表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

‡~約束~

ここにて挿絵を付けます。

(覚醒現象伝説シリーズ物には全部、挿絵を付ける予定です)

下手ですが、これで少しでも感じが分かってもらえると幸いです。

 思い出した……。それはレンが死ぬ1週間前だった。その時、レンは体調を崩し、倒れてしまい、ベッドに横たわっていた。私はレンのことが心配でたまらず、ずっとレンの看病をしていた。でも、レンの容態は悪化するばかりで、もう駄目かもしれないと思うと、胸が痛み、獣になって狂いそうになった。


「レンが死ぬ……死ぬ……死ぬ……死ぬ……!!!!」


 ある日、ついに私は獣になってしまった。思いを抑えることが出来ずに、ただ暴れ回った。だけどレンは傷付けなかった。レンが大切だとあの時……暴走してても分かったから……。私達の家(レンの研究所だけど)の外で密かに暴れ、人を襲った。レンに気付かれないように……静かに人を殺した。それは夜まで続いた。人が通らない時間帯は動物を襲っていた。自分が血で汚されていくことに気付かずに。


「ナニモカモ……壊レテシまえ……!!」


そんな思考が私の頭を支配した。


「……!!」


何か痛みを感じた。すると視界は大きく歪み、倒れる。


……アレ……力が……入ラ……ナイ……? ドウ……シ……テ……。


「やっと見つけた……。これが覚醒人間けものか……。しかもこいつ……子供の姿だが相当長生きしているらしい……。面白い、俺の研究材料にしてやる。ぐへへへ……」


コノ人……私ヲ実験台ニスル……ツモリだ……。ウゴケ……ワタシ……。


「ソウは……させなイ……」


私はフラフラながらも立ち上がり、男を睨む。


「そんなに怪しむなよ……覚醒人間。ちょっと俺の研究に協力してもらいたいだけなのさ」


ソンナの嘘だ……。アァ……だからこういう人間ハ……。


「モウ動けない……トデも?」


そう言うと、目を真っ赤にし、高く飛び木の枝に着地する。


「さすが覚醒人間だねぇ。ますます欲しくなったよ……」


男はニヤッと気味の悪い笑みを浮かべ、鎖で繋いだ鉄球をこちらに向けた。


挿絵(By みてみん)


「貴方……タダ者ジャ……ナイのね」


私は再び高く飛んで急降下し、男に爪を立てた。


「そう来ると思ったよ。それならこちらは……!!」


男は鉄球を離し、銃を出した。


「さぁ…これで終わりだ……。覚醒人間……!!」


「……!!」


モウ駄目……。ヤラレちゃう……。レン……ゴメンね……。


『やめるんだ……!!』


声が聞こえ、そして止まった。時間が止まった。


「……!? レン……!?」


私は今のうちと思い、急降下し、男に傷を入れ、1回転して着地した。


「レン……いるの?」


この能力は心の赤を持つ者の力だった。そして近くにいる心の赤を持つ者と言えば、ベッドに寝ているレン……。だけど彼は体調を崩していて、そんな力を出す体力なんてないはず……。


「とりあえず……逃げなきゃ……!!」


私は急いで家まで飛んだ。飛んでいる途中、見覚えのある人物像を見かけ、そこに着地すると……


「……やっぱり!! レン!!」


「留美……無事……だったんですね……。良かった……」


力を使ったせいか、レンは激しく息を切らしていた。そう、あの時みたいに……。


「そんな体調なのに……力を使っちゃ駄目だよ……」


私は後悔した。病みに負けて暴走して……勝手に傷を負って……レンにも迷惑をかけてしまった。私は自分が情けなかった。


「命に別状がなくて……良かったです……」


レンはこんな私の頭を撫でて、そっと抱き締めてくれた。かなり弱い力で。レンの息が私の近くで鳴る。あぁ……レンは必死だったんだ……。動けるような体調じゃないのにも関わらず、私を守ろうと……。レン……ごめんなさい……。


「留美……聞いてくれ。この件で新たに分かった……。覚醒人間になると感情移入しやすくなる……。そして、それが限界まで行くと……今みたいに暴走してしまう……。だから……留美……今後は話を聞く時、気を付けた方がいい……。じゃないと……大切な人まで傷付けてしまうから……。出来るだけ気を付けて下さい……。無理するのは良くないですが、暴走してしまっては元も子もありません。……分かりましたか? 留美」


立つのも辛いのに、レンはずっと立ち続けていた。その姿に私は泣きそうになった。


「……分かった……。なるべく冷静にいくね……」


そう言うと、レンは微笑み、私の頭を撫でた。


「さぁ……帰ろうか、私達の家へ……」


「レン!! 支えるから、無理しちゃ駄目だよ!!」


私は溢れる涙を拭って、姿を人間に戻し、レンを支えた。



――――そして数日後レンは息を引き取った――……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ