表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101(ワンオーワン)   作者: 叢雲弐月
101人目の魔境王
437/518

別荘の始末

「うわ…。」


 華の目の前で、次々と更地が出来ていく。それはもう、豪快だな、としか言いようがない状況だ。


 ナーガラージャは今、カーデュエルとアルゼ村の境で、結界によって分断された別荘を『収納』している。


 ここいらの別荘は全て、前村長の個人資産だった。かなりの大金を投じて次々と大きな建物を建て、村にやってくる貴族や金持ちに貸していた。それらは今、全て差し押さえられ、華が自由にできる不動産と化している。


 ここを借りていた人間は、すでにどこかに移動していった。結界ができたことにより、別荘は分断され、整備されていた道路はカーデュエル側にあるため、全く使えない。


 別荘の住人達は、突然起こった現象に度肝を抜かれ、アルゼ村の出入りが解禁となると同時に出ていってしまった。結界ができた時に起こった現象への恐怖と、今後何が起こるかわからないという懸念で、とても落ちついて暮らせないと判断したようだ。


 おかげで華は、建物に住んでいた住人に移動を促す勧告を行う必要もなく、簡単に接収できる。道路がなく馬車が使えなかったせいだろう、中には食料や生活用具が残っている建物もあった。建物内には家具もついているので、趣味の良し悪しはともかく、そのまますぐ使えるというわけだ。


 とはいうものの、別荘は結界によって分断され、どちらか半分しか使えないような状態だ。このままでは不便この上ない。そこで、ナーガラージャの出番になった。


 彼は簡単そうに、ひょい、ひょいと大きな建物を収納していく。面倒な工事も何もないまま、建物の基礎部分からごっそりだ。それらがこの地上から消え失せていく様は、まるで大がかりなマジックでも見ているようで壮観だ。次々と更地になっていく様、建物によっては地下室部分があるので大穴ができる様に、華はわくわくさせられた。


 こんなことが可能なのは、魔力量が豊富なナーガラージャならではだろう。一つ建物が消える度、華が大喜びで拍手をしていたこともあって、ナーガラージャも得意そうだ。


 以前、カーデュエルの山の上にある神殿が、『はじまりの王』によって持ち込まれたと華は聞いたことがあったが、ナーガラージャが別荘を収納している様を見ていると、さもありなん、と納得させられてしまった。


 ナーガラージャに別荘を収納してもらっていたのには、わけがある。人の住まなくなった建物は、傷みやすい。いつまでも空き家にしておくと、勝手に入り込む連中が出て来る。住むだけならともかく、悪いことに使われたらかなわないし、かといって何軒もの空き家をそのまま管理するのも大変だ。


 だったら有効利用するに限る。これから華がやろうとしていることに、建物を使えばいい。ナーガラージャの収納を介して、必要な時に取り出せばいいのだから、建設費用も必要ない。


 だが、一軒だけ、収納しなかった別荘がある。例の、さらわれてきた子供を閉じ込めていた屋敷だ。


 無駄を嫌う華も、さすがにあの屋敷を使う気にはならなかった。再利用するにしても、忌まわしい気がするのだ。すでに現場検証も終わり、証拠物件は残さず持ち出されている。無駄に広い屋敷の中は、荒んだ空気もあり、すでに幽霊でも出てきそうな雰囲気だ。


「点火して。」


 華は、その屋敷を火葬することにした。文字通り、火をつけて燃やして失くしてしまう。火で清め、浄化させ、区切りをつけるためだ。被害者からすれば、二度と見たくない建物だろう。残しておいてもよいことなど一つもない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ