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第033話「謎の人物バサナイトと帝国第一皇子レオン・エンパイア」

更新できました。

楽しんでくれたら幸いです。

■05月15日 夕方:帝国との停戦協定初日 顔見せ直前


 あれからフレイヤを説得して、彼女の戦利品を何とか手に入れた私は、それを持ち主に返すこと約十数分。

 手洗いから出てきた彼の服装は先ほどまでのパンツ一丁の姿から、タキシードにシャツと整った服装に変わっていた。


「いやー、パンツ一丁で顔見せに参加しなくて済んで良かった。

 助かったよ。リリーさん、ありがとう」


 カラカラと気持ちよい笑顔と笑い声を上げながら私に頭を深く下げる彼に、私は少し口頭を上げつつ手を振り、暗に気にしないでと伝えた。


「いえ、私も裸で居られるのは気まずかったので気にしないでください。

 ところで何であんなことになっていたんですか? もしかしてお二人は知り合いなんですか?」


 そう言って、私は少し呆れつつ、視線をレオンさんから彼を裸にした張本人に変える。


「んぐっ、んぐっ、ぱっー。ジュースと枝豆美味しい!

 あ、リリーも食べる?」


 しかし、私の呆れた視線など意に返さないと言うかのように当のフレイヤはジョッキの中に入ったジュースを浴びるかのように飲みながらものすごい勢いで枝豆を食べていた。


「いえ、今食べると夕食が食べられなくなるので大丈夫です。

 それよりも、先ほども質問しましたがお二人は知り合いなんですか?

 お金を賭けていたのもそうですが、罰ゲームとは言え男性を裸にするようなことを許容するなんてよほど仲が良くないと出来ないと思うのですが……」

「あー、何といえば良いのかな? えーと……」


 レオンさん。先ほどまでのハキハキした口調から変わって口ごもっていますし、フレイヤの方をちらちらと見てますが、何だか怪しいですね……

 王国の公爵令嬢であるフレイヤが帝国と繋がっているなんてことはありえないと思いますが、でも先の戦争のことを隠していたように、何か意図的に隠していることはありそうですね。

 そんなことを思っているとフレイヤは尻目に私を見つつ枝豆を食べながら、口を開いた。


「リリー、安心して。私たちは本当に互いにただ暇だったから遊んでいただけだし、公務で公爵家と帝国として話したことはあっても、公爵令嬢と帝国の皇族として話したことはなかったから」

「え? そうなんですか? ですが、ここまで来て遊ぶなんて、どちらかが声をかけない限りありえないと思うのですが……」

「うーん。まあ、そうだね。

 まあ、私も用事ない限り帝国の皇族と話す予定は無かったと思うよ」

「用事ですか?」


 私の言葉に頷くとフレイヤの代弁をするかのようにレオンさんは封筒を私に手渡した。


「リリーが部屋を出てすぐくらいかな?

 急に呼び鈴がなって、()()()()()って言う人がこの手紙を隣室の第一皇子にその手紙を渡してくれって頼まれたんだよね。

 流石に眠かったし、二度寝してから渡そうかなって思ったんだけど、でも二度寝したら確実にそのこと忘れそうだったから、欠伸しながら渡しに行ったんだよ」

「ああ、それでこの手紙を貰ったのだが、流石に王国の公爵令嬢を使用人のように使った挙句に、このまま帰すのは不味いと思ったから、手紙を渡しに来てくれたお礼として、顔見せが始まるまでの遊び相手とここの料理を全て奢ることにしたんだが……」

「賭け事に敗けに敗けて、裸にされたと……」


 ああ、そうだ。全く恥ずかった。と言うかのように後頭部を掻きながらカラカラとレオンさんは笑った。

 それにしてもバサナイト……って、珍しい名前ですね。

 名前からして男性でしょうか? 私たち王国の人物にそのような名前の人物は居なかったので、帝国人であることは確定ですが……


「……エンパイア様。こちらの手紙は読んでも大丈夫でしょうか?

 流石にフレイヤのことを疑っているわけではないのですが、記載が問題ないことと、何か仕込みが無いかを確認したいので」

「それはもちろん。大丈夫だ。

 だが、もう一度開けてしまったし、何か仕込みがあったり、問題のある記載があったとしても、たいていの人間はその箇所を弾いているはずだろうし、中身を見ても意味が無いと思うんだが……

 あと、エンパイアは言いづらいだろ? 俺のことはレオンで良いぞ」

「そうですか。では、レオンさんとお呼びさせていただきます。

 あと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 すみません。従業員さん。確か地下の一部だと魔法使えるのですよね?

 そこまで案内お願いします」

「はい、承知しました。

 では、リリー様。こちらへどうぞ」


 そう言って、私に背を向けた従業員さんと一緒に私とフレイヤとレオンさんは地下の面談室へと歩を進めたのだった。

 そして、地下一階の廊下の奥まで誘導してくれた従業員さんはまるで門番のように、扉の前に立った。


「こちらの面談室に入ると皆様は魔法を使うことが可能になりますが、魔法が使えると言うことは能力次第では皆様の安全性の保障が出来ないと言う事です。

 そして、安全と安心をコンセプトにしている当ホテルにおいて、皆様が何かしらの害を犯す意思、もしくは行動を起こし、誰かが傷つく、もしくは殺害された場合当ホテルの長年築いた信頼が失墜してしまう可能性があります。

 そのため、皆様の安全と当ホテル品位を護るためにこちらの部屋を使用する際は、こちらの扉から入って出るまでの間、何かしらの危険な行動もしくはそれに準する行為を起こした人物は我々の手によって拘束あるいは、最悪殺傷行為をさせていただきますので、ご注意ください。

 それらのことを踏まえて皆様、こちらの部屋をご使用いたしますか?」

「ああ、そのような気はないから、俺は問題ない」

「私も大丈夫です」

「……もぐもぐ……私も……んぐっ、けぷ。大丈夫」


 フレイヤ、男性が隣に居るのですからもう少し品位を……いや、道中もポテトを食べていたのにレオンさんのまったく気にしていない雰囲気から察するに、もうフレイヤの性格は知られているでしょうね。

 そんなことを思いながら吐いた私の溜息を消すかのように扉を開く大きな音が廊下に響き、私たちは面談室の中に入った。


 面談室は面談室と言う名前ではあるが、部屋の大きさは宿泊室よりも広く、絵画や壺、そして部屋の奥にはコンサートホールを連想するかの様な「緞帳(どんちょう)」まであり、面談室と言うよりパーティー会場を連想するかのようなものであった。


「では、俺は二人から一番遠い席に座るから、二人は好きなところに座ってくれ」

「お気遣いありがとうございます。

 では、失礼します」

「んぐっ、もぐもぐ……「失礼(ひふれい)」。あ、従業員さん。

 今度はハンバーガーとジュースをお願い。支払いはレオンで」

「承知いたしました。フレイヤ様」


 そう言って、恐らく魔法か魔導具の一種であろう。

 耳の近くに指を添えた従業員さんは、何か小声で話し始めると数分後にはハンバーガーとジュースを持った従業員さんが部屋の中に入ってきて、フレイヤの目の前にそれらを置いた。


「んじゃ、いただきます」


 そう言うや否や、まるで私たちなど見ていないかと言うかのようにご飯を食べ始めるフレイヤ。

 そんなフレイヤを見て、レオンさんは楽し気な表情を浮かべていた。


「ご馳走様。それじゃあ、次はステーキお願いします」

「あははは、君は本当に良く食べるな。

 お、ノエル。ソウル嬢の口が汚れているな。拭いてあげてやってくれ。

 俺が近づくと距離を取った意味がなくなるからな」

「承知いたしました。では、フレイヤ様。失礼いたします」

「んっ、ありがとう」


 ノエルと呼ばれた従業員さんは、フレイヤの傍に近づくと何処から出したのか濡れた綺麗なタオルを使ってフレイヤの口元を拭った。


「……お恥ずかしいところを見せてすみません。あと、お気遣いいただいていただきありがとうございます。

 それにしてもフレイヤ。このまま食べ続けたら太りますし、何より奢ってもらっているのですからもう少し遠慮してください」


 それにその体は私の体なんですから元に戻った時に死に戻り前より太っていたら承知しませんよと、目で伝えた私の言葉が伝わったのか、フレイヤは少し残念そうな顔をしつつ手に持っていたナイフとフォークを置いた。


「あー、それもそうか。

 すみません。さっきの注文はなしで」

「なんだ。もう良いのか? もう少しくらいなら食べても問題ないぞ」

「良いよ。さっきリリーも言っていたけど、これ以上食べたら太りそうだし」

「そうか。まあ、確かに女性はそう言うの気にするしな。

 では、君の食事も終わったし、話を元に戻そうか。その封が開いた手紙だが、どうやって信憑性を上げるんだ?

 ここに来たと言うことは魔法を使って、信憑性を上げると言うことは分かるのだが……」

「はい、まず私の魔法である時の魔法ですが、基本的には術者以外の生者、生物には効果が出ませんが、この手紙のような無機物、無生物に関しては……

 このように半月程度までなら好きな時間に物質を戻すことが可能になりますので、例え紙を燃やされてもその中身を閲覧できます」


 そう言った私の手には、封が完全にされていた時間にまで戻された封筒があった。


「……なるほど。確かにそのような能力があるのなら、自身や自分の信頼する人物の信憑性を上げるだけなら、有効だし、例え燃やそうとも破こうとも、中身を抜き取ろうとも意味がないな」

「はい、では早速こちらの手紙を見ても大丈夫でしょうか?」

「ああ、もちろん。好きなだけ読んでくれ」


 そして、私は従業員のノエルさんから渡されたペーパーナイフを開けると中に入っていた手紙を読み始めたのだが……


「何か仕込まれてそうな形式はないみたいですが、書かれているのが……帝国語……」


 意気揚々と手紙に視線を落としたのだが、その中身は全く意味が分からない文章が書かれていた。

……忘れていた。フレイヤに渡すように頼んでも、これを読むレオンさんは帝国人なんだ。

 だとしたら、書かれるのは帝国語のはずだ。


「あれ? リリーって帝国語読めないんだっけ?」

「はい、聞くのと話すことまでは出来るのですが読むのはまだ不十分で」

「あー、そうなんだ。じゃあ、私が読むからそれ貸して」

「はい、お願いします」

「えーと、それじゃあ読むね」


 そう言うと、少しだけ息継ぎをしたフレイヤは手紙に書かれた内容を読み始めた。


『「私は(I'am )」「バサナイト(bassanite)」。

「 親愛なる(Dear)」「レオンへ。(Leon.)

 「久しぶ(Long time)」「りね(no see)」「。(, eh.)

「 レオン。(Leon.)

「 今日の夜に(I'll go to)」「あなたの部屋に(your room )」「行くわ(tonight.)。」

「 昔話に(Enjoy)」「花でも(talking)」「咲かして、(about)」「楽しみま (old)」「しょう(times.)。」 』


「以上ね。

 まあ、最初のI'amが間違っていて怪しいけど、それ以外は普通の今日会う約束の手紙みたいだね」

「フレイヤありがとうございます。

 確かにそこは少し怪しいですが、内容見る限りは本当にただの手紙みたいですし、暗号と言うよりかはただの誤字の方が可能性が高いですね。

 レオンさん。疑ってしまってすみませんでした」

「いやいや、大丈夫だ。我々個人はともかくとして、帝国と王国はまだ停戦状態なんだ。

 そんな中で、王国の公爵令嬢が帝国の皇族に文章を渡して、それを確認しないのは信頼しているどころか、無関心と言う信頼とは真逆の行動だから君の行動は正しいよ」

「そうだよ。

 私だって、同じことがあったらそうすると思うし、それにリリーは……ね」


 冤罪をかけられて処刑されたのだからとフレイヤは暗に伝える。


「お二人ともありがとうございます。そう言ってくださって、気が少し楽になりました。

 では、えーと、ノエルさんで良いでしたのよね?

 これをレオンさんに返却してもらっても良いですか?」

「承知いたしましたタイム様。では、手紙を失礼いたします。レオン様。どうぞ」


 丁寧なしぐさで私から手紙を受け取ったノエルさんはそのままレオンさんのところへ向かうと、手紙をそのまま彼に手渡した。


「ありがとう。ノエル。

 ああ、因みにだが、タイム嬢。先ほどソウル嬢が言っていた最初のI'amが間違っているのは、私とバサナイトの間で決めている文章の始まり方なんだ。

 だから、暗号文と言えば暗号文だが、特に王国に害をなすものではないため安心したまえ」

「そうなんですか。だとしたら、安全ですね。

 わざわざありがとうございます」

「いやいや、気にしないでくれ」


 そう言って、手を振るレオンさんだが……


「あの……すみません。

 誤解が解けたついでと言ったらなんですが、もう一つ質問しても良いですか?」

「ああ、答えられる範囲で構わないなら問題ないよ」

「帝国は王国を敵だと言う考えをしているのですよね?

 それなのに、どうしてここまで友好的に接してくれるのですか?

 もしかして――――」


 ここに到着する前に出会ったあの兵士やセバスさんの言動と比べたら雲泥の差どころの話ではなく、そのせいか私は、彼が私たちを親しくなり懐柔しやすくするためにそのようなことをしているのではないかとどうしても警戒してしまうのだ。

 そんな私の思惑を察してか、少しだけ口頭を上げた彼は鋭い眼光をすると――――


「なんだ。気づいていたのか。

 ああ、そうだ。俺は王国のことを――――()()()()()()()()()()()()()()

「へ? な、何とも思っていないですか?」


 私が想定していたのとは真逆の答えを言った。


「子供の頃は確かに王国のことを憎いとは思っていたがそうだな……公務として王国との戦争の場に赴いた時だったかな。

 そこは戦場と言うことで当然と言えば当然だが、毎日のように人が傷つき、殺されたいた。

 無論、それ自体は戦争である以上は仕方ないことだし、俺もそこは理解していた。

 だが、ある日、俺は何でこんな戦争に参加しているのかと他の兵士に聞きまわっていた一人の少女兵と出会ってな、彼らの王国が憎いから、自分たちの誇りと土地を護るためだからと言う言葉に俺は思わず涙を流してしまったんだ。

 無論、価値観が変わった今なら泣くどころか憐みの視線を向けていただろうな。

 だが、当時の俺は帝国は何て素晴らしい民を持った国なんだと思っていたよ」


 昔を懐かしみつつ語るレオンさんだが、その内容はあまりにも刺激的すぎ、私は思わず鳥肌が立ってしまった。

 確かに帝国は王国を憎んでいることは知っている。

 だが、いくら憎んでいるとは言え、嬉々として戦争に行って死んでいくことまで出来るなんて、そんな洗脳染みたことをやることが出来るなんて私には想像できなかったからだ。


「だから、そんな彼らに感謝の意を伝えようと、彼らに向けて歩を進めた時に、質問していた少女兵がな言ったんだ。

『死んだら何も意味ないのに、嬉々として死に行って馬鹿みたい。負けて死ぬくらいなら、最初から戦わなければいいのに』ってな。

 そんな彼女の言葉を聞いた俺は、気づいたら『国のために戦っている彼らを侮辱するな』って叫びつつ、彼女を殴っていた。

 無論、少女と言えど戦争に戦っている兵士にそんなことすればいくら皇子と言えど多少の責任を負わなければならず、俺は野戦病院で負傷兵の対応をするようになった。

 毎日のように傷つき、中には五体不満足な肉体な負傷兵の傷の治療をしながら彼らの死にたくない。帰りたいと呟きながら死んでいく日々、そんな中で俺は毎日のようにこう思っていた。

 何で彼らは胸を張って死なないんだって、見苦しいことを言いながら死ぬんだって。

 もちろん、今ならその思考自体がおかしいことは分かっているが、当時はそこまで賢くなかったうえに、王国との戦争で死ぬことは光栄だと言う教育が抜けていなくてな。

 だからだろうな。俺はどうやったら、彼らが胸を張って死ねる戦争が出来ないかと考えるようになった。

 だが、当たり前だが、どうやってもその答えは出ず、俺は殴ってしまったその人物に会いに行ったんだ。

 どうすればより良い、全員が胸を張って死ぬことが出来る戦争が出来るかって質問するために。

 そして、彼女に出会った俺は彼女に質問したら……そいつは何て言ったと思う?」

「……なんて言ったんですか?」

「『兵士を全員頭の狂った殺人鬼の犯罪者で構成すれば良いんじゃない?』 だってさ。

 思わず、呆然としてしまったよ。何せ殺人鬼の犯罪者でも無ければ、誇りをもって兵士は死ねないと言うんだから。

 でも、同時に気づかされたよ。戦争は誇れるものでも何でもない。ただ、殺し殺される無意味なものだって。自分たちがしているのはただ、間接的に民に死ねと言っているだけの最低な行動なんだって。

 そう思ったら、戦争を嬉々として実行している帝国と、人々を戦場に送る俺たちは本当に正義なのか、ただ過去に縛られて、今を、人命を見ていないだけじゃないって……思うようになった」


 過去の自分を恥じているのか、顔を手のひらで拭いながら天井を見つめるレオンさん。

 その言葉は今までの彼の言葉のどれよりも重く、本当に後悔しているのが分かった。


「そこからは早かった。

 俺は帝国と王国と戦争を永久的に無くすためにはどうすれば良いか考えるようになり、過去の資料を読み漁り、他のことは何も考えられなくなって、そして気づいたら王国に対する憎しみは全く無くなっていたんだ」

「…………」

「…………」


 嘘か本当か分からない彼の過去。しかし、その言動は心の底から過去の自分の行動を恥じていることが伝わり、私は急に彼が自分たちを懐柔しやすくするために行動していたのではないかと思っていた自分のことが恥ずかしくなった。


「だから、ある意味今回の王国との停戦協定は、俺にとっては願ったり叶ったりなんだ。

 この停戦の内容次第では、王国と帝国との長い戦争がようやく終わることが出来るからな。

 だから……こんなことまだ幼い君に言うのは場違いだとは分かっているが、頼む。

 俺に協力してくれ」


 そう言って、プライドすら捨てて、子供である私に頭を深く下げるレオンさん。

 そんな彼の真摯な行動に、私は頷きそうになるがすぐに頭を振って、頭の熱を下げる。

 彼を信じたいと言う気持ちは先ほど以上に強くなっているが、相手の言葉の真意を考えずに、安易に答えを言うのは相手に関心が無いことと同じであり、それは真摯にこちらと話している相手に対する最低な行動だからだ。

 ゆえに、私は――――


「たとえその結果、帝国が貧しくなってもですか?」

「ああ、その時は俺たち皇族が身を削っても民を支えればいい。

 民の多くが無駄に死ぬことに比べれば万倍もマシだ」


 私の言葉に即答するレオンさん。

 その行動に気持ちがほぼ決まった私はフレイヤの方を見ると、彼女は私に大きく頷き、私の案に賛成してくれた。

 ゆえに、私は未だに頭を深く下げている彼の方に顔を向けて――――


「分かりました。

 どこまで出来るか分かりませんが、全力で協力させていただきます」

「それじゃあ、私も同じく協力させてもらうよ」

「ありがとう……本当に二人ともありがとう」


 自分の魂に刻むかのように、彼と協力することを誓い、そんな私たちに彼は心からの感謝の言葉を伝えるのだった。

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因みに帝国は某進撃する巨人のあの国をモデルに作っております。

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