第2話青い聖剣を持つ少年
12年前の記憶
あの隕石が落ちた日のことを今でも思い出す。
12年前の悲劇、そうあの日のことは忘れはしない。
隕石が僕たちがいる方向へと落ちていく。そんな空を見上げ幼い少年は立ち尽くしていた。
空を見上げる少年は空に手を伸ばしこう言った。
「僕を殺して」
周りには火を浴びて苦しんでいる人々の叫び声や唸り声が聞こえる。
見渡す限りの景色に映っていたのはこの世のものとは思えないほどの地獄だった。
その地獄の中にぬいぐるみを持った少年が僕の方を見ている。
その少年は僕に指をさしながらこう言っていたんだ。
「君は一体誰と?」
その少年の顔を見て驚いた。
世界には三人くらい似ている人がいるって話を聞いたことあったっけ?
その似ている少年がそこに立っていたのだから。
僕は少年に聞いた。
「君の名前聞かせてよ」
彼はこう言った。
「俺は...」
その名前を思い出せずにいたんだ。
夢から覚め目覚めるとそこには黒い眼をした男が立っていた。
「お目覚めですか?我が主よ」
男は俺の顔を見ながらそう聞いてきた。
「あぁ、またいやな夢をみた。」
そう呟きながら着替えを済ませ、支度を整え外に出た。
立ち入り禁止区域Z
見渡す限りの荒廃した世界、広がっているのは屍の大群と旧日本都市東京の荒れ果てた姿。
ただひたすら進み続けるとそこにはかつての東京スカイツリーなどがあった。
進んでいく先に何やら不思議なものが見えてきた。
それは赤い壁で覆われた教会?のような場所だった。
その中に入っていくとそこには白い装束に身を纏った女性がいた。
「お久しぶりです!ルディシア・フォードレッド。」
「久しぶりね。天宮総馬。」
「相変わらず可愛いわね。そのネックレス!それで何の用かしら?」
「あなたにとある男について調べてもらいたいと思って依頼にきました。」
「あら、誰を調べてほしいのかしら?」
写真を取り出し女性に渡した。
「これって...」
「彼の件お願いします。」
とにっこりした笑顔でその場を後にした。
ロンドン
一人の男が何かから逃げていく。
その男がやっとの思いで美術館の扉を開けやつが入ってくる前に扉を閉め美術館に飾られていたショットガンを手に持ち両手で構え、入口の扉の窓ガラスを覗いた。
窓ガラスから外を覗いたがさっきまで追いかけてきた化け物がいない。
ほっとした顔で美術館の中にあるものを見ようと振り返った瞬間に奴が男の上半身から丸呑みにした。
数時間後
祓魔師達が現場に到着するとすでに屍と思わしい姿は消えており、現場には白骨化した遺体のみが残っていた。
しばらく現場で話し合っているとどこかから少女の悲鳴が聞こえた。
一番にその場から少女の悲鳴が聞こえる方向へ向かう一人の祓魔師がいた。
その祓魔師が少女のいる方向に向かうとそこには屍がいた。
その屍は虫のような羽がはえた人間だったと思えない大きさになっていた。
「どんだけ、人を食えばこんな大きさになるんだよ?」
と祓魔師は言い、青い剣を取り出した。
その体に囚われた悲しき魂に告げる。汝の身は我が剣に汝の魂は我が主に、主は汝の願いに問いただす。永遠の解放を主の下、印せ。
疑似聖剣。
その聖剣はかつてとある王が使用していた剣に酷似している。
屍はこっちに気付くと襲いかかってきた。
その攻撃を避けて
その剣で屍を斬り裂いた。
屍は灰になって消えていく。
少女を保護し、神父の元へと戻っていった。
神父の下に戻ると何やら嫌そうな顔をしていた。
神父に報告すると神父は少年の肩に手を置いてこう言った。
「ありがとう。アーサー」
と言い微笑みながら抱きしめた。
「えっ?」
「君に教団本部から伝達が来た。第7教団支部...日本へ行ってくれ。」
神父は涙を流しながらアーサーに告げた。
数週間後
日本 新東京
日本に到着し、神父からもらった手書きの地図を見ながらタクシー乗り場でタクシーを待っていると一台のタクシーが止まった。
「お客さん、日本に来たのは初めてかね?」
「あぁ、初めてだ。」
「ちょっとその地図貸してみな。お客さんひょっとして教団の人かい?」
その問いに対してアーサーは頷いた。
「いつもありがとうな」
とタクシーの運転手は言った。
どのくらいの時間がかかったのか分からないがやっと到着した。
その教団支部は大きなビルとビルの間に建っていた。
支部の中に入るとそこには一人の男性が立っていた。
その男性は細身で上下黒い服装をしており、首には十字架のネックレスを付けている。
男は俺の方を見てこう言った。
「君はこの辺の子じゃないね。」
「はい、ロンドンから来ました。」
「へぇ~」
と男が流し聞きしていると奥からがたいの良い男が紙を持ってきて男性にこう言った。
「何やってるんですか~?神父。」
「あぁ、悪い悪い暇すぎてな。」
「それよりもこの書類とかまだ終わってないんですからちゃんと終わらせてくださいよ!」
「あはは、悪い悪い。」
と会話している中、がたいの良い男が俺の方を見てこう言った。
「あっ、君は10教団支部からこっちに配属になった子だね。」
「はて、そうだったかのぉ~」
「いやいや、書いてありますよここに」
と書類に指をさしながらそう言った。
「あれ...あのくそ神父~」
そうしている間に神父は姿を消した。
そして神父室に通された。
「本日より第7教団支部配属になりました。アーサー・ボイドです。宜しくお願いします。」
と敬礼しながら言った。
「いや、敬礼しなくていいよ。」
「俺は神父補佐官の金山 礼治だ。よろしくな!」
とさっきのがたいの良い男が言った。
「あぁ、あとさっきの細身の人が神父の獅子王寺 幻羅だ。」
「あの、神父の人って毎回あんな感じですか?」
「...あぁ、そうだ。あのクソ神父は~!!!」
と般若のような形相を見てこう思った。
この人だけは怒らせたくない。
「あぁ、あと君に紹介したい隊員?がいる。」
と言い場所を移動した。
第7教団支部敷地内墓地
そこは裏庭って言っていいのか分からないがそこにはたくさんの墓石が建っていた。
その墓石の中を進んでいき一番奥にある墓石の前でお墓参りをする少年の後姿が見えた。
彼は?と礼治さんに聞くと礼治さんは俺に向かってこう言った。
「君も知っているだろ。12年前の悲劇。」
「はい。話は聞いています。」
「彼はあの悲劇の唯一の生き残りだそうだ。」
お墓参りを終えた少年がこっちに向かって歩く。
その少年は礼治さんを見てこう言った。
「どうしたんですか?礼治さん。」
「おう、お前に新しい仲間を紹介しようと思ってな。紹介しよう。今日からおれたちの教団に配属になった。」
「アーサー・ボイド」です。よろしく」
と手を差し出すとその手を握りこう言った。
「おいらは天野宗太、よろしくな!アーサー」
そう言い放った瞬間に握手している手に痛みを感じた。
よく見ると宗太が思いっきり手に力を入れている。
我慢できず大きな声で痛てぇ~と叫んだと同時に手を離し、そのまま戻っていた。
礼治はその光景を見て笑っていた。
そして中に戻り、いろいろと教えてもらっていると教団内のベルが鳴り響いたと同時に館内アナウンスが鳴った。
「B地区に屍を多数確認、すみやかに現地に向かい鎮圧してください。」
それぞれ装備を整えてその場所へ大型車で向かった。
大型車内
今回の任務は屍の鎮圧と民間人の避難だ。
民間人の避難が最優先となる。
そう神父補佐が言った。
神父補佐はアーサーの顔を見てこう言った。
「そう、緊張するなよ。アーサー」
「してねぇです。」