第四話 謎の人物
~???~
廉がガチャを引いている中とある場所で大騒動が起こっていた。
ここは死者が集う天国とついにある一つの場所『地獄』
悪人が死後に落ちてくるこの世のものではない口では現すことができない地獄を体験する場所
地獄の中央に存在する閻魔殿、その玉座に座っている存在に良くない一報が届いた。
「大王様、無限地獄の受刑者が脱獄しました!」
豪華で威厳の感じる部屋の中の中心に佇む男に一匹の赤い鬼がそう報告した。
「其奴の名前はなんなんじゃ?」
「そ、それが、最重要警戒受刑者のピースが」
今まで、閉まり切っていた目が少しだけ見開く。
「これは~クロノスにまたとやかく言われてしまいそうだな。右鬼、とりあえず調査は平等王に頼んでおいてくれ。左鬼は無限地獄のそのほかの受刑者の確認をしてくれ。」
真ん中に座っていた王が右耳にピアスをつけた右鬼と左耳にピアスをつけていた左鬼に命令をした。
「りょうかい~」
「かしこまりました。行くぞ、右鬼」
「はいよ~」
そう言うと二人は部屋から去っていった。
***
突如廉の目の前に現れた男は両腕にどでかい手錠をそして古びれた白い服を着ていた金髪の男だった。
今まで自由な行動をすることができなかったのか腰のあたりまで髪の毛が伸びていたがその髪はつやを失っておらず、さらっとしていた。
俺はふと思った。こいつ、誰だ?
「あなた様が新しい資格者ですか。」
「あなたは?」
「申し遅れました。私はピース、今さっきまで無限地獄に収監されていましたが、あなた様の名を受けてここに参上したまでです。」
「それってなんかやばいことになったりしないの?」
「ただ一人が抜け出しただけで地獄が混乱に陥るわけがないでしょう。」
「それもそうだな。」
「資格者様のお名前をお伺いしても?」
「ああ、自己紹介はまだだったな俺は小林廉」
「廉さんですか。これからよろしくお願いします。」
「これから頼むよ。まずは住む家をどうするかな?」
「それならちょっとお待ちを」
そういうとピースは物置からそそくさと出ていったと思ったが、すぐに物置に戻ってきた。さっきと違った事は何一つない。
「お母さまから許可をもらってきました。趣味の部屋をちょこっと改良すれば何の問題もないとおっしゃっていました。」
「そ、そうなのか、よろしくな。ピース」
「マスター、これからお世話になります。」
「なぁ、一回、ピースの事鑑定してみてもいいか?」
「別に構いませんが、やったところで診れる情報は一つもないと思います。」
『相手のスキルによって情報を開示することができません。』
なるほど何か隠蔽系のスキルを持っているっていうことだな。
「ピースは何のスキルを持っているんだ?」
「それはお楽しみということにしておきましょう。安心してください。任された仕事はきっちりこなすつもりですから。」
「わかったといいにくいが今はそれで我慢しておこう。じゃあ、まずはその手錠を外さないとな。って、あれいつ外したんだ?」
「ああ、それなら、さっきマスターのお母さまと話す前に手錠をつけるのは失礼だと思い、外しておきました。」
「色々と理解に苦しむがまあ、ファンタジーってそういうもんだよな。じゃ、じゃあ次は服を準備しないといけないか!」
「それも心配いらないですよ。自分の服ぐらい常に持ち歩いていますし、派手じゃないものだと自分という価値が承認されないような気がして」
というと異空間に手を入れて私服と思える物を取り出し、鍛え始めた。
「どうしたんですか、廉さん?もしかして僕の筋肉に見惚れてしまいましたか?」
そういうわけではないんだが座高と足の比率が異常なくらい離れていて、トップモデル顔負けのスタイルだった。俺がピースの体をうらやましいなと思っているとピースが気になることを話しかけてきた。
「ところでマスターは魔物の召喚とかはしているんでしょうか?」
「いや、まったくしていなし、どうやったらいいのかすらわからないんだが」
ピースが驚いたような表情をした。
「そうですか、わかりました。では説明しましょう。魔物とは魔素の塊によって構成されている生物です。そして魔物を召喚するためには魔素の塊である魔石を使用することによって召喚することができます。」
ここまではラノベの内容と酷使しているな。
「じゃあその魔石はどうやって手に入れるんだ。」
「そうなんです!そこなんです!よく気付いてくれました。この地球では魔石を手に入れる方法は皆無に等しいです。そこで!ダンジョンポイントであるDPというポイントを使って魔物を召喚します。ではマスター習うより慣れです。早速魔物を召喚しましょう。まずは魔物召喚と言って、召喚したい魔物を選択してください。」
「わかった。最初は無難にスライムとかでもいいのか?」
「そうですね。それぐらいがちょうどいいでしょう。」
俺はスライム(1000DP)と書かれているボタンを押した。すると俺の地面が紫っぽく光り、紋章が輝きだした。
俺は紋章の中心を見るとそこにはスライムの集団が現れた。
「これって一体だけとかじゃないのか?」
「スライム一匹に千DPだったら高すぎじゃないと思いませんか?」
「確かにそうだが後々ドラゴンとかを召喚しようとしたりしたら集団で現れてくるんだろ。それはちょっと恐ろしくないか?」
「そんなことだったら問題ないですよ。ほら、ここみてください。複数体で現れる場合は魔物名の横に複数って書いてありますからそんなことはないと思いますよ。」
マジだ。見落としていた。普通、そんなご丁寧に書いてくれないだろ。
「よし、じゃあ次は魔物の生息地を作りましょうか。今回はスライムなので、生息地というところを押してください。」
俺はピースの指示通り生息地という項目から平原を押した。すると俺たちのいるこの場所が一変した。
今までの代わり映えのない景色から一変してどこまでも広がるような明るい場所へと変わっていった。
「これがダンジョン構築の基本です。」
「勉強になります。」
なるほど、こういう風に作っていけばいいんだな。
「ピース、これってあとどのくらいこの作業をすればいいんだ?」
「そうですね。今はダンジョンは一つしかないんですけどこれから世界中に大体千個作るとしたらこの作業をあと1万~10万回ぐらいですかね。」
「そんなに必要なの?」
「まあ、それぐらいあったほうが利益にもなりますし自身の成長に変わりますから。」
「ダンジョンマスターってダンジョンが増えるほどに強くなるのか?」
「DPの説明がまだでしたね。ん~どうやって教えましょうか?DPっていうのはダンジョンを運営するのに必要なポイントみたいなものですね。例えば今そこにいるスライムなんかを召喚するのに使うのもDPだし、ダンジョン内の内装を変えるのもDPです。そしてアーティファクトやスキルの書なんかも売られていますがこれは一つ一つの価値が高いですね。まあざっくり説明するとこんな感じです。ダンジョンも一応会社みたいなものですからね。」
「というと」
「私たちが与えるのは心躍らすような体験、そして人間社会のレベルを一瞬で超えることができるスキルです。そしてその対価として私たちは人間の力を吸収してDPをもらいます。ギブ&テイクみたいな感じですね。」
「じゃあよく小説で出てくる宝箱は多くの人にダンジョンに入ってもらうための餌っていうことか」
「そういうことです。」
なるほどな、とにかくダンジョン作ってDP稼いでいいもん手に入れろっていうことだな。
俺は自身の頬を叩いて気合を入れなおした。
「それじゃあ早速ダンジョンを作っていくか!」
「あのマスター、そのことなんですが私もお手伝いをしたいのでダンジョンを編集できる権利を一部もたってもいいですか?」
まあそんぐらいならダンジョンを作るスピードも速くなるし、元々ダンジョンを作ってたぽいし、作業も楽になるし、一石二鳥だろ。
「いいよ。どうやって権利を渡すことができるんだ?」
そう言ったとき目の前に画面が現れた。
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ダンジョンの権利を一部をピース様と共有しますか?
はい/いいえ
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俺は、はいと書かれている場所を指先でタップした。
「これでいいのか?」
「はい、これで私もダンジョンを作ることができるようになりました。では早速制作に取り掛かりましょうか。」