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_俺の青春は謳歌されなかった。_
先延ばしにしていた部活の入部。
高校生になったからには、何か始めてみたかったがきっかけが訪れない。
高二の春____と言っても六月。そんな俺に転機が訪れた。
憧れの先輩だ。
憧れの先輩ができたのだ。
美術部の七折先輩。クールで相手を寄せ付けない雰囲気がたまらない。
どうせなら、年上のおねぇさんと、部活で爽やかな毎日を過ごしたい。ささやかな夢だがこれが俺の今の夢。
そんなチャッチイ夢は今、叶うのだ。
そう、美術部__もといイラスト部の入部だ。
美術部のドアを開ける瞬間。その時こそ七折先輩とのラブラブな毎日の始まり、俺にとってのパラダイスへの始まりなのだ。
挨拶は完璧。
「今日からお世話になる、伊良皆 寿です(イラミナ トシ)です。先輩にあこがれて入部しました。よろしくお願いします!」
完璧、これで七折先輩は俺に興味を示すはず…!!
そんな一人語りをしながら、実は絶望の始まり以外の何ものでもないドアを開けた。