心しつつ一途に

「一途ちゃん、彼は?」

と聞いた。


一途はそれに

「私の夫と子供です」

と笑顔で答えた。


青年は彼女を見て笑みを浮かべると

「神楽正義です」

この子が心ちゃんです

と答えた。


神楽正義。

綺羅は心で青年の名前を繰り返した。


聡は笑顔で

「そうか」

幸せになりなさい

と言い

「正義君、一途ちゃんをよろしく頼む」

彼女は深い愛情を持った子だから大切にしてくれ

と頭を下げた。


神楽正義は頷いて

「はい、必ず」

と答えた。


2人の愛の結晶である子供もまた

「はーいー」

と答えた。


その時、奥の通路から二人の男性が姿を見せた。

神楽和則の父親の進と弟の各務であった。


聡は父親の神楽進に

「今回はありがとうございます」

必ずお約束はお守りします

と頭を下げて足を進め掛けた。


が、それに神楽正義が不意に

「あの、約束と言うのは」

と聞いた。


聡は肩越しに振り向き

「和則の…死の真相を解明することだね」

当時、警察の捜査では和則の死は迷宮入りだった

「だけどおじさんが俺と黒崎と神在月に頭を下げて」

何年かかってもいいから必ず息子の死の真相を明らかにしてほしいと

「警察に任せていられないと」

だから俺も黒崎も神在月もそれぞれの分野から情報を集めていたんだ

と告げた。


一途は目を見開き父である進を見つめた。

「お父さん、本当なの?」


進は視線を伏せて

「息子の死の真相を知りたいと思うのは親として当然だろ」

例え家業のことがあって私情を抑えなければならない立場であっても

「人である以上押さえられない感情もある」

警察が迷宮入りと言ってきた時に彼らに頼んだんだ

「彼らなら信用できると思ってな」

と言い、正義を見ると

「正義君、よく来てくれたな」

こちらへ

と歩き始めた。


神楽正義は彼女の手を握りしめ、綺羅たちに会釈すると立ち去った。


一瞬の出会いであった。

が、綺羅は彼の博学ぶりとそれを瞬時に発想出来る力に

「…あいつなら名探偵になれるかもしれん」

と心で呟いた。


聡は綺羅たちを見ると頷いて、足を進めた。


神楽和則の部屋である。

殺されてから13年。


聡は鍵で部屋の戸を開けて目を細めた。

「ここだけはずっと変わってない」

そう呟いた。

「そう頼んだのだが…きっと神楽さんもそう言う気持ちだったんだろう」


綺羅は部屋の両側に備え付けられた本棚や正面の机を見て

「時を止めた部屋か」

と呟いた。

「そう言えば、母と叔父の住んでいた家とかはどうなったんだろう」

父とは別居だったし


聡はそれに

「玲の部屋は恐らく直がちゃんとしているだろう」

悠里の部屋も

と告げた。


綺羅は不思議そうに

「…彼が、か」

何故?

と聞いた。


聡は笑むと

「二人とも直とは親友だからな」

境遇も似ている

と答えた。


綺羅は「なるほど」と呟いた。


悠は綺羅に

「綺羅は母さんと叔父さんと知り合いで親友だからで納得なのか?」

と聞いた。


功一は「まあ、表向きは家族も身内も居なかったら…なぁ」と告げた。


日向も頷いて

「そうだな、ご両親は無くなっているし」

君たちと皐月勇仁氏との関係も極秘裏のモノだったからな

「公の親友としては局長と彼くらいしかいなかったということになる」

と告げた。


綺羅はそれに

「恐らくもう一つあるかもしれない」

と告げた。


静音は「ん?」と綺羅を見た。


綺羅はそれに

「名前だ」

と告げた。


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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