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現実世界恋愛

秋なんて大嫌い (1234)

作者: 本羽 香那

しいな ここみ様が主催されている「リライト企画」の提供作品です。

良ければリライトお願いします。


 みんなはどの季節が一番嫌い? 

 秋は食欲の秋とか、読書の秋とか、スポーツの秋とか言って好きな人が多い季節だけど、私は秋が一番嫌い。

 本当に大嫌い。

 秋って体調管理が難しい時期なのに、どうして秋が好きだと思う人がいるのか私には理解出来ないわ。

 私、いつも体調を崩して、悩みの種だと言うのに。

 それを言うと春も一緒じゃないってよく言われるけど全然違うから。

 春は桜とか梅とか薔薇とか可愛い花がいっぱい咲くじゃないの。

 だから体調を崩しやすくても春の季節は好きなの。

 それなら秋にだって素敵な花があるじゃんって反論が一定数返ってくるのよね。

 確かにそうかもしれないけど、春の花と違って地味じゃない?

 私は華やかな花が好きなのよ。

 だから秋の花には興味がないってわけ。

 と言うかそもそも論だけど、〇〇の秋って言う言葉が多く存在するのが良く分からないのよね。

 まだ、食欲の秋って言うのはさ、秋の季節に取れる食材が美味しいものが多いから好きだと言うのは分かるの。

 でも、読書の秋とかスポーツの秋とか意味分からない。

 だって、読書だってスポーツだって一年中出来るでしょう?

 それをわざわざ秋の代名詞的な感じ言う必要性を全く感じないんだよね。

 そう言うわけで私には秋と言う季節は全く魅力を感じないし、むしろ迷惑な季節だとさえ思っているわ。

 本当に現在進行系で迷惑がかかっているしね。


 もう、上着なんて持ってきてないつーの。

 昨日は暑かったのになんで急に寒くなるのよ。

 びゅーびゅー風が吹いて寒いわ!

 でも、今からなんて取りに帰れないし最悪。

 おまけにこれから部活があるって言うのに。

 はあ〜。なんてついてないのだろう。

 今日が普通の部活だったらサボって帰ったのにさ。

 なんでよりによって今日が合同練習なのよ!

 これじゃ帰るに帰れないじゃないの。ほんと最悪。

 そう思いながら更衣室に入ったのだけど、そこでまた最悪なことに気づいちゃったの。

 なんで、半袖半ズボンなのよ!

 ただでさえ寒いのに!

 それでやっぱり帰ろうと思ったのだけど、私が抜けると奇数になって1人余っちゃうから仕方なく私は出ることを決意したわ。

 と言っても更衣室を出ると、風がびゅーびゅー吹いているし、やっぱり寒いわ。

 

「佐藤、寒いのか? ならこれでも着るか?」


 そう言ってウインドブレーカーを渡してきたのは、クラスメイトの鈴木。

 普段はライバルである彼だけど、今回はありがたい申し出だったから、ありがたく貸してもらうことにしたわ。

 こういうのって好きな人とかに渡してもらえたらキュンとするのかなと思っていたけど、好きでもない男子に渡されてなんで胸がキュンとなっているの?

 

 この気持ちは何なのかは分かったような気がするけど、これは秋のせいで私の心まで狂ったことにした。

 鈴木は好きな子に話しかけられて現在鼻の下を伸ばしてニヤニヤしている。

 今までだったらキモイと思っていたのに、今では何だか腹立たしく思えてきた。

 こんな感情を持っても無意味だと言うのに。


 本当に秋なんて大嫌いよ。

 

 

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― 新着の感想 ―
[一言]  暑くて過ごしにくい季節が終わって、涼しく活動的になれるから、ではないでしょうか?  とはいえ、残暑が長く、おさまるころには肌寒くなってしまう昨今は、快適に過ごせる期間はあまりに少なく!  …
[良い点] 秋の悪口から始まるなんとも珍しい小説ですね。しかもその悪口が的を射ているから面白いです。 そんな悪口を言いつつ、最後は秋ならではの幸運な出来事が起こっているので、主人公と読者の意表を突く上…
[一言] しいな 様 の企画から拝読しました。季節の変わり目、移ろいの秋、みたいな感じで、変化する心が可愛らしかったです。読ませていただき有り難うございました。
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