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アレン

 アレンは魔族だが転生者だった。しかし、彼には記憶の大部分が欠落していた。今回は彼の記憶が失われるまでの経緯を記そうと思う。そして、この物語はアレンと仲間たちが様々なことを乗り越え、たどってきた道を語ったものである。





 アレンはとある孤島で生まれ育った。ロワム海にあるランバル島である。高名な父を持ち、優しい母に育てられた。しかし、アレンが6歳になったころ父が戦死。母は12歳になるころに病気で亡くなった。母は最期の最期までアレンを一生懸命育ててくれた。


 アレンは母が亡くなった後旅に出ることを決意した。そして、ランバル島を後にしたのだった。父におしえてもらった王宮剣術。母に教えてもらった高等魔法を武器にだ。


 アレンは母の言いつけどうり、西にあるキザム大陸よりは離れているが、南のバルドロン大陸に渡った。そして、母の古い知り合いである師匠となる人物クレーナ、ジーナと出会った。


 クレーナから魔法を習い、ジーナは剣術を教えてくれた。


 「アレン。この水晶に手をかざしなさい。あなたの適正を見るわ。」


 「はい。クレーナさん。こうですか?」


 「なるほど。あなたは火属性の適正があるみたいね。それに闇属性が少しと…」


 「他にもあるんですか?そうね。言いにくいけど聖属性があるわ。だけど、聖属性を持っていることは人に言うべきじゃないわよ。」


 そういうとクレーナはなぜ聖属性を隠すのかを教えてくれた。


 「聖属性はね。とっても貴重なの。でも、その強大さゆえに国の面倒ごとに巻き込まれたり、とある強大な人物に狙われるかもしれないわ。そいつは聖属性を持つものを目の敵にしているの。五大魔導士の一人クロセーヌって言うわ。以下の理由から聖属性のことは口外しないこと。わかったわね?」


 「なるほどわかりました。」


 「あと、聖属性は傷をいやすのに向いているわ。やむを得ない時は使ってもよろしい。その時は高等治癒魔法だとか言ってごまかしなさい。」


 そして、アレンは剣術の稽古に向かった。





 三年後


 アレンは限りなく強くなった。火属性はかなりのものとなり、闇属性の魔法も扱えるようになった。そして、聖属性だが、これは後に語ろう。


 そして、アレンは古龍グリージークの討伐依頼に参加することとなった。しかし、それが、アレンの運命を大きく変えるということになる。





 討伐メンバーは中級魔法使いが三人。高等魔法使いガラン。高等剣士キルス。中級剣士が二人。アレン。道案内、罠対策のフラットこの9人で臨んだ。


 道中魔物を倒しながら前世の記憶を回想していた。


 





 前世の俺の名前は神代嵐。カミシロランだ。しがない社会人だった。俺の死亡理由は。



 殺されたのだ。それは神社参りをして帰ろうとしていた時だった。かなりの段数がある。階段を降りようとした時に突き落とされ頭を強く打ち、発見が遅れて死亡とまあそんな感じだっただろう。誰がやったのだろうか。


 そして、女神クルセナにこの世界の攻略法を頭に入れてもらったのだった。そして、今の古龍退治に至る。





 そして、遂に古龍と相まみえた。古龍はなんと人の言葉を交わしたのだ。「貴様禁忌を犯しているな。我は貴様を生きて返さんぞ。それはこの世の理を大きく乱すことになる。見逃すことは出来ん。」


 この古龍が強かった。あっという間に俺以外のほとんどが殺された。ガラン、キルス、フラットは生き残っていた。そして、俺はこの古龍との戦いの果てに前世の記憶とこの世界の攻略法のことも頭からきえてしまうのだった。


 俺は古龍の洞窟の外で発見された。気を失った俺を三人は助けてくれたらしい。恩人だ。


 俺が意識を取り戻すと彼らは俺に尋ねた。キルスだ。「なあ魔族、それもキレグ族ってとこか。魔族の兄ちゃんは禁忌とやらを犯していたらしいが、そこのとこどうなんだよ。」


 「禁忌って何のことだか。俺にもさっぱりだよ。本当なんだ。心当たりはない。」


 あれ、もしかしたら聖属性のことかな。でもこれを人に話すことは出来ないし。


 「チッ。気になって助けてみたらこれかよ。行こうぜ。」


 うう。急に冷たくなって皆どこかに行ってしまった。


 アレンは気づく。あれなんか忘れてるような。まあいいか。師匠たちのところへ戻ろう。





 「すいません。クレーナさん。生きて帰ってくるのに精一杯でした。」


 「そんなボロボロにさせてしまったこちらに責任があるわ。だが、お前でも倒せなかったのねあの古龍は。」


 「はい。あれはかなりのものでした。英雄級の冒険者が一人は欲しいかもしれません。」


 「それならば一人心当たりがあるわ。あの古龍は急がなくても必ず倒さないといけないしねえ。あなたにはそうね。キザム大陸へ向かってほしいわ。私に借りがある英雄級冒険者ギランを連れてきてちょうだい。そして、あのいにしえの古龍からバルドロンを守るのよ。」


 そして、キザム大陸へ向かうことになる。



3か月がたち、バルドロン大陸の東に位置するベルーニャからキザム大陸南東のクロサに到着した。高等冒険者より階級が上の英雄級冒険者を探すのだ。英雄級冒険者は滅多といない階級の冒険者だ。アレンはどんな冒険者なんだろうと少しだけ期待していた。


 冒険者ギルドに立ち寄るとアレンは聞き込みを開始した。


 「ああ。ギランっていう冒険者なら聞いたことはある。1か月前にはここに出入りしていたはずだ。」


 アレンは冒険者にチップを渡しその場を後にした。一番有力な情報でも1か月前に見たという情報だったが、そんなに遠くにいないはずだ。


 アレンは町を散策しながらふと古龍と戦った時のことを思い出していた。なにかが欠落したような。アレンは思い出せない。


 そしてもっと最近の情報にたどり着く。ギランの居場所を知っている人物を見つけたのだ。名はロリス。女性だ。歳は17くらいか。


 ロリスに案内されることになったのだ。無論ただではないが。アレンはロリスにキザム銀貨を2枚渡した。


 そして、ギランが挑んでいるダンジョンの前でしばらく待った。高い背の男が出て来たので声をかける。


 「あなたはギランさんですか?」


 「ああ、そうだがお前は?」


 「僕はアレンと言います。クレーナさんの古龍討伐を手伝っていただきたく参りました。」


 「ベルーニャから来たのか?それは長旅だっただろう。確かにあの人には借りがある。俺の終わらせないといけない依頼を手伝ってくれるならなるべく早く赴こう。」


 「ありがとうございます。どんな依頼なんですか?」


 「ああ。実はその依頼も古龍討伐なんだ。キザム大陸のだが。ちょうど討伐メンバーを探していたところだ。あと一人腕の立つ冒険者が欲しい。」


 アレンたちは古龍討伐のメンバーを募集した。そしてやってきたのが



 


 ロリスだった。何でも古龍に父が殺された因縁があり、高等剣士の彼女は打ってつけだった。


 「よろしくね。二人とも。」


 そして3人は古龍のいるケゾ洞窟に向かう。


 ケゾ洞窟は罠が多いが、ギランなら道案内ができた。そして、洞窟の最深部まで行くと。青い古龍アクアゲールとの対面だった。


 前衛のギランとロリスが古龍に立ち向かう。後衛のアレンは魔法の発動に集中する。


 ギランの投げたナイフは古龍の右目に命中した。古龍には中央の大きな眼と左目が残っている。ロリスが剣で古龍の右足に狙いを付けた。しかし、古龍の反撃に遭いバックステップでかわす。


 アレンは高等火魔術を使った。「ライジングサン!」古龍が怯んだ。


 さらに、ギランが大高等魔術を放った。「ダークハリケーン!」闇魔術の奥義だ。さすがとも言える。


 最後に古龍の心臓にロリスがとどめをさす。「三連刺突!」


 遂に古龍は倒れたのだった。


 



 別の古龍を倒しにバルドロンへ戻ると言ったらロリスもついてくると言った。頼もしい仲間が増えたのだった。


 「古龍に苦しむ人達を救うためよ。」と彼女は言った。


 「これから、バルドロン大陸へ向かうが恐らくアレンが戦ったのは大古龍。すなわち今回のよりはるかに強い。それによってこれからお前たちに稽古をつける。いいな。」


 「はい!」と二人の少年少女は快く返事した。何せ英雄級冒険者に鍛えてもらうのだ。武道家の二人が断る理由はなかった。


 ロリスはギランとの稽古でボコボコにされた。幾度となく、女だからといって容赦もなく。それでも彼女はくらいつく。憧れの剣士ジーナを追って。


 アレンは習得に手こずる魔法があった。それは大高等魔法ゴッドサンだ。何度もギランと模擬戦をしては惨敗したが、ギランはこれが使えるかどうかがおまえを左右するというので何度も練習するのだった。


 そして、4か月後




 「よし。これからバルドロン大陸へ向かう。」


 ようやく二人はギランの許しを得たのだった。





 さらに2ヵ月がたち、ベルーニャへ到着した。ギランの案内でアレンの時より早く着いたのだ。


 師匠たちと再会を果たすはずだった。


 しかし、思いもよらない知らせを聞くことになる。


 「ああ。クレーナとジーナは死んだぜ。古龍からベルーニャを守ったんだ。命をかけて。」


 アレンは頭が真っ白になった。そして、血が逆流したかと思うほどになって何も言えなかった。


 そして、アレンにとって少し意外な事実を知ることになる。


 ジーナはロリスの師匠であり、歳の離れた姉だったのだ。憧れの姉を失いアレンを越えるほどのショックに見舞われているはずのロリスは


 「古龍をぶっ倒すわ。」その瞳はアレンにはなぜかとてもまぶしく映ったのだった。いよいよ大古龍との対決が始まり、アレンは一つの鍵を得ることになるのだった。


 


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