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日記を書いてる子と私

 四月二十四日

 いもうとが、おはなをみていたので、あきになったら、みがなるんだよっておしえてあげました。いもうとのなまえもみのりちゃんです。


 みのりちゃん。その名前にどきりとした。だって、私の名前と同じだったから。いや、きっと偶然。私にお姉ちゃんなんかいなかった。その時、下からお母さんの声がした。いつもと同じ声なのに、恐ろしい気がした。

「片づけ、進んでるのー?部屋入るわよー」

日記を見られたらやばい。直感でそう感じた。慌てて日記を隠し、近くにあったぬいぐるみを手に取る。

「みのりー、なんでぬいぐるみなんか持ってるの」

「いやーこれいるかなって…あはは」

なんとか誤魔化したつもり。何年も前のぬいぐるみなんてもう使わない。

「もう。いらないでしょ?さっさと捨てなさいよ」

お母さんは私の手からぬいぐるみをとって、ゴミ箱に放り込んだ。そして、片づけておいてねと言い残して出ていった。ゴミ箱の中のぬいぐるみを手に取る。これも懐かしいなあ。誰かにもらったんだよ。よく遊んでくれて。しみじみと思い出に浸る。しかし、ふと思った。これ、誰にもらったんだっけ。もし、日記を書いてた子と繋がりがあったとしたら。居ても立っても居られなくなり、ページを飛ばしながら読み進んだ。…この子が小五の時。

 九月十日

 妹にぬいぐるみがほしいと言われたのであげました。お気に入りだったけど、お母さんにあげたら?と言われたからです。

 

 ぬいぐるみ。手の中にあるぬいぐるみ。お母さんがあげてって言ったぬいぐるみ。

 九月十一日

 妹がおかしの箱を取ろうとしてたので、とってあげようとしたら、足がすべって箱がひっくり返りました。すごくちらかって、お母さんにすごくおこられました。妹はいつのまにかいませんでした。


 お菓子の箱がひっくり返った。散らかった。私の部屋も散らかってる。

 九月十二日

 妹とわたしの部屋に行ったら、わたしのつくえがなくなってました。ランドセルもなくて、わたしの物が消えてました。


 二人分はあるかという程広い私の部屋。物がいっぱいで気づかなかった。重いものを無くした跡。

 九月十三日

 わたしは絶対だめな事をしたらしいです。でもなっとくいかないので、はらいせに、のぞいちゃだめな押し入れを見ました。そしたら


そこで日記は終わっていた。続きは消しゴムで消されている。ページ数はまだあるのに真っ白。私は目の前がぐるぐるしていた。ぬいぐるみに二人スペースの部屋。みのりという私の名前。私のお姉ちゃん…?押し入れについて消された跡。紙切れが押し入れから小さくはみ出していた。

 

 


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