性格極悪少女と神在月直
今回の事件が難題でどうしても解かなければならないなら、恐らく川瀬ひかりのようにその一回を即座に使う口調になるが、今回の余裕の反応はそうではないのだと綺羅は理解した。
つまり、前回の態度で切れるかもしれない繋がりを繋ぎに来たということだろう。
綺羅は冷静に背凭れに身体を預け奮起する功一と悠を横目で見た。
車は文京から豊島へと入り巣鴨の一角にあるマンション前で停まった。
既に警察官が警備に付いており黄色の立ち入り禁止のテープも貼られている。
日向は敬礼をして警察官の横を通り立ち入り禁止テープの向こうへと進んだ。
綺羅も悠も功一も日向と静音に倣って中へと入った。
マンションの5階にある504号室。
その部屋の中で女性が自殺していたのである。
テーブルの上にはワイングラス。
そして、豪華な食事が乗っていたのだろう食器が残されていた。
日向は中に入りながら
「死亡推定時間は昨夜の9時から12時くらい」
胃の内容物から食事をして直ぐにワイングラスの中の毒物を飲んで死んだという話だ
「遺書もあるし」
恐らく自殺で決まりだと思うが
と告げた。
功一は中に入り
「自殺で決まり…ですか」
と呟いた。
静音はにっこり笑って
「いや、一応名探偵の目から見ても大丈夫かと思ってね」
と付け加えた。
功一は頷いて
「なるほど」
と部屋の中を見回しながら歩いた。
綺羅はそれを聞きながら
「それで功一に声をかけたのか」
自殺で決定なら
「迷でも関係ないからな」
と心で呟いた。
食べかけなら不審も抱くが綺麗に食べられている。
綺羅は「なるほど」と言いながら女性が死んでいたソファやテーブルを見て回った。
部屋は1LKの一人暮らし用の部屋でキッチンと広々としたリビングが続きになっている。
遺書はリビングの一角にある机の上のパソコンに打ち込まれていた。
『会社の金を着服し続けました。すみません。死んでお詫びをいたします。 鈴木菊江』
綺羅はそれを見ると
「会社の金を横領と書いているが」
と日向と静音を見た。
静音は手帳を出すと
「それは事実ですね」
会社に聞き込みに行ったところ
「彼女の担当部署の発注伝票と納品伝票に差があって100万近く着服していたようです」
と言い
「彼女の机から出てきたホストクラブの名刺を元に聞き込みに行くと週一で来ていたそうですね」
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。