第044話「第二の殺人 その二」
その2です。
続きは出来るだけ早く上げますので、楽しんでいただけたら幸いです。
■05月17日 午前:レオン死亡から二日経過
「それでフレイヤは一体何をしていたのですか?
調査がどうの言っていましたが、第一皇子の殺人について何か気になることがあったのですか?」
朝食を食べ終え、食後の紅茶をジーク様……いや、オズルと公爵、公爵夫人、フレイヤ、そして部屋に来たレイとの六人で飲みながら、私たちは先ほどのフレイヤの自ら宙づりになると言う奇行を行った理由を尋ねた。
「うーん。
気になると言うか何というか……犯人はどうやってあの密室から逃げたのか気になって……」
「どうやって逃げたか?
ソウル嬢。どういう事だ?」
「うーん。口で説明するよりこれを見たほうが早いか」
そう言って、フレイヤは事件現場となった部屋と、女帝が推理したときの現場の状況を記載された図を私たちの目の前に広げた。
●部屋の構図
●女帝が推理した犯人が逃亡した直後の部屋の構図
「女帝の推理だからどこまで正確か分からないけど少なくとも――――が逃亡した直後のこの犯行現場の状況はこれで合っていると思う」
そう言って、フレイヤは女帝が推理した犯人が逃亡した直後の構図の右側を指で丸を付ける。
「このことから考えると犯人はこの状態の部屋から脱出したと言うことになるんだけど、廊下に続くこのドアは防犯の都合上、普通に開けたら大きな音が出るようになっていて、犯人は下手にこの部屋の扉を開閉することは出来ない。
何より第一皇子の死体を吊るした縄がドアについていること。そして鎧を着た死体の重さ。
この二つを考慮すると、音を立てずに開けるどころかドアを開けるその行為自体にかなりの労力が必要となる。
よって、犯人はここではなく――――この取っ手付きの窓か露天風呂の柵から逃げる以外の方法が無くなる。
なら、取っ手付きの窓と露天風呂のどちらかについてだけど、私はほぼ確実にこの露天風呂から犯人は逃げたと思うわ」
何故なら、と次の言葉を言おうとした瞬間、その言葉を遮るかのようにレイが突然、手を前に出した。
「ちょっと待て!
ソウル嬢! 何で――――が犯人だと言う前提で話を進めているんだ!?
だって相手は――――」
「あれ? オズル。
昨日、今までのことをレイに説明するって言ってたけど、その時にこの事件の犯人が誰なのか言ってなかったの?」
「ああ、昨日の魂約書を記載した時点で兄さんは襲われないことが確定したし、何より妹のノウビリティーが俺を探しているような様子があったからな。
下手にバレるようなことはしないつもりだが、あいつがもし俺が死んだはずの兄のジークだと知ったら面倒なことになるからな。
だから、必要なことしか伝えなかったんだよ」
「あー、じゃあ仕方ないか。
貴族派の第八王女にとって国王と貴族の血を引いているジークが生きているかどうかを確認することはある意味他のことよりも重視するべきことだからね。
そりゃオズルがジーク本人かどうかは気になるか」
「まあ、そう言う訳で俺はあくまで必要最低限の説明しかしなかったと言う訳だ」
「なるほどね。
じゃあ、先の話を進めつつ私の第一皇子を殺した犯人の推理を教えるね。
さっきの話から分かったと思うけど私は犯人は――――だと思っている。
その理由は第一皇子の死体が鎧を着ていたことと、吊るされていたこと、そしてあの犯行現場から考えるに――――」
そして、フレイヤは私に伝えた自身の推理をレイに伝えるのだった。
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