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~悲劇~

衝撃な真実と悲劇。

 ノアはレガンに、ありがとーとだけ言って、いつも遊んでいる覚醒人間達の所に行き、ごめんなさいと謝り、仲直りし、遊び始めた。……きっと無理しているのだろう。だって、いつ死んでもおかしくないというお告げがあったのだから。


「……レガン……」


「ん…? どうした?」


レガンは私に向かって、微笑む。だけど、きっとこれも無理している。

「……あの絵、本当なの……?」


「……俺もよく分からないんだ。ノアがリマに殺されるなんて……俺だって考えたくねぇよ。……そして、俺も……」


それもそうか……。私ならまだしも、レガンは初めて起きた現象で、しかも自分が死ぬ未来を見ているんだ。動揺せざるを得ないだろう。


 ……って、レガンって未来をみる能力があるの!? そんなの聞いてないんだけど!? 多分、これはレガンの能力じゃなくて、心の赤を持つ者としての能力だろうけど……。そうだとしたら、レンから何も聞いていないんだけど……。……もしかして、レンはこれで自分の死が分かったのかな……? レンのことだから、あり得る……。あ……そうだ! レンのノートに、このことが書いてあるかもしれない…!!


「レガン! レンの研究ノート……!!」


「……!! そうか、レンさんの研究ノートに、何か書いてあるかもしれない…!!」


レガンはレンの研究所から持ってきたノートを確認する。


「これだけ、まだ見れてないんだよな……。正確に言うと……このノートだけ開くことが出来なかったんだよな……。今なら開くかもしれないな」


「開かなかったの? 何でだろう……。気になるけど、それよりも!! 開けてみて!!」


「分かった……!! ……よし、開いた!! もしかしたら、必要となった時に、開く仕組みになっているのかもな……。さぁ、気になる内容はというと……『時々見える映像について』……?」


「やっぱりレガンも見てたんだ……何かを……」


「読むぞ……」


レガンはノートの内容を読み始めた。


『ある日、私は突如、何かが見えた。これも、もしかしたら、心の赤を持つ者の能力なのかもしれない。なので、このノートに残すことにする。もし、私と同じ経験をした方は、これを参考にして頂ければ……。何かが見えるというのは、きっと人それぞれだろう。私の場合は、自分の身がどうなるか……を見た。恐らくだが、これは近い内に起こる未来(危険)を表しているのだろうと思う。そう思う根拠はただ一つ。私は重い病気を持っている。……心臓病だ。私が見た物が表すこと……それは、私がその病気で近い内に、死ぬことになる……ということだろう。もし、何か見えたならば、最悪な事態も覚悟した方がいいだろう。だが、もし、見た物が、自分以外の者に対する未来ならば、それを防ぐよう、心掛けるといいかもしれない。そうすれば、見た物とは、別の未来になってくれるはずだから。……私はもう無理のようだが。命が終わるその日まで、私は研究を続けることにしよう。少しでも、資料を残せたら、私の次の、心の赤を持つ者が困った時に役立つだろうからね』


レン……。貴方の病気は……そんなに重たい物だったんだね……。そんな中、私達のために……。ありがとう……レン……。


「……防ぐ方法……か。リマを止める方法か……。いや……あの未来にならないようにすればいいのか……。それなら――――」


「きゃああああああ!!!!」


悲鳴が聞こえた。嫌な予感がした。だけど、振り向くしかなかった。


「ど……どうして……?」


「悪いね、今までのは全部、演技だったの。って訳で、死んでくれない?」


そこには、顔を青ざめ、尻餅を着くノアと、ナイフをノアに向け、狂気じみた顔をするリマがいた。


「……リマ……」


狂気じみた顔をした彼女の名を呟く。すると、急に彼女は笑い出し……


「あははははは? そうだよ? リマだよ? 嘘の名前だけどね」


「嘘の……名前……?」


「そう。リマって名前は偽名。あたしの本当の名前は……リ・アリマ。覚醒人間狩りよ」


覚醒人間狩り……。そういえば、この頃最近、覚醒人間を狙った事件がよく起きていた。今のところ、幸い、死亡者はいない。全員、私とレガンが保護した。まさか、これらの事件は……


「そうよ。全部、あたしがしたの。……あぁでも、あたしが覚醒人間なのは本当だよ? だから、留美があたしを殺したら……分かるよね? 保護してる立場なのに、覚醒人間殺しになっちゃうよ? いいのかな? ふふふ……あはははははは!!!」


「……っ!!」


彼女を殺してはいけない。だけど、このままだと、あの未来に行ってしまう。ノアが……レガンが……そしてきっと、私も他の覚醒人間達も危ないだろう。どうすれば……どうすれば……!!


「……俺が相手になる」


「!?」


「俺なら、犠牲にしても大丈夫だろ? 留美」


そう言って、レガンは彼女の前に出る。


「へぇ……なかなか男らしいじゃない、レガン」


「俺なら、お前を止めることが出来るからな」


もしかして……レガン……心の赤を持つ者の力を使って、私達が逃げる時間を稼ぐつもりじゃ……!!


「……ふうん?」


グサッ!!


「……?」


何かが刺さる音が鳴った。だけど、何が起きたか、分からなかった。次の瞬間……


……ポロッ……。


何かが落ちた。


「……え」


そこには、首が転がっていた。





























レガンの首が。

更新は遅めです。

気長に御待ち頂けると有難い限りです。

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