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101(ワンオーワン)   作者: 叢雲弐月
101人目の魔境王
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八雲手帳04

 冒険者への説明会の準備にとりかかったイスハークと別れ、華は次の仕事に取りかかった。彼のおかげで神社のギルドの備品もかなり充実してきた。華は、トーマス達に頼んで作ってもらった看板をサスケに渡し、神社のあちこちに設置するよう指示した。


「なるほど、これは気が利いている。こういったものが置いてあれば、いちいち細かい説明をしなくてもすむな。」


 看板は、神社やギルドのあちこちに設置することにした。例えば、神社の入口には手水の使い方をイラスト付きでわかりやすく、ギルドの入口には並び方、手順など、はじめてここを訪れた人にもわかるように工夫した。


 看板よりも小さい表示板も、あちこちにとりつけられる。これには、受付、とかトイレ、とかの文字が書いてある。


「ええ。職員は、簡単な質問にはわずらわされなくなるでしょう。だいたいのところは、手帳に書いたつもりですが、ろくに読もうとしない人もいるかもしれませんからね。何か不備があれば、その都度、手帳に文言を追加する予定です。」


 問題が起こり、手帳に書かれていることが変更になったり、新しいことが追加される場合は、鳥居をくぐる時に手帳内容が変更されるようにしている。アプリのバージョンアップと同じだ。


 用事をすませたところで、職員用の住まいやここ以外の鳥居の設置にとりかかった。ユリウスに頼んで、鳥居の設置場所の候補地を地図に書いてもらったが、華にはどこが最適かわからない。そこで、場所の選定は彼に一任し、指定された場所にこちらが勝手に鳥居を設けることにした。


 各領につき一か所しか鳥居を設けないため、選ばれなかった土地の冒険者は割をくうことになる。しかし、こうなった経緯は新聞に書かれたため、地方にまで驚きのスピードでその情報は広まった。おかげでヘイトの行き先は、事の原因となった薬草事件の首謀者達に向けられているという。


 だが、生活のためにカーデュエルに出入りしていたものからすれば、とんだとばっちりだ。一番冒険者の多いアルゼ村近辺のものは、もともとこの近辺から出入りしていたため影響は少ないが、鳥居から離れた場所で生活しているものにとっては打撃だ。


 そこで華は、ユリウスを通して鳥居や手帳のことを周知すると同時に、このことによって生活手段を奪われる者に対し、必要に応じて各領主が救済措置をとるよう要請することにした。


 初めは各領の鳥居周辺に建物を建て、そこに冒険者を集めたらどうか、といった話もでた。他領からカーデュエルに入る冒険者は、かなり少ないため、移動させることで解決できると考えられたからだ。


 しかし、その案はユリウスによって却下された。こちらが建物を建てたり、人を移動させたりとなると、領主からの反発があるというのだ。領の問題は領で解決する、という原則があるため、介入しすぎになる。


「そのあたりは、領主のさじ加減にまかせたほうがいいと思います。これによって各領主が、どの程度カーデュエルに依存していたかがわかりますし、陛下の要請に対して彼等がどのような態度をとるか、様子を見ることもできます。それは、今後のことに必要ではありませんか?」


 そう言ったのは、スタニスラフだ。それを聞いた華は、それもそうだ、と思った。個人が生活を破綻させないため、できる限りの対策をしたいとは思う。だが、彼の言う通り、どの領がどれだけの物をカーデュエルから必要としているか、を見極めることも大事だ。華にとって一番大切なのは、まず、カーデュエルを守ることなのだ。


「地方には、教会の支部があります。そういったところにも声をかけ、目配りさせるようにしておきましょう。」


 そこで、各領の冒険者についての対策は、領主と教会支部への通達ということでおさめることにした。


 ジェイドによって次々と種がまかれ、大きな鳥居が効率よく建てられていった。神社内には、新たに職員用の宿舎となる建物も裏に作られ、それらはナーガラージャによって契約が行われた。


 説明会を控え、イスハークは早速、出来あがったばかりの宿舎に引っ越すつもりだという。冒険者への説明会は、村役場前の広場に人を集めてすることになり、手帳は説明会の次の日から使えることになった。


 華は、自分の考えたことによってたくさんの人が動き、新たな道へ進んでいく様を目の当たりにしていたのだった。


 



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