お弁当のおかげでデブな私にイケメン彼氏ができました
昼食時間。教室で1人、お弁当を食べていると。
「神谷さんのお弁当めちゃ美味しそうだね」
「はわ!」
突然、同じクラスの柊博希君が声をかけてきて、驚いた私は変な声をあげた。
「ね、玉子焼きひとつちょーだい」
「え?良いですけど」
と私が言うと「ありがと!」と言って、柊君は玉子焼きを食べた。
「は!?母ちゃんの玉子焼きよりうま!」
「え、あ、ありがとうございます」
「もしかしてこの弁当神谷さんが作ったの?」
「は、はい」
「マジで!?すご!」
「全然凄くないですよ」
「いーなぁ、俺もこんなうまい弁当食いてー。あ、そうだ!神谷さん、俺の弁当作ってくれない?一度でいいかからさ!材料費出すし!」
と、柊君は手を合わせてお願いしてきた。
「いいですけど、そんな大したものは作れないですよ?」
「神谷さんが作ってくれるならなんでも食べるよ!」
じゃ、よろしく!と言って、柊君は風のように去っていった。
◆
次の日。
私はドキドキしながら昼食時間を待っていた。そして、昼食時間になると、柊君が私の席に来た。
「神谷さん、例のものは~……」
と、ごますりのポーズをしながら柊君は聞いてきた。私は手を震わせながら、机の横に掛けていたランチバッグを柊君に渡した。
「美味しくなかったらごめんなさい」
「本当に作ってくれたんだ!ありがとう!」
と笑顔で嬉しそうに言った。カッコ可愛くてドキッとする。すると後ろから。
「何あのデブ、柊君に手作り弁当あげてるの?」
「え~?デブ菌が移る~」
と、女子達がクスクス笑った。
それはそうだ、柊君は学年一のイケメンで、私は地味デブ女だもん。一緒に話してるなんておかしいよね。
すると。
「神谷さんの玉子焼き美味しいんだぜ?食べてみ」
柊君は弁当を開けると、女子達に玉子焼きをあげた。すると、女子達は美味しいと言ってくれた。
「だろ?うまいだろ!」
と柊君は自分のように自慢げに言った。
それから、私は殆ど毎日柊君の分のお弁当を作って柊君にあげた。そしていつしか、柊君は私の恋人になっていた。
大人になって柊君……博希君と結婚してからも、私は毎日お弁当を作って渡した。
博希君は美味しい美味しいと言って、私のご飯を食べてくれて。そのおかげで、折角の細マッチョ体型がふっくら体型になり、代わりに私は細身になった。
ふっくらした博希君も可愛くて好きだけど、健康のためにも痩せなきゃかな?
博希君の為に何かダイエットメニューでも考えようかなと思う今日この頃です。