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パーフェクトクライムの資料集  作者: 如月いさみ


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極悪美少女探偵登場…本人はやる気なし…

厚村はやってくると

「何を思い出したんだ?」

と手帳を出して悠に聞いた。


悠は綺羅を見て

「妹が」

と告げた。


厚村は小学5年生のチョコンと立っているフワフワとした長い髪の人形のような愛らしい少女を見ると

「そうか~、妹ちゃんの方か~」

よし聞いてあげよう

と告げた。


綺羅は悠を見ると

「悠、このおじさんのチョコロビットまで食べたから買ってきてくれる?」

と告げた。


悠は驚いて

「え!綺羅、用意していたチョコロビット食べたのか?…わかった」

と厚村を見ると

「入って妹の話を聞いておいてください」

俺、チョコロビット買ってきます

と家を慌てて飛び出た。


厚村は思わず

「いやいや」

別にチョコロビットは…

と言ったものの悠の姿は階段の下になっていた。


綺羅は戸を閉めて厚村を見ると

「警察は今どう動いているのか聞かせてもらいたい」

とリビングの椅子に座りながら問いかけた。


厚村は10歳くらいの愛らしい少女に目を向けて

「は?」

と一瞬虚を突かれたように驚いた。


綺羅はチョコロビットのお菓子の包装を破りながら

「12年前の自殺による復讐を匂わせる手紙で調べた大隅大一にはアリバイがあった」

凶器も見つかっていない

と言い

「当然だな」

とハァと息を吐き出し

「あの手紙には二つの意味があった」

一つは犯人が自ら犯人であることから目をそらせるため

「そして時間を稼ぐためだ」

だから直ぐに人物が特定できる内容の脅迫文にした

と告げた。

「特定出来たら警察は直ぐに飛びつくからな」


「そもそも紙を切り張りするのは筆跡で誰であるかをばれないようにするためだろ」

なのに寒山夫妻が直ぐ思いつく内容を書きながら面倒くさい紙の切り張りをするのはおかしい


厚村は正面に座りながら目を見開きごくりと固唾を飲みこんだ。

愛らしい少女が目の前で何を話しだしたのか一瞬頭がついていかなかったのだ。


綺羅はチョコロビットを口の中に放り込んでもしゃもしゃ食べ

「それと脅迫文に警戒するなら本当の探偵かボディーガードか警察に連絡するはずだ」

寒山達雄が反対したとしても

「最低でも本当の職業探偵を呼ぶだろ」

高校生の全く頼りにならない自称探偵を呼ぶ方がおかしい

と厚村を見た。

「つまり、そういうガキどもなら容易に騙せると思った」

まあ、そういうのは大方自分のアリバイ作りのために呼ぶものだな


厚村は戸惑いつつ

「あー、まあ、確かにそうかもしれないが」

と答えた。


何だ、この子は?である。


綺羅はハァ~と溜息を零して

「事件に遭遇したこともない、まして探偵をしたこともない普通の高校生なら利用できると声をかけ」

それがバッチリうまくいったってことだ

と告げた。


厚村は慌てながら手帳を見て

「だが、脅迫文のことはそうだったとしても」

悲鳴は全員が一緒に聞いたと言っている

と告げた。


綺羅は椅子の上で膝を抱え

「あのさ、俺達は彼女に招かれて行ったんだ」

何時どう行動するかあらかじめ想定できる

「つまり」

俺達が着く前に寒山達雄を殺し携帯か録音機でそれを撮り

「彼女が紅茶を入れてくると席を外した時に流れるようにセットしておいて戻ってきて一緒に聞く事なんて簡単だ」

と告げた。


厚村はハッとした。


綺羅は彼を見て

「その後に彼女は俺達を二階へ先に行くように言って自分は二階にも行かずに鍵を取りに向かった」

鍵が閉まっていると分っていたからだ

「本当なら閉まっているか開いているか分からないはずだろ?」

寒山達雄が逃げるために開けるかもしれない

「いや、究極開いているかどうかはその時にならなければわからない」

でも彼女は

「閉まっていると断言して鍵を取りに行くと一人の時間を作った」

と言い

「もし彼女があらかじめ鍵を持っていたとしたら俺達が二階に行き待っている間に一階の部屋で細工をする時間は十分ある」

と告げた。


「あの家の構造は一階の部屋と二階の部屋がちょうど同じ位置にある」

つまり一階の部屋は二階の部屋の真下にある

「俺達は部屋に入って直ぐに見えた寒山達雄の姿に気を取られて隣の部屋の状態を見る余裕もなかった」

元々部屋の窓の鍵が開いていても気付かなかっただろう


「その上、彼女は人形マニアだ」

からくり人形のオルゴールが飾られていたしビスクドールもあった

「鍵だけを開けておいてその後は窓を開けさすトリックに絡繰り人形を使い警察に連絡すると言って一階に降りた時に回収して隠せば…それで終わる」


厚村は汗を拭いながら目の前に座る愛らしい少女を見つめ

「しかし、窓が開いた時に人影を見たんじゃ…」

と言いかけた。


綺羅は手で彼の言葉を制止し彼の背後に目を向けてハッと立ち上がると

「あそこ!!」

と叫んだ。


厚村は慌てて振り返り窓を見た。


綺羅はニヤリと笑い椅子に座ると

「ほらな」

それで窓がバンッて開けば、ずぶの素人は窓から誰か出て行ったって思うだろ?

「彼女はそれを完璧にするために『あそこに人が!』って言ったんだ」

とジュースを手にコクリト飲んだ。

「チョコロビットってやっぱり甘い」


厚村は考えながら

「だが、下に足跡があったのは」

と告げた。


綺羅は彼を見て

「足跡は俺達が来る前につけておけるだろ?」

ずぶの素人の子供がまさか窓の外を覗いて足跡があるか?なんて調べないだろ

「いや、事件が起きることが想定されていない状況だったらそれほど注意深く普通は見ないだろ」

と返した。

「人間は思い込みと錯覚を持つ生き物だ」

説明をする時も必要ない関係ないだろうと思うモノは自然と省いて喋る

「それが警察の詰問や恐怖や焦っている時は特に」


綺羅は携帯をテーブルに置くと

「あの人の本棚の開きの中の写真」

事件前のな

「事件後の開きの中の写真はこれだ」

と言い

「そして事件前のチェストの写真はこれ」

事件後はこれだ

「開きの中の人形がチェストの人形の中に紛れているだろ」

と告げた。


そのオルゴールの絡繰り人形は音楽に合わせて斧を振り下ろす木こりの人形であった。

刃は先が鋭く恐らく剃刀の刃と思われるものであった。


じっと見つめる厚村に綺羅は

「外の木に重しを付けた糸を張り二階の窓にその糸をホッチキスで止めて経由させて一階の窓の隙間に糸を通してこの人形の刃が降りる場所に糸を経由させて先端を止める」

そしてネジを巻いて動かせば良いだけだ

「糸を斧が切れば石の重みに引っ張られて二階の窓枠を引っ張って開くだろ?」

糸は石と一緒に木々の間に消える

と告げた。

「凶器は恐らく庭の人目の付かない土の中の可能性高いだろう」

俺達が行く前だから遠くに捨てに行く暇はなかっただろうし

「近くだと反対に足がつく」


厚村は綺羅を見て

「何故これを現場で出さなかったんだ?」

それにこれまでの推理を…

と告げた。


綺羅はあっさり

「悠を巻き込みたくなかったから」

あの女に騙されたままの方が安全だと判断した

「あの場でしゃべって警察があの女を逮捕するのに手間取って悠や他の人間を襲ったら困るだろ」

まして小学5年生の子供の推論を取り上げるか?

「あの場で」

それに俺は別にあの女が捕まろうがどうしようが気にしない

「どーでもいい」

と告げた。

「けど、悠が落ち込んでいたから」

しょうがない

「協力した」


…完全犯罪になろうとどうしよう興味もない…

「警察は嫌いだ」


最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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