1/17
プロローグ
別にタイプが同じだったわけでも、趣味が同じだったわけでもない。
本当にたまたま、偶然席が近かったことと、その日俺が消しゴムを忘れたことで接点ができた中学一年の頃から、気付けば俺たちは親友と呼べるまでに意気投合していた。
どこかクールで、でも勉強も運動もしれっとこなすどちらかといえば大人っぽいアイツと、勉強もできないしモテもしない(でも運動ならできるっつの)まさにザ・中学生男子な俺が親しいことに周りはいつも不思議がっていたが、それでも俺たちは仲が良かったんだ。親友だと思っているのは、きっとアイツの方だけだと思うけど。
そんな俺、牧野桜汰と、長峰智彰の関係が変わったのは、腐れ縁を初めて五年とちょっと、現在高校三年生の夏。丁度部活を引退したぐらいの時だった。
「桜汰、俺と付き合わないか?」
――それは、俺のことを親友だと思っているはずの、片想いの相手からの提案だった。