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Another 36.28  作者: 高田 勲武
3.ドッペルゲンガー
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ウィン・リバイ-出会い

 建屋の中へと入る。


 確かに達也はこの種の建屋の中は初めてであった。どこにでもありそうな……それこそ、あのエルバ村でも実はあったのではないかとも推測できるが、


「こういったものは、それなりの町でないと良いものが(そろ)わないんだ。自分の身に関わること……妥協することもできない」

 と、そのような言葉でも聞こえて来そうだ。


 達也は建物内をゆっくりと見回す。


 取り囲むものは様々な形をした剣、槍、弓……男ならば少なからずとも心の奥が高揚(こうよう)しそうなものを取り扱う武器屋。


 フォルティナは一言も交わすことなく奥のカウンターに立つ店員へ歩み寄り、話し掛けている。達也は遠慮しがちに近付く。


「火の属性か雷属性で……この店で最も良い剣はどれだ?」

 フォルティナが店員へ話し掛ける声が耳に入る。


「大剣ですか?」

 店員はフォルティナの語り掛けを受け、(そば)に立つ達也の背中に(くく)り付けられた剣を指差しながら質問返しをする。


「いや……」

 フォルティナは流し目で達也を一瞥(いちべつ)し、即否定すると、

「欲しいのは私の武器だ。片手で扱えるぐらいの……普通サイズの剣で良い」

 すぐに店員へ視線を戻し、付け加える。


「こいつだけ武器を持たせても頼りにはならないし……」

 フォルティナは親指で達也を指しながら不満の声を上げる。


 その先に続く言葉としては、

「頼りないタツヤの武器を取り上げる訳にもいかなくてな」

 といったところ。


 その(とげ)のある言葉に対して面白くないが、本当のことを言っているだけに達也は何も反論ができない。


「火の属性ならば『フェニックス・ソード』、雷属性ならば『ライトニング・ブレード』がございます」

 場を察してなのか、続きを語らせることなく店員が即座に答える。


 会話が進んだからにはフォルティナもこれ以上、愚痴(ぐち)を言うことができず、

「見せてくれないか?」

 と、顔付きもろとも真剣そのものに言った。


「わかりました」

 店員も慎重な表情で肯定すると、一旦奥へと下がる。


 次に店員が戻って来た際、その手にある二本の剣。


 一本は柄側が細く、先になる程太くなる形状を取った両刃の剣。剣身の色も赤み掛かっており、柄を飾る装飾も鮮やかである。


 もう片方の剣は直刀で片刃。見た目、日本刀のような剣であり地味なもの。


「これがこの店にある火属性と雷属性の剣、それぞれの最上級のものとなります」

 店員はそう言うと二本の剣を、その全景を見せるかのように机の上へと置く。


 良いもの。


 それは人それぞれの価値観により異なる。綺麗に着飾るのも(しか)り、機能美も(しか)り……さらには高価なものを使用したや、使い勝手の良さと様々である。


 フォルティナが何をもって「この店で一番良いもの」と言ったのかはわからなかったが、リアルな武器……自分の背中にも確かにあるものだが、間違いなく殺傷するためのみの目的で造られた本当の「武器」を目の当たりにし、興奮を覚えないと言えば嘘となる。


「気になるか?」

 その心境を察知したフォルティナは含み笑いをし、横目でまとわり付くような湿っぽい視線を向けながら話し掛ける。一瞬、見据えられたことに体を引きつらせるが、それは隠すまでもなく正直なところ。


 達也は素直に頷く。


 フォルティナの口元がさらに緩む。――先程より機嫌は戻っているようだ。


「人には必ず魔力があるというのは覚えているな」

 フォルティナは確認までに言った。


 それはエルバ村で怪しい老人に聞いたこの世界での常識。逆にこんなところでそこまで掘り下げた話題に、他人である店員の目が気になるが……


 ちらっと店員の表情を確認するが、聞こえていないかのような無表情。達也もこれ以上は言及しない。


「武器とは剣に限らず、どんなものであったとしてもその魔力を増幅し、力を高めるもの」


 それは武器だけの話ではない。この世界にある全てのものに対して適用されるもの。


 達也は理解しているつもりだ。少なくとも頭では。


「言い返せば武器には……どんな武器であったとしても属性というものがあり、その属性の魔力を増幅させるものなんだ」

 フォルティナは説明口調で言うと、不意に赤色の剣を手に取る。そして、見せ付けるかのように達也の目の前へとかざすと……


 達也は体全体を震わせ、俊敏(しゅんびん)に後へと引く。剣に突如まとわり付く紅蓮の炎。炎……見た目の色からも、この剣が「フェニックス・ソード」のようだ。


「そして私が扱えるのは火の属性と雷属性」

 フォルティナは炎をまとったフェニックス・ソードを達也へ差し出す。


 達也は目の前のそれを見つめながら思い返してみる。


 今まで追い立てられた兵士(ソルジャー)やモンスター。それらを貫いた攻撃は炎で形成された槍と稲妻。魔力には人の個性があると聞いたが、フォルティナは「炎」と「雷」ということか。


 達也ははっと何かに気が付き、自分の背後に(くく)り付けた大剣へと目を向けた。


「ああ、それは気にすることではない」

 その大剣は元々、フォルティナが持っていたもの。達也がこの剣を使いこなしているとも、とても思えない。


「その大剣には魔力を増幅させる力はない。私が使っている時は確かに魔力で……力任せに振り回してはいたが……」

 フォローを入れるかのようにフォルティナが語る。


 力任せに……この大剣は異形で目立つ大剣ではあったが、彼女自身も扱い難い武器であったと言える。なのに達也に会うまで好んで使用していた理由は……


「それは、とある遺跡で見つけたもの。風変りで常識通りにならない剣。目立つから特別、気に入って使っていたんだが……」


 ――単純に目立ちたいからなんて。


 達也は人目に付かぬよう、その肩を落とす。


「その剣はタツヤ、名実共に……既にお前のものだ」

 フォルティナはその達也に気が付かないのか完全無視し、自分の思いを表すかのように告げる。


 作為的に視野に入れた背中の剣の柄。


 一度だけ別の姿を見せている。そして、それは誰も……あのフォルティナでさえ実現したことがないもの。


 まぐれなのかもしれない。偶然なのかもしれない。その後は一度も発動していないという不確定なものであり、不確実なものでもあるが……理由や原因がわからなくとも「名実共に達也のもの」と()わしめるには十分。


「この剣には増幅付加のスロットが一つあるな?」

 フォルティナは炎を消し、柄を指差しながら店員へ確認をしている。


「はい。ございます」

 店員は二つ返事で言った。


「じゃあ、これに雷の増幅玉を付けてくれ」

 フォルティナはそれを機嫌良く聞き入れるとその剣、フェニックス・ソードを店員へ手渡す。


 雷の増幅玉。それは魔力を増幅させる……汎用性高めるために小型の玉状にしたもの。その目的から当然のことでもあるが、この増幅玉にも属性があり、道具もしくは武器に属性付加するために使用されるものである。


 フォルティナはコインを店員へ渡し、剣を受け取っている。


 元から持つ火の属性であるフェニックス・ソードへ雷の属性を付加した剣。それはこの世で唯一つの、彼女のためだけにカスタマイズされたものとなる。


 満足そうにそれを一通り眺めると、付属の鞘へと納めて腰の辺りへと取り付ける。


「有り難うございました」

 この店員のお礼の言葉を受けながらフォルティナは武器屋を出る。達也はその後を追う。


「やはり落ち着く」

 フォルティナは自分の腰に付けた剣の柄へと手を添え、独り言のように呟く。


 フォルティナは本来魔力だけ……魔法だけで戦う者ではない。


 明確な根拠に成り得るかどうかはわからないが、扱うそれが乱雑で投げやりな印象であること、何かぎこちなさを感じるところ……言い訳がましく上げればいくらでも思い付く。


 達也も薄々は気付いていた。


 ウィン・リバイは広大である。


 民家が大半を占めるのは当然だがそれだけに店も多く、おそらくは同業者の競争もあるだろう。こんなにも栄えた町ならば、この世界の様々な文化にも触れることができそうだと期待も高鳴るのだが……


 それら全てを回るのは今日、明日の短期間では無理というもの。少々残念だと素直に感じる。


 ここはまだ全体でいう傾斜面での上の方。半分以上、足も踏み入れていないこととなる。達也はこれから踏み入れることになるかもしれないその先へと無意識に目線を下ろす。


 その者の服は周りの者とは代わり映えもなく、自分の格好とも相違は少ない。本来ならば他人との違い……ましてや見慣れぬその姿で、見分けなど付く筈もない。背中姿と遠く離れたこの距離では見間違えだと思ってしまいそうなもの。


 達也の目に留まった者が、不意に横顔を見せる。そして、群衆の中へと溶け込んでいく。


「あ……あっ!」

 達也はまるでその者の姿を(つか)むかのように手を伸ばす。


「ん?どうした?」

 すぐ横にいるフォルティナも異変に気が付き、そう声を掛けはしたものの、ことの重大さに気付いていないせいもあり、その口調は軽い。


 大きく見開いた瞳と震える唇、泳ぐ手……普通ではない。


 本来ならばもっと早くこの行動をし、もっと早く見つけ出さなければならなかった。


 この町に人が多いとしてもだ。長旅で気が薄れていた……と言ったとしても、それはもう羞恥心をあおるだけである。達也は悔やんでも悔やみ切れぬその想いを押し殺しながらも走り出した。


「お、おいっ!」

 フォルティナは慌てて呼び止めるが、肝心の達也には届いていない。


 少しでも目を離し、これ以上距離を離してしまおうものならば見失うことが確実な位置関係。


 瞳で捉えた者。呼び止めれば事は済む。それは何より、懸命(けんめい)に追い掛ける達也自身が一番理解できている。現に、そのために何度も口を開けているのだが……


 唐突過ぎたためか、まだ声が追いついて来ない。


 その者は何食わぬ顔である建屋の中へと入る。そこには周辺のみならず、中にも多勢の人が集まっている気配がする。


「シュウジ!」

 ようやく達也の口から声が発声される。


 シュウジ。――あの「シュウジ」である。


 峠にそびえ立つトンネルに飲み込まれて姿を消し、そこへ顔の虚像を残すあのシュウジ。こんな世界に迷い込み、このウィン・リバイへ向かう前にはその捜索を目的と再設定もした。


 初めの町で発見できるなど、運が良いとも言える。


 建屋の扉はゆっくりと閉められる。


 距離が離れていたので気が付かなかったのか。達也は手を一杯に伸ばし、時間差でそれを再び開け放つ。


「シュウジ!」

 もう一度、大声でその者の名前を呼ぶ。


 中は今まで入ったこの町の他の建物に比べ、少々薄暗い。だが、人の姿を確認できないまでもなく、また中に集まる人の数は多いが密集している訳でもない。だから「シュウジ」と呼ばれても反応を示さないその男をすぐに把握できた。


 達也はずかずかとその者へと迫る。


「おいっ!シュウジ!」

 その者の肩を叩き、達也は大声を上げた。呼び止めたことにより振り向く仕草……肩越しから現れる顔は、やはり見間違いようもない。


「え?」

 しかし、達也の顔を見てまでその表情を曇らせ、首を傾げる男。疑問符として上げたその声まで間違いなく同じで一瞬、意地悪か冗談でもしているのかと錯覚さえしてしまう。


 互いが互いの顔を見合わせたまま言葉を失う。――やはり(わざ)としている態度のようには見えない。


「何だ?『シュウマ』じゃないか」

 背後から呆れたように声を掛ける者。達也へ不信の目を向けている男も、曇りが晴れたような瞳を向ける。


「ああ。フォルティナか」

 漏れる言葉に、安堵すら感じられる。


「しばらくだな」

 腰の辺りに手を置き、胸を撫で下ろすかのように息を吐きながらフォルティナも答える。


「それにしても……」

 突然驚く程に顔色を変え、只ならぬ顔で一人駆け出したから何かと思えば……


「二人が知り合いで……」

 フォルティナは二人の顔を見つめながら語り掛ける。

「タツヤが捜していたのがシュウマだったなんて……」


 達也とシュウジそっくりな……フォルティナからは「シュウマ」と呼ばれた男。


 二人は再び顔を見合わせる。安易にこの世の中とは狭いものだとでも言って事態を治めてしまうのも一手であるが、男は依然として警戒の視線は崩していない。


 シュウジと思い、疑いもしなかった男の肩の上に乗っている自分の手。達也は申し訳なさそうに慌てて引っ込めると、

「ごめんなさい」

 と、唐突に頭を下げた。


「あまりに知人に似ていたので、人違いをしてしまって……」

 後、そう弁解する。


「本当に迷惑を掛けて、ごめんなさい」

 さらに深々と下げられる達也の頭。


 眉を(ひそ)めていた男の表情も和らいでいく。


「はぁ?人違いなのか?」

 ここまで騒いでおいて、事の結末が間違いとは。


 フォルティナは少々苛立ちも込めた声を上げると天井を仰ぎ、肩を(すぼ)める。――呆れてものが言えないとはこのことである。


「まぁ、良いじゃないか」

 男は笑みさえ……苦笑いかもしれないが、少なくとも口調は優しくそう言った。


「人間、誰だって間違いはある」

 男は達也へ向けて右手を差し出す。


「俺の名はシュウマ」

 男は「シュウマ」と名乗る。「シュウジ」ではなく、フォルティナがその男を呼んだ「シュウマ」と。


 達也は完全に自分の否を認めた訳ではなかった。渋々と引き下がったに過ぎない。


 これ程までに似た「他人」など、本当に存在するとでもいうのだろうか。名前だって違うと言っても限りなく似ている。これで人違いという方が疑わしい。


 こっちの世界に馴染み過ぎて、元の世界のことを忘れてしまったのか。それとも、こっちの世界に来た際に記憶を失ったのか。


「達也です。よろしく」

 達也はぎこちない微笑を浮かべ、自分も名乗りながらも「シュウマ」と名乗った男……シュウマの手を取り握手する。


「よろしく、タツヤ」

 シュウマは返答すると、達也から手を離す。


「時に……」

 その後、意味深な視線で達也とフォルティナを見る。


「フォルティナとタツヤの二人って……」

 シュウマが続けて聞こうとしたことに、フォルティナがいち早く察知する。


「ああ。ちょっと訳有りでな」

 フォルティナは割って入ると、

「一緒に旅をしているんだ」

 ちらっと達也の様子を伺いながら言った。


 シュウマは表情を崩さぬままに鼻を鳴らす。


「シュウマこそ何しているんだ?こんなところで」

 フォルティナは辺りを見回しながら話題を変える。その動作に引っ張られるかのようにシュウマと達也も周囲を見渡す。


 この建屋の中に集まる人々の好奇の目は感じ取れたが、かといって物珍しいものとして注目を浴びているとまでもなく……ここに集まる人々全体の流れとして奥に備え付けられた机で話をし、何かを書いているように見受けられる。


「何って商売……金稼ぎに決まっているだろ?」

 シュウマは愚問とも捉えたそれに、面倒臭そうに答える。そして、

「トレジャーハンターが『ギルド』にいたら、可笑しいか?」

 と、逆に質問返しで責めるように言う。


 達也は反応を示す。


「ん?」

 二人は敏感に感じ取る。二人……双方、何かを理解したかのように各々が相槌を付くかのように自分の手を叩き……

「俺もフォルティナと同じ……同業者、トレジャーハンターなんだ」

 一足早く答えたのはシュウマの方。


 達也はその姿を再確認するが……服装の多少の違いはあるが、強調させるまでの代わり映えもなく、周りの民衆とも相違は見られない。


「見た目だけでは、わからないかもしれないが奴の実力は確かだ」

 フォルティナが耳打ちをする。


「使用武器と、その実力から付いた仇名(あだな)が『死神』……」


 薄明りの中でも不気味に反射光を放つ、その背中に(くく)り付けられたもの――自分の身長程の大鎌(おおがま)が刃を()き出しのままそこに納まる。


 ギルド。


 あくまでフォルティナにより教えてもらった内容だが、それはこの世界特有の制度で、旅をする際に同行者を(つど)い、登録する場とのこと。


 この世界において外はモンスターの巣窟。そう、旅をする際、一人旅では生きて続けることも困難であり、また得体の知れぬ者であれば手を組むことさえも危険極まりない。


 そこで「ギルド」という制度が成立する。


 旅をする者はギルドで細かな情報を登録し、その目的に合う同行者を(つど)う。そこに集まる人々の身柄はギルドが保障する。つまりパーティの斡旋(あっせん)をする仲介制度……それを(にな)うのが「ギルド」である。


 そういった意味では外で出会い、最近までは得体もよく知らぬままずっと連れ立った二人――フォルティナと達也は異例の組み合わせであったと言える。


「ただ、あいつは……腕は確かだが、一つ問題があるんだ」

 フォルティナは耳元に口を寄せたまま、言葉を追加する。


 達也はちらっとその表情を確認する。


「実は……」

「なかなかパーティが組めなくて、もう持ち金も底を尽き掛けていたけど……」

 あからさまに声を大きくし、シュウマは身を寄せる。


 フォルティナの表情はみるみる邪見なものとなり、それから逃げるよう……その分だけ達也へ寄り掛かる。


「フォルティナとだったら、良いパーティが組めそうだ」

 不気味とも言える下心の笑いで顔を(ゆが)めながら語るシュウマ。フォルティナも誤魔化すかのような苦笑いを返す。


 フォルティナが達也の耳元で言った最後の言葉。それはこの態度からも容易に伺えた。


 ――奴は女好き。


 いくら似ていると言っても、あくまで「似ている」ということなのか。シュウジは間違ってもそんな人間ではない。よしんば記憶を失ったとしても……


「確かに『力として』は、お前が必要かもな」

 未だ避けるかのようにその身を達也へ預けながらも、気を取り直したかのように言った。


 これからの旅路……求めるものからも推測できる。


 力量不足となることが。


 理由はわからないが管理局にも狙われているのだ。力はあるに越したことがなく、またでき得る限り欲しいものでもある。


 達也はその言葉に顔を向け、フォルティナは向き直す。――結果、二人は顔を見合わせる形となる。


「そうか、そうか」

 自分を必要だと素で言ってもらえたことが余程嬉しかったのか、シュウマは何の抵抗もない屈託のない笑顔を浮かべると、フォルティナから距離を置く。


「ま、まずは、ここで登録を済ませるとしよう」

 フォルティナは取りつくろうように言うと、この部屋の奥に並ぶ机の一つへと歩み寄る。


 上機嫌にシュウマがその後を歩く。


 ギルドはこの世界の至るところ様々な都市に支部を持ち、それらは一括で情報管理されているとのこと。この世界の住人でないため、達也がこの制度の……登録ということは叶わないが――この二人は可能。共に登録し、雇う側のフォルティナが雇われ側のシュウマへ指定金額を支払えば、晴れて契約は成立となる。


 シュウマはトレジャーハンターとは言ったが、フォルティナとは根本的に異なる。彼は他人のトレジャーハンティングの手伝いをし、その報酬で生計を立てているようだ。証拠に受け取る紙幣を数える手付き……


 慣れたものである。


「これで契約成立……だな」

 シュウマは数え終わり、顔を上げるとフォルティナと達也の二人を見る。


「まぁ、これからよろしく頼む」

 シュウマは軽快かつ、軽い口調で言った。


 何はともあれ、この人として軽い「死神」と、パーティとしての契約が成立してしまったようだ。

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