推理ごっこ 3
犯人はもう誰だかわかりました?
推理と話の流れいうのは本当に難しいですね…。
加筆修正すると思います、すいません。
「は?ぼくが?何故?」乾いた笑いで彼ははぐらした。
「あなただけなの。犯人の足音を聞いたと供述したのは。」
近い位置に面していた二人に聞こえない足音を特徴までつぶさにとらえたのは為成しかいない。
「待ってくれ。彼らは集中してた。ぼくはやることがないからぼうっとしていて、足音を聞いた。それが自然だろう?」
「証言がおかしい。あなたは勝代にしてはどっしりとした足音だったと供述した、でもそのような、成人女性よりも大柄な足音はしていないと皆言っている。京連さんと羅漢さんはあなたより華奢であるし、他に男性はいないもの。もしかしてあなたが、野見山さんの部屋から」
「いや、違う!ぼうっとしてたんだ。そうだ!勝代が怒って、それか―」
「私は殺してない!あんたさ、そういうとこあるよね!なんでも都合の悪いことは人に擦り付けて!ここに来るまでもそう!自分だけ助かればいいって思ってんでしょ?!」
「あ、あの、お二人とも」ヒートアップする二人にコマが歯止めをうとうとする。このままでは殴り合いに発展しそうだったからだ。
「…記憶というのは確かじゃない。そうだろう?皆だって、野見山さんが死ぬまで何してたか詳細に覚えているかい?」
鼻息を粗くして為成は苦々しく弁解する。
「あらあらぁ?見苦しいこと」
三善が目ざとく言い寄った。いやらしく歪められた頬、にやついた眼はスキャンダルに飢えている。白熱した二人は浅ましさに嫌悪した。
「意外だわ。弱っちい顔して中身はケダモノなのね。やっぱり男は信用ならないってほんと。うふふっ。」
「三善さんっ!」
「…自白するよ。野見山さんに、話にいった。まだ彼女は生きてたさ。話は…今後のことと―ぼくが野見山さんが好きだということだ。」
勝代がわずかに苦しげな吐息をもらした。塔婆ユウには何故だかわかる。彼女たちは青臭い、このご時世に三角関係を展開していたからだ。
「へ、へえ、や、やることやるじゃん。で、お返事は?」
痛々しくも茶化しながら問うた。
「フラれたよ…ははっ、馬鹿みたいだろ?こんな時に告るなんて。彼女にもお叱りを受けて撃沈して帰った。」
「…。紛らわしい嘘はつかないで欲しかったわ。」
「すまない。誰にだって話したくないことはあるよ。特に大人はね。」
(おとな、ね…。)
これで為成が犯人候補から外されたわけではない。むしろ怪しさは増した。容易く嘘をついたこと他に―何かひっかかるけれど、彼はマークしておいた方がいいだろう。
「大人」である彼らのギスギスした雰囲気はなぜなのだろう?以前より関係が崩れかかっているように思える。勝代は為成を好いていた…なのに、複雑な憎悪を抱いている?
「最後になる、ナズミちゃんは…」聞き込みをしたアリバイを復唱しようとした時だった。
「野見山…さんの部屋に行きました。」
おずおずと少女は物申す。視線が集中し、ギョッとしたようで更に縮こまった。悪さをした子供みたいだ。
「ヒイラから口止めされていたんだけど、私たちお客さんは久しぶりだったから、覗きに行ったんだ。」
「あなた達…!」
無礼な、と友里恵がわなないた。その反応に「あ、あたしは止めたんだよ!でもヒイラが…」
「お父様の許可もなく勝手に…!」
「だ、だって!」目じりに涙を貯め兄や姉たちへ助けを求める。
摩耗家の掟を破ったのだ。外へ出てはいけないと―京連から聞いたけれど、外部者と接触してもいけないのかもしれない。長の許しを得てして、来客のもてなしをする。振り返ってみれば皆、摩耗当主に関連して会いに来ていたではないか。
一族の人々は困り果て妹の訴えをただ傍受しているのみ。
「罰として部屋に籠っていなさい。三人とも、絶対に出てきてはだめ。いい?何かある時はコマに依頼しなさい。」
厳しい口調で叱りつけ、和巳を部屋へ追いやろうとする。
「ナズミちゃん、あなたたちは野見山さんと何を話したの?」
慌ててそれを引きとめ肝心なキーを得ようとする。彼女らがもし…殺人を侵したのなら。
「…私達が何者で、ここが何なのか…話したよ。」
「それで?」
「そうしたら―すごいびっくりして、慌てて…いや、怖がってた。…質問の意味が良く分からないし、こっちも怖かったから逃げちゃったの。本当にそれだけ」
すごいびっくりして、慌てて…いや、怖がってた?
「どういうこと?」
「わかんないよ…じゃあ、これで最後になると思うけど。」
肩を落として鼻をすすりながら少女は廊下へ出て行った。
微妙な空気が流れた。友里恵の剣幕よりも摩耗一族の反応が気がかりである。何故あそこまで掟を怖がるのか?
それを問い詰める権利を塔婆ユウは持ちえていない、部外者は見て見ぬふりをするしかない。
感想待ってます。