【吉報?】過去に戻ったので、断罪 その他 もろもろを回避……できませんかね?
──気が ついたら、七歳の誕生日に戻っていた。
私こと、男爵 令嬢 ルーナ・ネーダンは、たしかに 齢 27歳で、災害やら不作やらの責任を取らされてニセ聖女として断罪、処刑されたハズ……。
(……しかし、なぜ?)
想えば、幼い頃は なにかと恵まれていた──
母方の祖父母が営む商会は時代の波にのって順風満帆。父方の祖父母──先代 男爵夫婦の起こした事業も、現 当主である父の代になって ますます うまくいっていた。
まさしくプチ成金といった感じで、暮らしぶりは それなりに豊か。家族は とても優しくて愛情たっぷりだった。
一方で、母が少数 民族──皇国内 非 主流派の出身で、主流派 民族のマナーに うとかったことを理由に、成り上がり者 一家として、やれ作法がなってないだの なんだの と、主流派 既得権益 受益者からは散々であったが……。
(おもえば、この頃 既に腐敗していたようで、主流派の若者は3Kを嫌がり、それらの仕事は移民 頼みに……。のちに主流派は凋落の原因を移民に押し付けて排斥運動を始めるのだが、それは また別の話である──)
そうした中、私が願うように なったのは、
《永遠に家族 団欒していたい》
だった。
しかし、12歳の時、聖女としての素養があると分かり、強制的に教会の訓練施設へ……。
一口に聖女と言っても、それぞれに特性があり、それに合わせた訓練が必要なのだけど、悪いことに そこの施設長の方針は、けっして《甘えを許さない》だった。
別の言い方をすれば、けっして《寄り添わない》──。
聖女は、聖女である時点で固有の偏りが生じ、本能の もたらす作用が一部、激烈になる。その作用を、本能のメカニズムを理解した上で、うまく いなすことが大事なのだが、所長は《根性論》と《精神論》の人だった……。
そのため、こちらは万年 落ちこぼれ で聖なる力が なかなか目覚めず、訓練の仕方を変えるよう何度も掛け合ったのだけど、《卑しいヤツ!》とか《クレクレちゃんw》等々、乞食 扱い──人格 否定され続け、ある日、とうとう ぶちギレて 目覚めたばかりの聖なる力で担当 教官を半殺しに してしまった。
したらば、早速 精神操作だか なんだか施されたらしく、気付けば自分の意思で(!?)契約をアレコレ結ばされ、がんじがらめ にされ、身動きが取れなくなって しまっていた。
そうこうする内、実家の方では両 祖父母が認知症に かかって実の子供の顔すら分からなくなり、懸命に介護する家族を猜疑の目で睨みながら徘徊や暴力を繰り返し、免疫が低下したせいで ちょっとした病にかかってアッサリ死んだ。
(もっと長生きできたハズだったのに──)
父母と兄弟は素人なりに懸命に介護に奔走した挙げ句、疲弊。寿命を すり減らしており、両 祖父母の死後、ようやく面会できたと思ったら、二回りも老け込んでいた。
そうして気づけば、時代の流れで事業が傾いたストレスか、若年性 認知症となっていたらしい父 男爵が、傾いた事業を継続せんと粉飾 決算で家族を騙し、家の蓄えを根こそぎ使い果たして借金まで こさえていた。
まさしく一家 離散の危機であったが、ここまでの心労がたたって、全員 大病を患った末に苦しみながら身罷った。
( もはや、家族団欒は不可能である──)
グッタリしていると、かつて《混血の万年 落第 聖女》と呼ばれていたのが、《魔王 聖女》だか《災厄 聖女》だかにランクアップ(?)していた。
触らぬ神に祟りなしか、誰も近づいてこず、知らないこと ばかり な中、お仕事(お祈り)だけは させられた。
これでも知らないなりに頑張ってたつもりだが、気付けば かなりの無茶、もとい、えこひいき を していたようで──
あだ名が魔王 聖女だろうが、災厄 聖女だろうが、力だけは あるから、お祈りは効果テキメン。
皇国が救われる一方で、他国にしわ寄せが行き、そのせいで大災厄を もたらしていた らしい……。
これは……アレかな?
'( ´,_ゝ`)ヘッヘッ……
ウチの世間知らずな若いのが、なんか やらかしたようで、すみませんねぇw'
って ことなのかな?
──でも、確証がない。
ともあれ、そんな こんなで、この世は 'やっては いけないこと' だらけと気づき、よほどのことがない限り、ハデには動くまい、と心に誓ったのだけど、じゃあ天災やら不作やらの不満は誰が引き受けるんだyo?となり、断罪からの処刑にいたる。
とは言え、私も何も しなかった訳ではない──
他国に しわ寄せが行かない範囲で 皇国の被害が最小限で済みますように──と祈っては いたのだ。
ただ、発達した魔導 科学を手に暴走した産業界による自然界および精霊界へのダメージは深刻で、過去に例を見ない異常 気象の連発に 私の お祈りも焼け石に水だった。
(産業界に対する お目付け役としての皇国 政府は?と言うと、監督するどころか ともに蜜月を過ごしていたと云ふ……)
───
前回の経験を生かせば、今度は もっと要領よく立ち回れるかも しれないけど、苦労して指導者的 地位──大聖女に なれたとしても、家族も自分も、どうせ 認知症になるなり、老いて死ぬなり するだけだし……と考えてしまう。
え?
大聖女になってから、権力 使って 不老 不死の霊薬なり 秘術なり 探せば いいじゃないかですって?
いや いや……
この国では、不老不死などは神話か せいぜいが おとぎ話に出てくる程度……。
'( *´艸`)そゎなん、あるわきゃねーだろw
プークスクスwww'
と笑われるのが目に見えているのだ。
(それ以前──祖父母が認知症になった時点で、ジ・エンドでもある。結局のところ、シビアな時間 制限が ある──)
下っ端が権力者に仕えるのは、能力やら実績やら血筋(既得 権益)やらの保証、あるいは人格に惚れ込んだとか、恩義があるとか、それなりの理由が あってこそ。
無条件の忠誠なんて美しい(都合の良い?)ものは基本 ないのだ──。
当然、出来もしないであろう愚行への巻き添えや徒労は論外。そして、暗愚(!)に仕える義理もない──。
なので、12歳になる前、聖女としての素養が見抜かれる前に 家を出て、'冒険者になる' コレ 一択である。
しらみ潰しに前人 未踏の遺跡やら 踏破していけば、伝説の霊薬だかの一つも見つかるかもしれない。
あては全くないが、動かなければ破滅が待つだけ──
つまり、やるしかない。
〈……手記は、ここで終わっている。 件の魔王 聖女が願いを叶えたか、どうか……。我々が それを知ることは出来ない。
宇宙歴982年 銀河 連盟 司書 エル・カナン〉
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→エル・カナ
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