砂利道の途中

大学生の織部澪は、人付き合いを最小限にし、周囲からは「ぼんやりしている」と言われることが多い。日々を生きることは、まるでざらつく砂利道を歩くように、体力や気力を消耗し、時に疲れ果てて立ち止まり、寝転んでしまうこともある。

そんな澪は、自分の内面にある見えない疲労や混乱と向き合いながらも、言葉にならない感覚を頼りに、ゆっくりと自分なりの歩き方を探している。気配り上手で距離感のうまいゼミの同級生・浅海陸との交流や、静かに見守る喫茶店の店主との関わりの中で、澪は少しずつ自分を理解し、受け入れていく。

過去の孤独な記憶や、好き嫌いすらすぐに答えられないもどかしさを抱えながらも、澪は「歩きながら眠る」ように、無理をせず、少しずつ進んでいく。日々の「休息」と「行動」のあいだで揺れながらも、確かな一歩を踏み出していく姿を静かに描いた物語。