表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーからは逃げられない  作者: 極上トマト
8/17

第八話 モブ男の生涯

「マスター、早く起きてください。ラジオ体操始まりますよ。」


俺はピースのモーニングコールによって目を覚ます。

ったく本当は女性に起こして欲しいのに、まあ彼女もできたことがないけど、まあそんなこと気にしたところで何も変わんないんだから、さあ、早く起きてラジオ体操しに行こう。


いっちにさんし、いっちにさんし


「ふー、じゃあ、行ってきます。」


「マスター頑張ってください。」


「ピース君、これ手伝ってくれる?」


「はーい、すぐに行きますね。」


今日のラジオ体操も終え、朝食も食べ、日課のランニングに出かけている。


しゃ、行くぞ、俺は軽めに走り始めた。


そういや、今日のニュース見てなかったな。多分あのダンジョンの件はきっと大騒ぎになっているだろう。ということは騒ぎになって大量の野次馬どもが集まってダンジョンに入ることで大量のDPが手に入る。そのDPでダンジョンを作って、また野次馬が集まって大量のDPが手に入るそのDP・・・


どしゃーんという今までに聞いたことがない騒音が辺り周辺に響き渡った。

俺は興味本位にその音がした方向へ走っていった。

音がしたところへ着いたときそこには一人の女性が立っていた。そして彼女の足元にはたくさんのペットボトルのキャップが転がっていた。


「大丈夫ですか?手伝います。」


と言い、彼女の足元に落ちているキャップを拾い始めた。

 全てを拾い始め、そそくさとその場を立ち去ろうとしたとき、女性の方が話しかけてきた。


「あの、ありがとうございました。お礼に何か・・・そうだ、これ私の自分で作ったCDです。どうか聞いてみてください。」


「ありがとうございます。家に帰ってゆっくり聞かせてもらいます。ではまたご縁があれば。」


俺は大慌てで一直線に家へ帰っていった。

俺には女性経験が全くなく、女性と話すのもお母さんを除けば一年以上話していない。本当は俺も彼女が欲しいけれどもうこの数年の間で自分自身に見切りをつけてしまった。という感じでさっきのが一年ちょっとぐらいの話になるのかな?


『正確には三か月前のハロワに行ったときに女性と話したのが最後ですね。』


そうだったか、確かにそう考えると話していたか。


俺はゆずと話ながらリビングにあるなんかCDを入れる機械にさっきもらったCDを入れて再生ボタンを押した。するとさっきであった女性の甘い歌声が聞こえてきた。


凄いうまい。この一言でしかなかった。


俺がソファーに座りながら聞いていると、ダンジョンの管理をしていたであろうピースがリビングに入ってきた。


「マスター、何を聞いているんですか?」


「ああ、なんか今日知らない人からもらったんだ。これ、歌手目指せるよな。」


「なれると思いますね。」


「応援しようにもできることがないし、まあ、俺らが何もしなくてもいずれテレビとかで見るようになる気がするよな。」


「そうですね。それより、DPがだいぶたまってきているので新しくダンジョンを作ったり、部屋とか作ったりしませんか?」


「部屋なんて作っていいのか?」


「全然いいですけど、あまり使いすぎないようにしてください。じゃあ私はちょっとやることがあるんで失礼します。」


そういうとピースはその場から一瞬にして消えてしまった。


「よし、じゃあ東京のダンジョンに新たな階を増やすか。」


俺はソファーから立ち上がり、物置の方へ向かった。


***

深夜2時

底辺Youtuber モブ男


「どうも~スクープを暴く底辺Youtuberモブ男で~す。今回は最近話題になっている天空タワーの下に現れた謎の建築物の中に侵入していきたいと思います。普段は自衛隊の警備で中々入れないので今回はこの自衛隊服を着てきて身分まで用意してきました。それじゃあ、早速潜入していきましょう!」


モブ男は柵を身軽に乗り越え、二人の自衛官が警備しているところへ歩いていった。


「交代の時間だ。私の名前は陸上自衛隊3等陸曹の室道浩二だ。」


「わかった。じゃあ俺達は少し仮眠をとるから頼んだぞ。」


そういい、二人は仮設テントの中へ入っていった。


「行った!。さあ早く行こう。あの仮設テントの中にほかのやつらが寝ているのがばれたらすぐに追ってくると思うので」


モブ男はそそくさと階段をかけていった。


「皆さん見てください。これはこの世のものとは思えない超常現象によっておこったものじゃないですか?あれ、ライブが繋がっていない?圏外になってる。くそ、せっかく大スクープだっているのに、こうなったら録画だけでも」


そう考えたモブ男は急いで録画を撮り始め、そしてダンジョンの中へ歩き始めた。

中へ歩いていくモブ男の足が少しだけ震えていた。


ダンジョンの日差しが降り注いでる。が熱くもなく、寒くもないちょうどよい温度であった。

そんな中ダンジョンの中を歩いているモブ男の首元を見ると少しだけ汗をかいていた。いつもおしゃべりなモブ男だが今日だけは少し様子が違った。

モブ男が少し休憩しようとしたとき、物陰から一匹のスライムが顔を出した。

先ほどまで暗い顔をしていたモブ男表情が一変した。


「みんな!これすごいぞ、スライムだ!ここはラノベに出てくるダンジョンだ!よし、これ投稿したら一億再生も夢じゃないぞ。

皆さんどうも~スクープを暴く底辺Youtuberモブ男で~す。今回の企画なんですけど、スライムを倒していこうと思います。いや、これマジでやばいよね。まあ、スライムだし、適当にやっても勝てるだろ。じゃあ、やっていこうと思います。」


モブ男はそういうとスライム目掛けて一直線に走り出した。その後ろ姿にはまるで主人公のような面影が重なているかのように見えた。がそのような空想は一瞬で夢のように消え去ってしまった。


モブ男がスライムを自身の鉄槌で倒そうと、スライムに触れたとき、その拳はスライムにぶつかることなく、そのまま吸い込まれてしまった。

モブ男は必死に手足を動かしたがどうすることもできず、ただただもがき続けている残念な男の姿が映っているだけだった。


「うっ、ごほっ」


モブ男の努力も虚しく彼はスライムの体で生涯を尽きてしまった。


この事件によってこのダンジョンは世界的な大ニュースになった。

後日、陸上自衛隊の記者会見が行われた。


新聞の記者が質問をした。


「底辺Youtuberのモブ男さんの消息が先日より不明になっていますが、彼の現状についてお聞きしたいです。」


記者会見の中央に座っていた。片目に深い傷を負っていた眼鏡をかけた老けた男が口を開いた。


「彼の消息は今だ不明ですが、正直なところ死んだという表現が正しいと思います。」


「夕日テレビの大和田と申します。先ほど死亡されたとおっしゃりましたが、それはあの謎の建造物の影響ですか?もしよろしければあの建造物の中に何があるのか教えてください。」


「2日前に出現した謎の建造物ですが専門家の方々により、ダンジョンと命名することになりました。ダンジョンから得ることができた謎の石によって発電をすることができることが発明することができました。そして、私達はダンジョン攻略班を設立し、早急にダンジョンを解明していこうと思います。では」


そういうと一人の男が立ち上がり出口へと牛歩のように歩き始めた。その男の名は武蔵野 隼野

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ