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おかしな三善《に》

今回はササッと短めで。

「なんだか楽しそう。とうばさん、何していらして?」無碍にされたことなどおかまいなしに問うてきた。興味はこの奇妙な光景のみ。


「ミヨシさんとお話しをしているのよ。」

「お話しっ?これが噂の女子会っ?!」

 きらきらと場違いな発言した彼女にさらに肝が冷える。「あの、僕…」


「そーね、女子だけのステキなパーティよ。」

「パーティー?いいなー、愛も参加させて。」


 幸福の化身そのものの笑みに否定ができなくなる。苦笑いを肯定ととったらしく彼女は強引に、隣へ腰を下ろした。


「あらぁやけにはしゃぐのね。」

「だって、こんなのいつぶりかしらっ!いつもだったらおばさんに怒られちゃうわ!」

「ごめんなさい。この子も混ざりたいんですって。」

「いいですわ。人が多い方が話が弾みますし。」

 三善(みよし)と一対一で会話するのはご勘弁である。


「やったあ。何を話す?う~んと。あっ、パーティーにはお茶とお菓子が必要っ!持ってくる!」


 慌ただしく部屋を躍り出た愛にこの部屋にいる全員がぽかんとしていた。

(チッ、まぁた二人きりになっちゃった、この女見るからに頭がイカれてそうなんだもの。)


 いきなりの豹変からして地雷は一つや二つじゃないだろう。神経を尖らせなければ…。


(あれ?わたし、なんでまとめ役みたいになってるんだろ。文豪の孫らしくなんかこう)


「ゴメンなさい。あの子変わってるのよ。」

 内心ガッカリしながら相槌を打つ。馬場はあくびをしながら窓をチラチラ気にしている始末。

 逃げようとしてるのかしら?窓から?馬鹿馬鹿しい。


「さきほどは申し訳ありませんわ。私も大人げなかった。馬場、さんでしたっけ?」

 彼女は初対面の余裕を取り戻し、悠長な仕草で問うた。あの取り乱しが嘘のようである。


「は、はい…。」

「空気を読むというのも大切でしてよ?」

「うぅ…。」めちゃくちゃ怒っているではないか。まあ表面的に穏やかになったのだから、よしとしよう。


 ソファや椅子に腰掛けやっと対話する姿勢になる。


「元はと言えばわたくし、伽藍(がらん)先生のことをお聞きに伺いましたの。」

「そうよね。ファンとお聞きしたわ。」一族の当主の影響力はなんとなく垣間見得るので、彼女も感化されての「伽藍贔屓」なのであろう。


 外界との接点が書籍に限られているのなら、祖父の名声が過大評価されている可能性はある。


「先生の私生活が知りたいですのよ。ほら。ご存知の通りこの有り様でしょう?テレビなんてものはないし、そもそもメディアがご多忙の先生に干渉できるはずがないもの。」

 偉い褒められようだ。


「親族のあなたなら先生のお側にいられるのですし。」


 答えに詰まりどう説明しようか思索してかねている矢先、彼女から助け舟がだされる。


「伽藍先生とはよくお話になられるの?先生がどのように私生活を送っているか気になられましてよ。」

 身を乗り出し質問する容子は早く物語を聞きたいとねだる子供のようだ。

「祖父とはあまり会っていないの。執筆中は邪魔をしてはいけないし、いつも編集者さんが急がしているから。」

「大変なのねえ。」

「ええ。だから、今回は祖父とゆっくりと過ごせるかもしれないチャンス。なんとしても会いたいわ。」

「思い出づくりは大切よ~。私もお母さまともっとたくさんお話しすればよかったと心残りですもの。」


 上辺だけの話題作りではない、本音であった。しかし口にしてみて、これはほんとうに祖父と触れ合うチャンスなのかと疑問になった。ただ逃げたくてこんな田舎までやって来たのではないか?

 自身の内にいるめんどくさい部分が活発に動いている。せっかくの帰省が台無しだ。


「やっぱりミステリが好きなのかしら?」

「あ、えっと、わ、わたくし、読書は」

「ミヨシ!とうばさんっ!」

 慌ただしい足音と明るい声音に視線をよこすと、少女が客間に飛び込んでくる。


「クッキー缶、見つけたの。」

 愛が無邪気に錆びついたクッキー缶を見せびらかした。


「それ、大丈夫なの…?」

「中身は平気、ちゃんと取り替えてありま〜す。愛のお気に入りの缶だから♪」

 内心ホッとして油汗を拭う。根掘り葉掘り聞かれてるのは心臓がいくつあっても足りないものだ。

「紅茶もコマが持って来てくれるって!」


読んでくださってありがとうございます!

誤字脱字、評価、感想ありましたらどうぞなにとぞ!なにとぞ!

ではまた〜。

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