極悪少女とルーツをたどる旅
綺羅は見出しに書かれた文字を見つめ
「いや、見せてくれ」
と告げた。
それは先程の『JDW』の首謀者の黒崎零里のモノであった。
その人物が獄中で死亡したというものであった。
綺羅は腕を組むと
「…まさか」
と呟いたものの、じっと彼女を見る二人に
「いや、先に名古屋市西区で祖母の足跡を辿ろう」
と告げた。
「丁度この辺りが西区になる」
捜すのは『立花』だな
悠も功一も頷いた。
西区は名古屋城の西側の区で北は59号線辺りから南側は名古屋駅の辺りになる。
縦長の区であった。
悠は地図を見ると
「じゃあ二手に分かれて回ろう」
と告げた。
「写真をコピーして持てば大丈夫だろ?」
功一は頷いて
「じゃあ俺は59号線から下る」
お前と綺羅は名古屋駅から上がってくれ
と告げた。
「知っている人を見つけたら電話な」
悠も綺羅も頷いた。
綺羅と悠は列車で名古屋駅へと出ると地図を広げた。
綺羅はそれを見ると
「名古屋駅周辺は商業ビルばかりだから住宅街を潰していく方が効率的だな」
と告げた。
名古屋城の堀へと続く川の手前の那古野一丁目から回り始め、途中で買ったペンで消していく作業を繰り返した。
しかし、年代が古いのか写真を見せても覚えている人はいなかった。
半分ほど回り丁度昼を過ぎたくらいに悠は息を吐き出し
「綺羅、取り敢えずお昼食べようか」
と告げた。
綺羅は頷いた。
流石に歩き疲れたのである。
その時、悠の携帯が震えた。
悠は携帯に出ると
「功一、分ったのか?」
と聞いた。
それに功一は肩を竦め
「いや、お昼は別々な」
と言った。
…。
…。
悠はじっと見つめる綺羅を横目に
「あ、ああ」
お昼は別々で
と答えて切った。
綺羅は舌打ちすると
「功一め、下らん電話をしてきやがって」
と詰った。
悠は微笑んで
「綺羅、功一は俺達がお昼忘れないようにかけてくれたんだ」
な?
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。