『彼は主人公。』
初作品なため、誤字や文がおかしい所があったりするのはご了承ください。
『彼は主人公。』
俺は一般的には普通の人と言われる人間なのだろう。仕事は花屋。なんて事ない小さな店そこそこ常連もいて、花の世話に追われる毎日。俺には妻もいる。子供はいないが俺にとって、一番大事な優しく妻だ。
ところでこの世界にはヒーローと呼ばれる職業がある。詳しいことは知らないがたまに生まれる超能力者がヒーローになったりするらしい。テレビでしか見た事はないが凄いってことは分かる。普段は救助活動やたまに発生する怪物の討伐が仕事らしいが正直何がなんだがわからない。危険と隣り合わせの仕事。まぁ俺には関わりのしようのないことだが。
今日は花屋が休みだ。少し出かけようとすると、「あなた、」と呼び止めるような優しい妻の声が聞こえてきた。「出かけるなら傘を持って行ってもうすぐ雨が降るって天気予報に出てたのよ」俺は軽く答えた。「あぁありがとう」そして「いってきます。」とだけ言って家を出た。
街はいつも通り賑わっていて休日だからかいつにも増して人通りが多い。俺が何しに出かけたかと言うと...俺が真っ先に向かった先はケーキ屋だった。
カランコロンとドアを開ける。そこにはガラス越しに沢山のケーキが並んであった。別に何か特別な日でもなんでもない。でも買って行ったら驚くかなと思っただけだ。ショートケーキを二つ買ってケーキ屋を出る。金木犀の香りが微かに香る。そろそろ寒くもなっても来た。
天気はあいにくの曇り空、空は少しずつ暗くなり始めていた。これは早く帰らないとなと思いながらケーキが崩れないようにケーキの箱を両手で抱え帰路に向かって歩き始めた。
【政府公認対超常現象救助同盟組織】訳してヒーロー同盟。そして、そこに所属する少年、南雲 日向は数々の壁を乗り越え成長を重ねた今話題の新人ヒーロー。
本部の中にある寮、そこには南雲がいた。他のヒーロー達と談笑している。寮の中は適温で暑くも寒くもない。周りには浮いている物やお互いに勝負し合っている者もいる。ガヤガヤとしつつも皆の目の奥には正義感と勇気があった。
そことは変わって本部監視室、そこは怪物の発生などを監視、発見する場所だった。コーヒーを啜り飲む音、カチカチとキーボードが弾かれる音、部屋にある大きな画面には怪物発生地域などの場所が振り分けられている。
その時、街中に大量の怪物発生のマークが出始める。辺りは一気に殺伐とした。その中に一人、何やらボタンを強く押した。寮内にサイレンが鳴り響くと同時に放送の声が聞こえた。
「街全体に怪物が大量発生、街全体に怪物が大量発生。」繰り返される声に寮内の皆も静まり返るが、すぐ準備を初め出動できるように整列する。するとまた放送が鳴る、各配置に配属するヒーローを言っていく。南雲も中心から少し離れたところに配属され、皆は急いで配属先に向かった。
街はパニックだった。急に響くサイレンの音、サイレンと共に何やら避難をしてくださいと聞こえるがパニックになった人々の叫びが耳を唸り正直、あまり聞こえてなかった。俺は怖くて不安で何が起こっているのかすら、わからないまま息を荒く吸いそのまま人の流れに沿った。ケーキは落とされて色んな人の足が箱ごと踏み潰される。少しづつ汚れていく小さなケーキ。空は雲で厚く覆われ雨がポツポツと降り始める。そんなことすら考える暇なかった俺は、記憶が曖昧な中、避難場所に走り向かった。
後世、語り継がれたお話である。ある街に男の子が生まれた。彼は超能力を持って生まれてきて十七歳ぐらいになると超能力を巧みに扱えるようになった。そこに視線を送ったのはヒーロー同盟と言われる所でヒーローにならないかと言う勧誘をだった。元々正義感の強い子だったが危険の隣り合わせのヒーローに不安を抱え悩んでていた。それでもやはりこの力を誰かを守るために使いたいと思ってその勧誘に強く頷いたそうな。
それから数々の災難があった、訓練生として行った、英雄育成学校では色んな緊急事態に巻き込まれた。けれど信じれる仲間もできそれを乗り越え成長し。そしてやっとヒーローになることが出来たそうな。
それからも彼は自分の思いを信じ続け偉業を成していった。そしてこのお話ははその偉業の初めの一歩のお話である。
それは突然の事だった。本来、怪物が発生する地域は決まっている。ここら辺には中級のここら辺には初級のとかだがその日は違った。なんと街中の中心に突如として怪物が大量発生したのだ。街中はパニックになった。彼も救助要請が出て自分の配属にいる怪物と戦っていた。だが彼がいる配属に突如、悪夢と呼ばれていた怪物が現れる。彼は仲間にそれを伝えるとその怪物と戦った。だが一人では敵う相手でもなく、もうダメかと思うその時。その伝えを聞いた仲間が集まり形勢が逆転する。何とか共闘し、やっと思いで倒せると思った、またもやその時。
悪夢が自爆攻撃をしようとする。皆は一気に絶望に落とされた。抵抗する力も残っておらず全員が諦めかけてた時に彼は動いた。彼自身も傷が深いはずなのに立ち上がった。そして最後の力を振り絞り超能力で怪物を止めたのだ。仲間が歓声を上げ、彼が立っていたところには雲から光が漏れ出してたんだと言う。
街の危機を救い、どんな時も諦めず最後まで戦い続けた。その彼の名は南雲 日向。
若き英雄である。
もう何が何だかわからない。サイレンが鳴ってそのまま人に流されて今は避難場所まで走っている。肺が荒く動く。ビルが崩れ落ちる音、どんどんと鳴る爆発音が心臓に悪い。何もわからないまま走り続けている中で雨は激しく降り始めた。叫び声が聞こえる。泣き声が聞こえる。俺はただ逃げ続けていた。頭の中では必死に何があったかを考え続けていた。それでもずっと思っていたことがある。「妻は大丈夫なのだろうか?」それだけが脳裏にずっとあった。少し出かけると言っていってらっしゃいと言われ、家を出た。最後、俺は彼女の顔を見ただろうか?そんなことを考えながら走っていたらいつの間にか避難所にいた。
そこは地獄だった。皆が家族を思い早くこの状況を終わらさせて欲しいと思っていた。少ない食料、泣き叫ぶ子供の声。不安な声が飛び交うなか、俺は自分も周りもどうでもよくなるほどに不安で心配でいてもたってもいられなかった。しばらくすると悲劇は終わっていた。怪物が倒されたと周りが歓声を上げていた。いつの間にか外は太陽でるほど晴れていた。太陽が眩しく雨上がりの地面が薄く光る。そこから周りの人が瓦礫などを片付けたり家族を探したりしていた。
ちょうど1週間後のことだった。疲労しきった身体が真っ直ぐと、とある場所に向かった。
周りは南雲 日向と言う者を称え救援物資や食料を笑って喜んだ。外はガヤガヤと笑い声や歓声が聞こえ未来が皆を包み込む。俺は静かで薄暗い部屋にいた。中には数人ほどの人もいた。白い布が包んでいる物を見ながら俺はひとつの白い布越しの何かに座り込む。
そこは安置所だった。たくさん並んでいる白い布が被せられた死体。俺は見たくも思いたくもなかった。彼女は、彼女は、その中にいた。外の雰囲気とはガラリと変わる場所。俺はその中の一人を大事そうに優しく撫でた。
外の様子をぼんやりと思いだしながら俺は思考をまとめていた。俺が何をした?ただ家族を愛してただ普通に過ごしていただけだ。彼女の最後は怪物の群れが中心部に現れ為す術もなく襲われたらしい。怖かっただろうな、急に鳴ったサイレンは冷静さを失い、逃げようと外に出れば危険が襲う。俺にはどうしようもできなかった。
彼は英雄だ街を守り怪物を倒し。俺たちを守ってくれた。それでも犠牲は付き物だ。その犠牲が彼女だっただけ、ただそれだけのことなのに彼がもっと頑張ってくれれば他のヒーローが彼女を襲った怪物の群れを事前に止めてくれればと思ってしまう。俺は何もできなかったと言うのに。俺は何も出来ずただ悲劇を見ていただけの傍観者なのだろう。
その後、店がまた営業できる程に回復した頃だった。最近、よく花が売れる。墓参りに買ってく客がほとんどだ。寒くなり初雪が降るところも出てきた頃。俺は彼女の墓にそっとリンドウの花を添えた。
彼は主人公だ。そして俺は名のないモブA
最後まで読んでいただきありがとうございます!
その後のモブAはこれから闇堕ちするかもしれないし普通に家族を失った不運な人として生きていくのかもしれない。けれど幸せにはなれないと思います。




