性格極悪少女と神在月直
5人は車に乗ってホストクラブへ行き細かく全ての人間に聞きまわった。
ジュン以外ので、ある。
そのほとんどの人間が写真を見せても覚えがなかったのである。
案内係も、である。
綺羅は静音を見ると
「写真」
と告げた。
静音は菊枝の会社の旅行時の団体写真を出して
「この中に彼女以外に来ていた人はいますか?」
と聞いた。
案内係の人間はそれに
「あ、ああ」
この女性ならよく来てますね
「ジュンのところに案内してますよ」
と告げた。
それに日向と静音は顔を見合わせた。
そして、チラチラと気にしているジュンの元へ行くと日向が
「先日、この女性…鈴木菊枝さんがよく来ていたといっていたが」
本当はこちらの女性ではないのか?
と聞いた。
「嘘をつくと犯人隠匿と偽証罪になるぞ」
ジュンは顔を顰め
「…俺はただ留美に頼まれただけなんだ」
これからも通って売り上げに貢献するっていうからさぁ
と告げた。
綺羅は目を細めて
「そうだよな」
週一で熱心に通うくらいだ
「苗字から何々さんなんて余所余所しい言い方をホストがしないだろ」
と愛らしい容貌で「あれ?この子が言った?」と思わせる口調で告げた。
ジュンはそれ以外については何も知らなかったのである。
その後、日向と静音は鈴木菊枝の同僚の女性社員である神田留美から事情聴取をして横領の件から殺人について追及した。
彼女はホストクラブのジュンに入れ込み、横領していたのだがそれが会社にバレそうになり同じ職場で唯一同じように伝票を扱う鈴木菊枝に全ての罪をなすりつけようとしたのである。
綺羅はその後、自宅で父親の出ているドラマ・パーフェクトクライムの資料集を見ている時に日向からその報告を聞き、息を吐き出した。
功一も隣で携帯を切りながら
「男に入れ込んで殺人まで…か、哀れだな」
とポロリと零した。
が、綺羅はそれにぎろっと睨むと
「あほか」
哀れも糞もない
「気の毒なのは何の罪もないのに殺された鈴木菊枝さんの方だ」
と言い
「男に入れ込んで自分の金と会社の金の区別もつかなくなって横領し、その罪を押し付けて罪もない彼女を殺すなんて」
ド最低にもほどがある
「情状酌量の余地もない」
と告げた。
「横領して反省して金を返すならまだダメな人間くらいで済むが…過ちを反省するでもなく更にそれを隠そうとして間違い続ける奴はドドド最低だ」
悠は頷いて
「そうだな」
罪もない人に押し付けて殺すのは許されることじゃない
と告げた。
功一は「確かにな、反省した」と答えた。
綺羅はフンッとテレビに目を向け
「過ちは誰でもする」
だがその時に過ちを認めて向き合って引き戻れるかどうかだ
と告げた。
「過ちを繰り返し続ければ周りも本人も地獄の渦の深みに落ちていくだけだ」
必ず破綻する
「このドラマのようにパーフェクトクライムのように思えても」
人が作り出すものに完全はない
三人はテレビに流れるドラマを見ながら暫しの沈黙を広げた。
それから一か月後の10月28日に国立図書館で大きな転機が訪れるとはまだ三人は知らなかったのである。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




